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発達障害の子が学校行事や園行事に参加しやすくなるヒント

  公開日:2018/11/21
最終更新日:2019/11/08

※この記事は約8分で読めます。

こんにちは。四谷学院の療育通信講座、ブログ担当のnecoです。

学校・幼稚園・保育園等では、さまざまな行事が行われますね。
運動会やお遊戯会、遠足に発表会に学芸会などなど、先生方が工夫をこらして企画運営してくださっていることと思います。
あなたのお子さんが通われている学校や園でも、さまざまな行事が予定されているかもしれませんね。

ところで、発達障害やその疑いのあるお子さんは、学校行事や園行事にうまく参加できないことがしばしばあります。
55レッスンでも、

「練習に参加できない」
「去年は舞台で固まってしまった。今年はどうなるか心配」
「他の子に比べて全然できていない」

といったご相談をいただくことがあります。

そこで、今回の記事では、学校や園での行事に上手に参加するためのヒントをご紹介します。
全てのお子さんに当てはまるとは限りませんが、お子さんへの働きかけを考えるきっかけになれば幸いです。

基本の考え方

練習か本番かを問わず、行事に参加できない場合、まずは「お子さんに何らかの苦手さ・弱さがある」と考えてみましょう。
お子さんは何が苦手で参加できないのか?
お子さんの様子をじっくり見守りながら探ってみましょう。

環境に対する苦手さ

大人でも、お化け屋敷のような暗いところが苦手な人、高いところが苦手な人など、環境に対する得手不得手があります。
苦手な場所にはできるだけ近寄りたくない、踏み込みたくないと感じる人が大半ではないでしょうか。
子供たちも同様です。
発達に偏りのある子供たちは、大人よりもさらに環境に対する許容範囲が狭いと考えてみましょう。

学校行事、園行事の際には、子供たちが苦手に感じることが多い環境がしばしば見られます。
一例としては以下のような環境が挙げられます。

行事に参加できないお子さんの苦手さの例
■音
■光
■大勢の人が集まっていることそのもの
■人のざわめき
■狭い空間の閉塞感
■音の反響
■明るさ・暗さ

など

 
その苦手なものから少しでも距離を置けるようにし、苦痛を軽減できるようにサポートしてあげると良いでしょう。

見通しのつかないことへの苦手さ

たとえばあなたが電車に乗ってどこかへ行く途中、突然のトラブルで電車が止まってしまったとします。
この時、車内に何のお知らせもなく、乗務員に事情を尋ねることもできなかったとしたら、いかがでしょうか。
一体この先どうなるのか、不安や苛立ちを感じませんか。

一方、「○○の事情で電車が止まったが、15分後に運転を再開する」といった車内放送が入ったとしたら、いかがでしょうか。
15分も待たなくてはならない苦痛は感じるかもしれませんが、少なくとも、何の連絡も入らない状況と比べて、はるかに落ち着いて時間をやり過ごせるのではないでしょうか。

学校行事・園行事に参加する子供たちにも同じことが言えます。
先の見通しが立たないことには、不安を感じます。

いつ、どのように、どんな順番で、どんなタイミングで、誰と一緒に、どこで、何を・・・
このような見通しがしっかり立って、自分で明確に把握することができれば、落ち着いて過ごせる可能性が高まります。

見通しをつけるためのサポートは、お子さん一人ひとりの認知特性や、物事の受け止め方、その子にとってのわかりやすさ、等々によってさまざまな例が考えられます。
以下にいくつかの事例をご紹介します。

過去の事例を活用する

ほとんどの行事は、毎年同じような場所で、同じような演出をして、同じように運営されるものです。
「1年生の時は参加できなかったけれど、学年が上がるにつれて参加できるようになってきた」
というお話を55レッスンでは数多く伺いますが、これにはご本人の成長の他に、毎年の同じような行事への慣れも大きいものです。

事前に、過去の行事の様子を撮影した動画などを見て、全体像を想像しやすいようにしてあげると良いでしょう。
ご家庭でも、毎年の行事の様子を撮影しておき、来年の行事が近づいたらご家族で何度も視聴することもお勧めです。

その場に行ってみる

もし、新規に企画された行事で、前例がないという場合は、行事が行われる場所に実際に行ってみると良いでしょう。
可能ならば、その場で、当日の様子に近い演出を見せてあげると理想的です。
学校や園から離れた場所で行事を行う場合、会場までの行き方を知ることもでき、これも安心感につながります。

動線をわかりやすくする

行事には、「入場」「退場」「場所移動」等、様々な「動き」があります。
どんな子供たちにとっても混乱を呼びやすいのがこの「動き」。
動きの起点・途中の流れ・終点のそれぞれに目印を置き、動線をわかりやすくしてあげると良いでしょう。

動線をわかりやすくする働きかけの例
■床にテープを貼る
■カラーコーンを置く
■ロープ等で誘導用の列を作る
■座席を固定する
■目印をつける
■誘導専門の人員を配置する(例:「赤いジャンパーを着た先生の後をついていけば良い」)

など

 

家庭でも練習する

園や学校でももちろん、先生やクラスメイトと一緒に何度も何度も練習を重ねることと思いますが、ぜひご家庭でも練習してみましょう。
ご家庭での練習は、ゆっくりと、ご本人のペースで取り組むのがコツです。
皆と一緒では無意識に緊張してしまってうまくできないけれど、自宅でリラックスして練習すればうまくできる、ということもしばしばあります。
ダンス、歌、楽器演奏など、何についても言えることですが、できれば親御さんもそれらの内容を覚えて、一緒に踊ったり歌ったりしていただくと、なお良いでしょう。

身体操作の苦手さ

発達に偏りのあるお子さんが行事ごとへの参加を嫌がる場合、身体操作の苦手さ、いわゆる不器用さが理由になっていることもあります。
目、耳、口、手、足など、複数の感覚・複数の動作を同時に行うと、処理がパンクしてしまうことが多いようです。

「立ってただ歌うだけなら良いけれど、身振り手振りが入るとダメ」
「手足それぞれが別々の動きをするダンスはお手上げ」
「両手の十本の指を同時に別々に動かすことが苦手」

等々、苦手さは人それぞれです。
今回は、楽器演奏を例にとって、サポートの一例を考えてみましょう。

楽器演奏のサポート例

楽器演奏の「2大苦手意識」は、
・楽譜が読めない
・運指ができない

この2つです。

これらを、そのお子さんにとってわかりやすい形で提示してあげることが支援の方針となります。
たとえば、よくある支援例は、鍵盤と楽譜の同じ音に同じ色のシールを貼って対応させる、鍵盤ハーモニカの運指を図にする、といったものです。
中には、楽譜の音符の上に「ドレミ」を書き込んであげるだけでわかりやすくなるお子さんもいるでしょうし、演奏しやすいメロディーにアレンジしてあげると安心して参加できるお子さんもいるでしょう。

園行事・学校行事では、音楽として正しい学習をすることももちろん大切ですが、それ以上に、皆と一緒に演奏に参加する、美しい演奏を行うということが目標となります。
お子さんに、何をどこまで求めるか、保護者と指導者がお互いの思いをすり合わせておくことも大切だと思います。

「関係性」が人を支えてくれる

「ひと」のことを「人間」と表現するように、わたしたち人は、大人でも子供でも、発達に偏りがあってもなくても、誰もが皆、人と人の「間」に生きています。
人と人の間にある「関係性」によって、その人の在り方が良くも悪くも左右されるのです。
園行事・学校行事の際にも、この「関係性」の力を借りてみましょう。

たとえば、下級生を誘導する、垂れ幕をめくる、道具を用意するなど、何らかの「役割」を与えられると、しっかりと行事に参加できることがあります。
また、上級生に誘導してもらうと、大人に誘導されるよりも落ち着いて過ごせることもあります。
自分が一番信頼している先生がいつも目に入るところに立っていてくれるだけで、安心して流れに乗れることもあります。
そのお子さんがいつもどんな関係性の中にいて、その子自身がどんな関係性を築いているか、しっかりと見極めることで、サポートのヒントが見えてきます。

発達障害の子が学校行事や園行事に参加しやすくなるヒント ―まとめ

以上、園や学校の行事に参加するためのサポート例をいくつかご紹介しました。

わたしたち大人は、子供たちに向ける自然な心情として、子供たちにもっと良くなってほしい、もっと成長させてあげたい、もっと楽しく素晴らしい世界を体験させてあげたい、と、より高みを目指して背中を押してあげたいと思うことが多いものです。
その結果、ついつい、お子さんの良い点・悪い点を周囲のお子さんと比べてしまいがちですね。
切磋琢磨し合う健全なライバル関係はとても励みになるものではありますが、過剰に周囲を気にして比較するのは親御さんにもお子さんにも負担になります。

そもそも、相手と自分とは全く別の人間なのですから、得意不得意も全く別、上達の早さも、スキルを獲得する力も、心地よいと感じるポイントや苦手だと感じるポイントも、何もかもが千差万別です。
たとえば、リンゴの木にミカンがならないことを嘆く人がいたら、ちょっとおかしいなと思いませんか。
リンゴの木にはリンゴがなり、ミカンの木にはミカンがなるのが当然です。
わたしたちも、他人との比較ではなく、自分自身の心身にどんな実りが生まれるかを楽しみ、味わいたいものです。

もしもお子さんの成長を何かと比べたいと思った時は、周囲のお友達とではなく、「去年の・1ヶ月前の・昨日のその子自身」と比較してみてくださいね。

自閉症・発達障害のお子さんに家庭でできる療育を提供している55レッスンでは、家庭学習を通じて一人ひとりのお子さんの認知特性を把握していただくことができ、生活全体でお子さんへの働きかけがスムーズになることも期待できます。
ご家庭でできる療育方法をお探しの方は、ぜひ一度資料をご覧ください。

 

 

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