こんにちは。四谷学院の生田です。
この記事では、TEACCH(ティーチ)プログラムについて解説します。
TEACCHプログラムとは
この頭文字をとって、TEACCHプログラムと記載します。
日本語では、「自閉症及び、それに準ずるコミュニケーション課題を抱える子ども向けのケアと教育」と訳されます。
TEACCHプログラムは、自閉症当事者やその家族の生活を生涯にわたって支援していくための包括的プログラムです。1960年代にエリック・ショプラー(Eric Shopler)博士の研究をもとに生まれ、1972年からノースカロライナ州の公的な事業として地域一体となって実施されるようになりました。以降、TEACCHプログラムは世界各国に広まるとともに発展を遂げています。
日本では、児童精神科医の佐々木正美先生によって初めてTEACCHプログラムが紹介され、現在では広く認知されるようになりました。
TEACCHプログラムの基本理念
TEACCHプログラムは、自閉症の発達過程を「遅れている」あるいは「劣っているもの」と捉えて矯正していくのではなく、発達に凸凹(アンバランスさ)があるのだと捉えます。その上で、一人ひとりの優れた部分を発揮できるように支援していくことを目標としています。
自閉症は、コミュニケーション面、認知面、社会面、行動面など様々な面に影響をもたらす障害であるために、包括的な療育が必要となります。
TEACCHプログラムの原理
TEACCHプログラムでは、以下の原理をもとに自閉症をもつ人が自立した生活を送れるように支援していきます。
② 療育は、親と支援者が協力して行うものである
③ 療育を行う者は、ジェネラリストでなくてはならない(専門分野のみならず、支援を行う上で必要となる幅広い知識を身につけていなくてはならない)
④ 療育プログラムは、包括的に行われるべきである
⑤ 当事者の人生全般を支援していく
⑥ 個別化された療育プログラムを実践していく
TEACCHプログラムに基づいた実践「構造化」
TEACCHプログラムに基づいた実践として「構造化」という方法があります。
構造化とは、学習や生活場面において環境設定やスケジュールの提示などによって、何をすべきかをわかりやすく提示する方法のことです。
・学習、遊びなど、違う活動を同じ場所で行わない
・集中力を必要とする活動を行う時は、外からの刺激の多い位置(窓側の席など)は避ける
・子ども一人ひとりに合わせて、文字や絵カード、写真、具体物といった視覚材料を用いる
・一度に提示するスケジュールの量を考慮する(午前・午後で分ける、当日の朝に1日分提示する、1週間分まとめて提示する)
TEACCHプログラムでは、地域の関係者・関係機関が連携を図りながら、生涯にわたって自立支援を行っていきます。その内容は、居住、就労、余暇活動など、多岐にわたります。
なお、TEACCHプログラムは、特定の技法ではなく支援の考え方の枠組みのようなものです。そのため、応用行動分析(ABA)などその他の療育の手法と対立するものではありません。
参考文献:佐々木正美『自閉症児のためのTEACCHハンドブック』(ヒューマンケアブックス)
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