こんにちは。
四谷学院療育プログラムの生田です。
小学校1年生にとって、年明けの1月2月3月はあっという間です。
今回の記事では、小学校1年生のお子さんが2年生に進級するにあたり、気をつけておきたいポイントを2つご紹介します。
目次
1月2月3月は羽が生えたかのように過ぎていく
1年の始まり3カ月は、まるで羽が生えたように過ぎてしまうともよく言われているそうです。
1月は、いってしまう(行って)
2月は、にげてしまう(逃げて)
3月は、さってしまう(去って)
という言葉を耳にされたこともあるかもしれませんね。
小学校1年生も同じ、最初の3カ月はあっという間に過ぎてしまいます。
冬休み、お正月休みが終わって学校が始まり、ようやく普段の学校生活が戻ってきたかな、と思うともう2月。2月はほかの月に比べて短く、3月は卒業式や入学準備が始まります。
このように、学校が休みだったり、学校が始まったり、クラス替えがあったり、学年が変わったり…とどんなお子さんでも春には多かれ少なかれ気持ちの揺れがあります。
特に環境の変化が苦手なお子さんは、できるだけ環境変化を少なくして、スムーズに進級できるようにサポートしてあげたいものです。
年の初めの3カ月(とその前)にできることをご紹介していきます。
(1)本格的に学習が始まる準備をしましょう
小学校2年生になると、学習がいよいよ本格化します。
授業中は自分の席に座り、先生の話を聞き、1人で考える・書くといったことが求められるようになってきます。
忘れ物や宿題忘れ、授業中のおしゃべりや立ち歩き等に対しても、1年生の時よりも厳しく指導されるようになってくるでしょう。
質問や先生の指示に従う等、授業のルールも明確となり、グループ活動やチームでの動きなど、より学校における集団生活が重視されるようになってきます。
伸ばしたい力
- 自分の席で静かに座って過ごす
- 時間割通り、指示通りに物事を進める
- 先生の話をよく聞いて理解する
- 新しいことを知る・覚える
- 落ち着いて行動する(衝動性を押さえる)
- 書くこと・読むこと
じっと座っていることが苦手だったり、耳から情報をキャッチする力が弱かったり、あるいは、勉強が嫌いだったりする場合には、少しずつ家庭でも準備を進められるとよいでしょう。
家庭できる進級準備
小学校2年生以降、学校の授業が本格的になってきます。進級準備として、ご家庭で無理なく取り組めることをご紹介しましょう。
小学校1年生の復習
学校教育現場では、ノートに鉛筆を使って書くスタイルの授業がほとんどです。
学年が上がるにつれて書く作業も増えるため、書くことが苦手なお子さんにとっては授業のハードルが上がってしまうことがあります。
また、小学校1年生で習った内容が定着していない場合には、2年生以降の学校の授業や学習ペースについていくことが難しいかもしれません。
そこで、ご家庭でも書き取り練習や計算練習などを行い、小学校1年生の学習内容をしっかり復習しておくということを強くお勧めします。
課題の把握
「2年生になったら自然にできるようになるだろう」
これは半分本当で、半分本当ではありません。
心身が成長、発達して、認知能力も高まるということはあります。これまで苦手だったことが、理解できるようになったり対応できるようになったりすることもあります。その、一方で、問題を先送りしにしただけで解決しないまま置かれてしまう課題や、適切な働きかけをすることで早く、楽に解決するはずの課題もあります。
もしも今、お子さんに課題があるのであれば、そのまま放置することをせず、まずは見直してみましょう。
場合によっては、学校の先生や専門家に相談し、様々な意見を聞くことで「もう少し時間経過を待つ」「今すぐ働きかけられることをする」などを検討することができます。
実際、その場ですぐに解決しなかったとしても、「この子の課題はこういうところにありそうだ」という新しい視点が持てれば、それだけでも大きな意味があります。お子さんに向けるまなざしが変わり、これまで見えなかったものが見えてくるかもしれませんね。
スモールステップでの練習
学習面あるいは生活面において、課題が明確になったら、少しずつできることを増やしていきましょう。
ここでポイントになるのは、「できることから」「少しずつ」練習していくということです。
出来ない事を何度も練習しては、「できない」という印象ばかりが強くなってしまいます。その課題の一つ前の段階、つまり「今できるところ」から丁寧に積み上げていくことが大切です。
できた➔できた➔できた➔できないけど、できるようになるはずだ
「できた」の積み重ねがあるからこそ「できるようになるはず」と信じることができます。
① その前の段階である「10までの数」を理解する。
合わせて10になる数の組み合わせ、10までの足し算・引き算などをしっかり復習します。
「できたね」「正解です」など、お子さんのやる気の出る声掛けなどをして、前向きに取り組めるようにしていきましょう。
②20までの計算に進む
①がスムーズにできるようになってから、20までの計算に進みます。
算数ブロックを操作する、図を描くなど、計算の考え方を丁寧に振り返ります。
あせらずにできることを確認しましょう。
生活面での振り返り
「お掃除の時間にお友達と遊んでしまう」「給食当番のエプロンを忘れる」など、気になることがあるかもしれませんね。たとえば、係活動中に遊んでしまって参加できないお子さんは、その理由を考えてみることをお勧めします。
「活動の内容や目的がわかっていないのかもしれない」
「集中が途切れてしまっているのかもしれない」など
何か理由があって、次に進めないのかもしれません。それなのに「ちゃんとやりなさい!」と頭ごなしに叱られてしまっては、いつまでたってもできるようになりませんね。
叱責するだけでなく、「なぜ今のやり方でできないのか?」という目線で考えてみるとお子様への働きかけのヒントが見えてくるかもしれません。
(2)環境の変化へ対応する準備をしましょう
進級することで環境面にはたくさんの変化があることが考えられます。
特に「変化」が苦手なお子さんの場合には、事前にできる準備、そして心構えができているとできていないとでは、大きく変わってきます。
変化と対応法
小学校1年生は、まずは学校生活に慣れるということに重点を置かれます。幼稚園・保育園からの間をつなぐ1年と言ってもよいでしょう。遊びやグループ活動などを通して、授業や給食、係活動などなど、いわゆる学校生活に慣れていきます。大きな変化であるため、お子さんもご家庭も、そして学校や園でも様々な準備がなされることが多いでしょう。
一方で、小学校1年生から2年生の進級においては、同じ「小学生」であるために、変化に対して十分な準備がないケースがあります。
準備がどの程度必要そうかも含めて、進級前にもご家庭で振り返りをしたり、今後の見通しを立てたりしていくことをお勧めします。
場所の変化
学校や地域によっても違いがありますが、進級すると多くの場合は教室の場所が変わります。それに伴い、下駄箱の場所、日常的に使用するトイレや手洗い場の場所なども変化します。
環境の変化が苦手なお子さんにとって、慣れるまでには大きなストレスになることもありますので、心構えをしておくとよいでしょう。
「2年生の教室はここだね」「昇降口はここで、下駄箱も変わるよ」「トイレはこっちを使ってね」など、あらかじめ場所を確認する、新しい場所に一度行ってみるなど生活場所を今のうちに見ておくものよいでしょう。
人の変化
場所の変化と同じく、学校や地域によっても違いがありますが、進級すると多くの場合はクラス替えがあります。それに伴い、担任の先生や、友達が変わります。担任の先生に、お子さんの情報を引き継いでいただくためにも、今から少しずつ先生に伝えていくとよいでしょう。
また、心身の発達に伴い、人間関係の深まりが期待できます。
特に1年生から2年生に進級することで、これらの変化が考えられます。
- 新たに下級生ができる
- お友達とのやりとりがより複雑になる
- 気持ちのありかたが複雑になる
- 感情表現が複雑になる
- 厳しく指導される(叱られる)
1年生の頃は、クラスで騒いでいても大目に見られたのが、周りの友達からうるさいと怒られるようになったり、あるいは先生も厳しく指導するようになるでしょう。
他にも「ずるい、むかつく」など、支援の必要な子どもの行動に対して複雑の感情を持つクラスメイトも出てくる可能性があります。
こうした人間関係の深まりに対しても、心構えをしてくことはとても大切です。
まとめー家庭できる進級準備!小学校1年生から2年生へー
準備は大変と思われるかもしれませんが、準備をせず2年生に進級してつまずいてしまってからでは、なかなかつまずきを解消できないこともあります。
今からできる準備を行って、お子さんが安心して新生活を送れるようサポートしていきましょう。
このブログは、四谷学院「発達支援チーム」が書いています。
10年以上にわたり、発達障害のある子どもたちとご家庭を支援。さらに、支援者・理解者を増やしていくべく、発達障害児支援士・ライフスキルトレーナー資格など、人材育成にも尽力しています。
支援してきたご家庭は6,500以上。 発達障害児支援士は2,000人を超えました。ご家庭から支援施設まで、また初学者からベテランまで幅広く、支援に関わる方々のための教材作成や指導ノウハウをお伝えしています。
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