3学期が終われば、いよいよ進級。
発達障害やその可能性があるお子さんをもつ保護者の方にとっては、新しい環境の中でうまく適応していけるか、心配や不安でいっぱいになる時期かもしれません。
進級にあたっての心配事で多く聞かれるのが「新しい担任の先生との相性」です。
そこで今回の記事では、『担任の先生との上手なコミュニケーションの取り方』について考えてみたいと思います。
お互いを知ることから
環境の変化が苦手なお子さんにとっては、進級は心理的に負荷の高いイベントです。そんなお子さんの様子を間近で見ていると、保護者の方も不安になるかもしれませんね。
一方で、担任の先生も、初めて受け持つお子さんに対して「どんな子なんだろう?」「どうやって接したらいいかな?」と、いろいろな心づもりや準備をしていらっしゃることかと思います。
特別な配慮が必要なお子さんの場合は、なおのこと事前に知っておきたいことも多いでしょう。
相手のことが分からないと、誰でも不安になるもの。
だからこそ、事前に保護者が「うちの子はこういう子ですよ」とお子さんの情報を開示し、お互いのことを知る機会をつくるのは、スムーズな関係作りの上でとても大切なことなんです。
担任の先生に連絡をとる時期は?
学校の先生は、学期が始まる前はとても忙しいことが予想されるので、担任が決まったタイミングなどで余裕をもって相談できると安心です。
3学期のうちに「いつ頃担任の先生が決まるのか」を確認し、「新しい担任の先生とコミュニケーションをとりたい」という希望を学校側に共有しておけるとスムーズかと思います。
担任の先生への伝え方は?
発達障害のあるお子さんをもつ保護者の方は、勉強熱心な方が多いです。どなたもお子さんの障害特性を熟知し、日々をスムーズに過ごせるように研究を重ねられているのではないかと思います。
そうした知識と経験から、学校の先生に対して、ついあれもこれもと要望を伝えたくなるかもしれません。
しかし、当然ながら、先生は1人でクラス運営をしているわけですから、そのすべての要望に応えられるわけではありません。
大切なのは、お子さんについて情報共有をした上で、どのような形であれば配慮できるのかを話し合う姿勢です。
保護者からの一方的な要望ではなく、お互いに協力しながらお子さんをサポートしていくような関わり方が、学校の先生との理想的な関係と言えるでしょう。
その際におススメなのが“子どもの情報を見える化する”という方法です。
子どもの情報の「見える化」?
子どもの情報を「見える化」するには、お子さんの特性や配慮すべきこと、自分でできることや支援が必要なことなどを、保護者が整理して書き出す必要があります。
お子さんのカルテを作るようなイメージを持ってもらえると分かりやすいかと思います。
・成育歴
・発達検査や心理検査の結果
・得意なこと、苦手なこと
・子どもが理解しやすい指示の伝え方
・パニックを起こしたときの対処法
サポートブックについては、こちらの動画で詳しく解説しています。
カルテを作る際のコツ
カルテを作るコツは、「シンプルに、客観的にまとめる」ということ。
「~してほしい」という主観的な書き方だと、どうしても受け手は構えやすくなるものです。そうした結果、書かれてあることに対して先入観を持って読まれてしまう例も珍しくありません。
ただ要望の多い保護者と思われて、必要な支援が遠のいてしまっては本末転倒ですよね。
なので、お子さんにどのような特性があるのか、問題行動に対してどう対応してきたかといったことは、なるべく簡潔に、そして、第三者の視点で書くことを意識してみていただけるとよいかと思います。
そうすることで、お子さんの情報が正確に伝わりやすくなりますし、もしかすると、これまでの対応法よりももっと良い方法を見つけてもらえるかもしれません。
また、できないことや苦手なことだけでなく、得意なこと、好きなことについても書いておくことで、よりお子さんに合った支援の手立てを考えてもらいやすくなるでしょう。
なお、このカルテは1回使って終わり、というものではありません。1度作っておけば、今後大きく環境が変わることがあっても、必要な部分を更新するだけで使い回すことができます。
先生とご家族で共通の認識をもっていることは、お子さんに一貫した指導をする上でとても大切なことですから、ここまでのお子さんの成長の振り返りをするつもりで、まずは気軽に書いてみていただけるとよいかと思います。
スムーズな学校生活のために
発達障害のあるお子さん、あるいはその可能性のあるお子さんがスムーズに学校生活を送るためには、担任の先生との連携が欠かせません。
学校の先生はいつも忙しそうで声をかけにくいな……
という方にとっても、カルテは良いコミュニケーションツールになるかと思います。
先生と保護者、お互いに良好な関係を築こうとする心遣いが、お子さんのスムーズな進級と学校生活を支えていくということを、今のうちから心に留めておきたいですね。
55レッスンは、親子で学ぶ療育の通信講座です。
専任の担任の先生とのやり取りを通して「こんなに親身に答えてもらえると思っていなかった!」と期待以上の満足度を実感いただいています。
詳しくはHPをご覧くださいね。
このブログは、四谷学院「発達支援チーム」が書いています。
10年以上にわたり、発達障害のある子どもたちとご家庭を支援。さらに、支援者・理解者を増やしていくべく、発達障害児支援士・ライフスキルトレーナー資格など、人材育成にも尽力しています。
支援してきたご家庭は6,500以上。 発達障害児支援士は2,000人を超えました。ご家庭から支援施設まで、また初学者からベテランまで幅広く、支援に関わる方々のための教材作成や指導ノウハウをお伝えしています。
このブログでは、発達障害のあるお子様をはじめ保護者の方やご家族、支援者の方が笑顔で毎日を過ごせるよう、療育・発達支援のヒントを発信していきます。
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