こんにちは、四谷学院の生田です。
「子どもが左利きです。右利きに矯正したいのですが…」
というご質問をいただくことがあります。
この記事では、矯正の時期と方法について武蔵野東学園の先生からのアドバイスをお伝えします。
★武蔵野東学園は、55レッスンの教材編集にご協力くださっています。★
https://yotsuyagakuin-ryoiku.com/blogs/musashinohigashigakuen/
課題優先順位を考える
右利きへの矯正の時期については、お子様の現況を踏まえて
「課題の優先順位として妥当かどうか」
を判断します。
利き手の矯正以前に行うべき課題がたくさんある場合は、そちらを優先するべきでしょう。
幼児期は新しく習う生活、学習課題がたくさん出てきます。そうした課題を利き手を替えて行う場合、ただでさえ習得に時間を要するお子様に二重苦の状況をつくってしまう可能性があります。
また、課題の習得に問題がないとしても、性格的な面でも検討が必要です。
たとえば、融通が利きづらく、利き手の矯正に過剰なストレスがかかるようであれば、無理をする必要はないかと思います。
無理をして、せっかく芽生えていたお絵かきや書字への興味が失われないよう注意すべきでしょう。
利き手が定まっていない場合のアプローチ
もし、利き手が定まっていない、あるいは定まりかけの時期であれば、さりげなく右を使うよう導きます。
たとえば塗り絵の右側に筆記具を置くとか…
左利きでは不利なこともあるため、右利きへの矯正が問題ないのであれば、時期を見て進めていきます。
左利きで不利な点
生活の中では、左利きのお子様にとって、不利なことがあるというのは事実です。
たとえば、ハサミなど右利き用の日用品はうまく使えないことがあります。さらに、お子様によっては漢字や文字を書く際の手の運動所作が不自然になることで、習得に支障が出ることが挙げられます。
また、左手で文字を書く場合、漢字を書くプロセスの中で左側のへんから右のつくりに向かう際、先に書いたへんが手の陰に隠れて見えなくなってしまいます。そのため、空間理解の弱いお子様の場合、文字の形状がうまくとらえられない可能が出てきます。
学校では、お習字の授業で苦労するかもしれませんが、理解のある先生にうまく認めてもらえることを願いましょう。
利き手矯正よりも大事なこと
ハサミなどの器具については、左利き用で補うこともできます。
書字については書き順が自己流になったり、多少文字が変形する可能性はあっても、書けないわけではありません。
正式な文章は、パソコンで作成する時代でもあります。
これまでにも、うまく適応できている左利きの子どもたちを多数みてきました。
一般的な優先順位は、「利き腕の矯正」よりも、過剰なストレスを避け、学習へのモチベーションを失わせないという点にあるように思います。
利き手矯正のまとめ
以上のような点を踏まえ、可能であるようなら利き手の矯正をするとよいでしょう。
練習の段階では、前述の二重苦を避ける工夫として、知識習得を優先する時間は左手使用を可とし、右手で書くための技術練習メニューにおいては右手だけとするなど、練習を目的別に二分するのもよいでしょう。
右手の技術練習では、左手メニューにはない、技術練習に特化した興味をそそるものを用意するなどの工夫もできます(例:お子様の好きなもの塗り絵、型はめ)。その上で、積み重ねが進み、慣れてきたら徐々に右手を使う頻度を増やしていきましょう。
左から右というプロセスは、単に手だけの問題ではなく、脳の神経回路をシフトするということです。
それなりに時間を要しますから、あせらず、無理なく取り組めるとよいですね。
受講のご相談はお電話やWEBから受け付けております。お気軽にお問合せください。
このブログは、四谷学院「発達支援チーム」が書いています。
10年以上にわたり、発達障害のある子どもたちとご家庭を支援。さらに、支援者・理解者を増やしていくべく、発達障害児支援士・ライフスキルトレーナー資格など、人材育成にも尽力しています。
支援してきたご家庭は6,500以上。 発達障害児支援士は2,000人を超えました。ご家庭から支援施設まで、また初学者からベテランまで幅広く、支援に関わる方々のための教材作成や指導ノウハウをお伝えしています。
このブログでは、発達障害のあるお子様をはじめ保護者の方やご家族、支援者の方が笑顔で毎日を過ごせるよう、療育・発達支援のヒントを発信していきます。
コメント