療育ってなに?「遊ぶだけ」ってほんと?

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こんにちは。療育55段階プログラム、担任の塩見です。
最近、ちょっとショッキングなお話を聞いたんです。
あるお母さんが、ご家族で療育施設の見学に行った際、お子さんの活動の様子を見ていたお父さんから

「これ、ただ遊んでるだけじゃん、本当に成長するの?」

という言葉を聞き、がっかりしてしまった、というエピソードです。
お父さん、とっても率直な感想ですね……。

でも、そう見えてしまうのも無理はないのかもしれません。
今回は、そんな療育への「誤解」を解きつつ、実際に「遊び」にはどのような効果があるのか、お話したいと思います。

そもそも療育とは?


そもそも療育というのは、日本では今から約80年前に、身体に障害のあるお子さんのリハビリ、治療を目的としてスタートしました。
つまり「療育」という名称は、この「治療」と「教育」を掛け合わせたものなんですね。

そして、時代の変化とともに、身体に障害のあるお子さんだけでなく、発達障害のあるお子さんに対しても、療育の必要性が認識されるようになりました。
発達障害のお子さんは、その特性から、「ことばが出ない」「人とのコミュニケーションが難しい」「身支度に時間がかかってしまう」「予定が変わるとパニックなる」など、日常生活においてつまずいてしまう場面が多く見られることがあります。

療育とは、そういった困りごとを少しでも減らし、その子が将来、社会の中で自立する、あるいはより制約の少ない中で生活ができるようにしようとする関わり方のことを言います。
2022年現在、療育の分野では日々研究が進んでおり、今では以下のような幅広い層のお子さんに有効な教育、支援であることがわかっています。

  • ASD(自閉症スペクトラム障害)
  • ADHD(注意欠陥多動性障害)
  • LD(学習障害)
  • 発達障害グレーゾーン
    (障害の診断の基準は満たしていないが、発達障害の傾向があるお子さん)
  • まだ障害があると判定できる年齢ではないが、「言葉がなかなかでない」「かんしゃくがひどい」などの傾向が見られる低年齢のお子さん

療育でどんなことをするの?

では、ここからは、療育では実際にはどんなことをするのかについて、お話します。
先ほど、「療育はリハビリや治療からスタートしました」というお話をしたので、もしかすると、声や言葉を出す練習をしたり、指先を動かすようなトレーニングをしたり……そういったいわゆる「直接的な訓練」のようなものを想像していらっしゃる方も多いかもしれません。

冒頭で登場したお父さんも、そういう光景を期待していたのかもしれませんね。
もちろん、そのような直接的なトレーニングも大切です。
ですが、療育施設では、意外にも、言語能力や知能の向上とは直接関係のなさそうな、遊びや運動、それから日常生活の指導も積極的に行います。

なぜ「遊び」が大切?

実際に保護者の方の中には、「とにかく言葉が出るようになってほしいから、早く練習してほしい」なんておっしゃる方もいらっしゃいます。
お気持ちはとってもよくわかりますが、なぜそうしないかというと、発達障害のお子さんの場合、例えば、「ことばが出ない」という課題一つとってみても、実はそこには

・ことばを理解することが難しい
・ことばをうまく音に変換できなくて、発声ができない
・そもそも他人への興味関心が少ない
など、様々な理由が関係していることも多いです。
ですから、ただ語彙を増やす練習をすればいいというわけではなく、「知能」や「社会性」、「体の使い方」などの力を総合的に伸ばしていく必要があります。
そのために有効なのが、遊びや運動、日常生活の指導なんです。

生活の中での学び

子どもは、生活の中で、多くのことを学んでいきます。
特に遊びは、「道具の使い方(手指の動かし方)」「ルール」「やりとりなどのコミュニケーション」などを同時に学べますし、お子さんも楽しく取り組めるので、取り入れていない施設はほぼないのではないでしょうか。

それから、前提として、ことばというのは「コミュニケーションの手段のひとつ」です。つまり、ことばを獲得して終わり、ではなく、その子がうまく使えるようにしないといけないということです。

適切な場面で、その場面に合ったことばを、適切な用途や声の大きさで使うように教える必要があります。そういった意味でも、実際にことばを使う場面をたくさん作ってあげることが大切ですから、やはり、特定の訓練やトレーニングだけで伸ばすことには限界があるように思います。

もちろん、総合的なアプローチが有効なのは、ことばに関することだけではありません。

例えば、発達障害のお子さんの保護者の方からよくお伺いする、「静かな場所でもかまわず奇声をあげてしまう」「順番や遊びのルールを守れない」といった困りごと。
これらも、単に「マナーやルールを教える」だけではうまくいかないことも多いですから、お子さんの「知能」や「自制心」、「協調性」など、様々な力を伸ばしていくことで解消していくことを目指していきます。

家でもできる?

「遊びや運動なら家でもできそう!」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
もちろん、お家での遊びや運動はとても大切ですし、効果もあります。

ですが、自己流でやろうとして、「せっかく遊びに誘っても、子どもが全然食いついてこなかった」「途中で機嫌を損ねて、収集がつかなくなってしまった」など、あまりうまくいかなかったという保護者の方の経験談もよくお伺いします。
なかには、「療育ではあんなに楽しそうにしてたのに、家で遊びに誘ってもすぐに飽きてやめてしまうので、自信を失くしてしまいました」という保護者の方も。

せっかくなら、親子で楽しんで取り組みたいですよね。

療育施設に通うメリットは?

では一体、療育施設などで行う遊びや運動と、自宅での遊びや運動とでは、どこが違のでしょう。
その違いはズバリ、ノウハウとカリキュラムです。

療育施設などにいらっしゃるプロの指導員さんには、まず、障害に対する知識と経験が豊富にあります。なので、「こういう誘い方をすると乗ってくるな」「この子はこの遊びなら集中できるな」「この方法でうまくいかなかったらこうしよう」という、ノウハウがあります。

また、ただその時子どもがやりたい遊びや運動に、行き当たりばったりで付き合うこともほとんどしません。子どもの将来を見据えたうえで、「この子は、今何ができて、何ができないから、将来から逆算して、いつまでに、こういう方針で、やってあげよう」というカリキュラムもきちんとあります。

だから、ただ遊びや運動を楽しんでいるように見えても、子どもがどんどん伸びていくわけですよね。

まとめ:療育ってなに?「遊ぶだけ」ってほんと?

いかがでしたか?
今回は、「療育ではどんなことをするか」について、お話してきました。
「遊びを通して、実は子どもたちはたくさんのことを学んでいる」ということを、少しでもわかっていただけたらうれしく思います。

ご紹介したように、施設療育にはたくさんのメリットがありますが、現場の人手不足などから、利用の手続きに時間がかかったり、定員がいっぱいでなかなか入れなかったりといったこともあります。
なかには半年から1年以上待ってください、という場合もあるようです。
療育に関する費用については、以下のブログでも詳しくご説明していますが、公的療育では高額な費用が掛かる場合もあります。
また、地方にお住いの方からは、そもそも近くに教室がなくて通えなかったというお話を伺うこともあります。
https://yotsuyagakuin-ryoiku.com/blogs/cost55/

四谷学院の55レッスンでは、ご自宅で、専門家監修の療育を受けることができます。

将来のゴールを見据えたカリキュラムと、それに基づいた細かなステップが用意されており、また、保護者自身も知識とノウハウを身に着け、専門家に近いかかわり方ができるようになります。なおかつ、指導に困った際は、24時間いつでも担任の先生に相談することもできます。

もう、ひとりでお子さんとの関わり方に悩まなくてもいいんです。

ぜひ、あなたも一緒に、55レッスンでお子さんと一緒に楽しくステップアップしていきませんか?
詳しくはHPをご参照ください。

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