よく転んだり人とぶつかったりする
うまく着替えができない
運動会や発表会の練習についていけない
人との適切な距離感が分からない
園の中に、こうしたお子さんはいませんか?
何度言っても改善されない場合、もしかするとその子は、ボディイメージの未熟さに原因があるのかもしれません。
ボディイメージとは、自分の体を実感する機能、いわば身体感覚のことです。
ボディイメージが形成されると、自分の身体の輪郭や大きさ、力の入り具合、体の傾き具合などが実感できるようになります。
発達障害のあるお子さんは、このボディイメージに未熟さのある子も多く、それゆえに日常生活に支障をきたしてしまうことがあるんですよね。
「でも、ボディイメージってどうやって育てたらいいの?」
「そもそも、身につけられるものなの?」
と不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。
大丈夫です。
お子さんによって発達のスピードに個人差はありますが、日々のサポートや関わり方次第で、ボディイメージは着実に身につけていくことができます。
そこで今回は、お子さんがムリなく、楽しく取り組めるようなボディイメージを高める遊び3選を紹介していきます。大人にとってもハードルが高くない、というところも意識していますので、ぜひ、ご自身の支援の現場に取り入れてみてくださいね。
動画はこちらをどうぞ!👇
トンネル遊び
1つ目の遊びは「トンネル遊び」です。
トンネル遊びでは、大人が脚を広げたり、四つ這いになったりして、その中を子どもたちにくぐってもらいます。
ポイントは、「身体がトンネルに触れないようにする」こと。
ボディイメージの弱い子どもたちは、自分の手足がどのくらいの長さで、どんな風に動いているかをイメージすることが難しいため、思うように身体を動かせないことがあります。
トンネルに身体が当たらないように注意することで、自分の身体の位置を隅々まで意識することができますし、もしもトンネルに触れてしまっても「あ、腕がちょんって当たったね」「出ていくときに頭のてっぺんが当たっちゃったね」という風に、どの部位がどう当たったかを伝えられると、より自分の体に意識が向きやすくなるでしょう。
慣れてきたら、すこしずつトンネルを小さくしたり、流れている音楽が止まったら足を閉じたりするなど、お子さんがさらに楽しめるアレンジを取り入れてみてくださいね。
まねっこ遊び
次は「まねっこ遊び」です。
「うさぎさんは手を頭にのせて、ぴょんぴょん跳ねてね」「くまさんは両手両足を地面にくっつけてのしのし歩くよ」という風に、動物をまねて体を動かしてみたり、「あたま、かた、ひざ、ぽん」 と手遊び歌に合わせて体にさわってみたりと、見た通りに自分の体を動かしていく中で、少しずつ模倣する力が身についていきます。
難易度をあげて体操やダンスに取り組む場合は、左右が分かりやすいように両手首に色の違うシュシュをつける、ゆっくりとしたリズムから始めるなどして、スモールステップで取り組めるといいでしょう。
ふれあい遊び
最後は「ふれあい遊び」です。
このふれあい遊びは、ご家庭での遊びとしておススメなので、保護者の方に提案してみてもよいかもしれません。
たとえば、ひこうき。
大人が寝そべって、膝から下を軽く持ち上げたところに子どものおなかをくっつけてもらい、お子さんの手を握ってあげれば、ひこうきの完成です。お子さんの体を前後左右に揺らしてみて、ひこうきから落ちないようにバランスをとるよう促せるといいでしょう。
ほかにも、お相撲さんのように身体を押し合う取っ組み遊びもおススメです。手と手の触れ合う部分を意識しながら、また、バランスを崩さないように調整しながら、全身に思いきり力を入れる練習になります。
これらの遊びを取り入れるのがまだ難しい、という場合、抱きしめたり、だっこしてくるくる回ったりするだけでも、身体がくっつく感覚や回転する感覚を体験することができますよ。
いずれのふれあい遊びも、スキンシップによって自分の身体の状態を意識できることが重要ですから、いろいろとアレンジしながら取り組めるとよいかと思います。
アレンジ次第で遊びは無限!
いかがでしたか?
「なぜうまくできないのか」を探っていくことで、これまでは単に「運動が苦手なんだな」と思っていた子どもたちの存在が、また違った風に見えてくるようになるはずです。
ボディイメージが高まると、できることが増えます。
できることが増えると、子どもは日常生活をスムーズに送れるようになるだけでなく、より前向きに、楽しく色々な活動に取り組めるようになることでしょう。
今回ご紹介した遊び以外にも、おススメの遊びがあれば、コメント欄より教えてくださいね。
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発達障害児専門支援士は、発達障害児支援士の上位資格です。
この講座では、「ことば」と「運動」の2つの分野について、より専門的に学んでいくことができます。
今回は、「運動」分野でも取り上げられているボディイメージについてお話をしてきました。
「運動」ときくと、とてもハードルが高い風に感じる方や、自分も苦手だから子どもに教えられない、と感じる方が多いと思います。でも、この講座でお伝えしているのは、運動「遊び」です。
専門的な知見を踏まえながら具体的な支援法を学びつつ、子どもが楽しめる形で支援の現場に取り入れることができるので、きっとあなたのお役に立てることかと思います。
このブログは、四谷学院「発達支援チーム」が書いています。
10年以上にわたり、発達障害のある子どもたちとご家庭を支援。さらに、支援者・理解者を増やしていくべく、発達障害児支援士・ライフスキルトレーナー資格など、人材育成にも尽力しています。
支援してきたご家庭は6,500以上。 発達障害児支援士は2,000人を超えました。ご家庭から支援施設まで、また初学者からベテランまで幅広く、支援に関わる方々のための教材作成や指導ノウハウをお伝えしています。
このブログでは、発達障害のあるお子様をはじめ保護者の方やご家族、支援者の方が笑顔で毎日を過ごせるよう、療育・発達支援のヒントを発信していきます。
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