こんにちは。四谷学院の療育通信講座ブログ担当necoです。
55レッスンの受講生から時々うかがうのが、
「水族館・動物園に行ったけど・・・」というお話です。
という感じで、
わざわざ連れていったのに、思ったほど子どもは喜ばなかった、
という趣旨のお話が多いです。
親御さんのお気持ちはとてもよくわかります。
お仕事もお忙しい中、大事なお子さんのために、せっかく行った水族館や動物園。
それなのにお子さんが思ったほど喜ばなかった(ように見える)となれば、
大人だってガッカリするでしょう。
我が子の笑顔さえ見られれば、親は何だってできるものですよね。
その一番の報酬である笑顔が見られなかった・・・
親御さんたちの心に開いた小さな穴が見えるような気すらします。
その穴をふさぐためのヒントを、ご一緒に考えていきましょう。
・本当にお子さんは水族館や動物園を楽しまなかったのか?・楽しまなかったとすれば、それはなぜか?
検討したいのは、この2点です。
まず、水族館や動物園という環境を、お子さんの目線から考えてみます。
水族館はたいてい薄暗く、明るい入り口から中を見ると、閉塞感や圧迫感を感じます。
海をイメージした光や色の演出がされていたり、
音がこもったように反響したり、独特の臭いがしたりと、
五感に刺激を与えることも少なくありません。
一方、動物園はやたらと広いことが多いですね。
壁や進路の目印が少なく、パッと見た時にどちらに進めばいいかわかりにくいところがほとんどです。
(大人は園内マップや順路のマークを目当てに行動できますが、子どもにはそんなものは無意味です。)
また、動物の鳴き声や臭いを強く感じます。
そして、どちらも大勢の人がいて、ザワザワガヤガヤと喧騒に包まれています。
大音量のアナウンス、突然走り出す子ども、泣き出すあかちゃんなど、
目にも耳にも非常に賑やかです。
こうして書いてくると、
水族館や動物園は、
子どもたちの敏感な感覚にはなかなかハードな環境だ
ということが、何となくご想像いただけるでしょうか。
水族館で泣き喚いてすぐに建物を出たがったお子さんは、
上述のような水族館独特の環境が苦痛だったのではないかと想像されます。
この場合は、水族館よりももう少し開放的で、
規模の小さな、より静かな場所で遊ぶと
親子ともにリラックスできる楽しい時間になるのではないでしょうか。
閉塞感、音、光、色、臭い、人の多さ、などなど、
人それぞれに苦手さがあります。
お子さんが特に何を嫌がるかをよく観察して、
できるだけお子さんを刺激しない場所を選んであげるのがコツです。
では、イルカショーに集中できなかったり、虫を見ていたりしたお子さんたちはどうでしょう。
この子たちは、少なくとも園内に入ることはできていますね。
ただ、興味の向け方が、親御さんが期待するものとは少し違っているようです。
この子たちを理解するには、
小さな子どもの「ものの見え方」に目を向ける必要があります。
小さな子どもたちは、基本的には「小さなもの」を見ます。
小さなゴミが落ちていれば拾う。
小さな穴ボコがあれば指を突っ込む。
森を見ずに木を見るどころか、さらに焦点を絞って、
木の葉や、枝の虫を見るのが子どもたちです。
このような子たちが、広い場面に向き合うとどうなるかというと、
「どこを見れば良いかわからなくなる」のです。
目の前に広がる情報が広すぎ、多すぎて、逆に何も目に入らなくなるという感じでしょうか。
イルカショーに集中できなかったお子さんは、集中力がなかったわけではなく、
ショーのどこを見れば良いかわからなかったのではないかと思います。
(大勢の賑わいで実際に集中力がそがれた可能性もありますが。)
ショーなんだからイルカを見ればいいじゃないか
と考えるのは大人の理性です。
この子にとっては、おそらくショー全体の空間が広すぎ、
時々飛び出してくるイルカも、遠景の一部にしか過ぎなかったのでしょう。
もしかしたら、水槽ギリギリまで近づいて目の前で魚を見ることができる場所や、
ヒトデなどの生物と触れ合えるコーナーでは、
もう少し違った楽しみ方ができるのかもしれません。
動物園で虫を見ていたお子さんも同じです。
この子にとっては動物たちが遠すぎ、大きすぎたのでしょう。
遠くの動物はどうもよくわからない、
つい目の前にある柵や檻に興味が向く、
目線は柵の脚をつたって地面に降りる、
地面にしゃがみこめば
そこにはいつもの友達、土や石や葉っぱや虫がいる・・・
こんな調子で、興味がそれていったのではないかなと思います。
水族館や動物園に連れていったけど、思ったような反応は返ってこなかった。
そんな時は、お子さんのご様子をよく観察してみてください。
お子さんにとっては楽しむどころではない環境なのかもしれませんし、
実はお子さんなりに結構楽しんでいるのかもしれません。
それでは、また!
55レッスンの通信指導では、日常生活での出来事もご報告いただいています。
ご報告いただいた内容には、担任の先生が個別にアドバイスしていきます。
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このブログは、四谷学院「発達支援チーム」が書いています。
10年以上にわたり、発達障害のある子どもたちとご家庭を支援。さらに、支援者・理解者を増やしていくべく、発達障害児支援士・ライフスキルトレーナー資格など、人材育成にも尽力しています。
支援してきたご家庭は6,500以上。 発達障害児支援士は2,000人を超えました。ご家庭から支援施設まで、また初学者からベテランまで幅広く、支援に関わる方々のための教材作成や指導ノウハウをお伝えしています。
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