TEACCHとは?自閉症児のための支援?構造化って何?

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こんにちは、四谷学院の生田です。

あなたは「TEACCH(ティーチ)プログラム」をご存知ですか?

TEACCHプログラムは、「Treatment and Education of Autistic and related Communication-handicapped Children(アメリカ・ノースカロライナ州の州立機関)」の頭文字をとって名づけられました。

日本語では「自閉症及び、それに準ずるコミュニケーション課題を抱える子ども向けのケアと教育」と訳されます。

TEACCHは、発達障害のある子どもを支援する方には知っておいていただきたい言葉の1つです。

そこで今回は、
●TEACCHプログラムの基本理念
●TEACCHプログラムに基づいた支援法

の2つを解説します。

はじめて耳にする、とうい方にとっても分かりやすく丁寧に解説しているので、気軽に読み進めてみてくださいね。

動画での解説はこちらからどうぞ!

TEACCHプログラムとは?

TEACCHプログラムは、自閉スペクトラム症の方やそのご家族の生活を、生涯にわたって支援していこうという包括的なプログラムです。アメリカのノースカロライナ州立大学で基盤ができ、現在、世界各国で実践されています。

TEACCHプログラムでは、自閉スペクトラム症の発達過程を「遅れている」あるいは「劣っているもの」とは捉えません。発達に凸凹やアンバランスさがあるのだと捉えた上で、一人ひとりの優れた部分を発揮できるように支援していくことを目指しています。

TEACCHの基本原理は?

自閉スペクトラム症は、コミュニケーション面、認知面、社会面、行動面など、さまざまな方面に影響をもたらす障害であるために、包括的な療育が必要です。そこでTEACCHプログラムでは、次のような原理をもとに、彼らが自立した生活を送れるよう支援していきます。

TEACCHの基本原理
  • 自閉症の原因は脳の器質的な問題であり、それがさまざまな困難さにつながっている
  • 療育は、親と支援者が協力して行うものである
  • 療育を行うものは、ジェネラリストでなくてはならない
  • 療育プログラムは包括的に行われるべきである
  • 当事者の人生全般を支援していく
  • 個別化された療育プログラムを実践していく
※ジェネラリストとは、幅広い知識や経験をもつ人のことを指します。
つまり、支援者は専門分野のみならず、支援を行う上で必要となる幅広い知識を身に付けていなければならないということです。

TEACCHの支援は?

TEACCHプログラムに基づいた支援としては、「構造化」によるアイデアが挙げられます。構造化とは、日常における学習や生活場面において、環境調整をしたり、スケジュールを視覚的に提示したりすることで、「今、何をすべきか」をわかりやすくする支援法のことです。

例として、教室の構造化における2つのポイントを見ていきましょう。

環境・場所の構造化の例


構造化のアイデアの1つに「何をすべき場所かを視覚的に理解しやすくする」というものがあります。例えば、パーテーションを立てて、中には机と椅子、最低限の筆記具以外のモノは置かないようにすることで、「学習する空間」ができあがりますよね。ほかにも、外からの刺激の多い窓側の席を避けるなど、余計な視覚情報を遮断することによって、子どもはより目の前の作業に集中しやすくなるでしょう。

この時に注意すべき点は、学習や遊びといった異なる活動を同じ場所で行わないことです。1つの場所を多目的にしてしまうと、それぞれの場所や場面で何をすればよいかが理解しづらくなるからです。

時間の構造化の例

時間の構造化においても、環境の構造化と同じく「目で見て分かる形にすること」が重要です。たとえば、絵カードや写真などの視覚材料を用いて活動の流れを予告できると、「先のことが分からない」という不安や混乱を回避しやすくなります。

一度に提示するスケジュールの量を考慮することも、学習の成果を左右します。午前と午後でスケジュールを分ける、当日の朝に1日分提示する、1週間分まとめて提示する、という風に子どもにとって理解しやすい形でスケジュールを呈示することで、スムーズに活動を行いやすくなることが期待されますよ。

参考:佐々木正美『自閉症児のためのTEACCHハンドブック』(ヒューマンケアブックス)

TEACCHが目指すもの

ここまで、TEACCHプログラムについてお話をしてきました。
TEACCHでは、自閉スペクトラム症の特性を理解し、尊重することを前提としながら、彼らが充実した生活を送れるように、生涯にわたって学習・居住・就労・余暇活動などの支援を行っていきます。

「障害特性と向き合いながら、子ども自身の能力を発揮できるように支援する」ことは、自閉スペクトラム症にかかわらず、発達障害のある子どもとかかわる指導者の方にとっても、目指すべき支援のあり方の1つと言えるかもしれませんね。

昨今、「発達障害」という言葉が広まるにつれて、発達支援のニーズは広まってきています。子ども達の特性や個性を尊重し、一人ひとりに合った支援をすることで、教育の成果は最大限に発揮されると言えるでしょう。

四谷学院の「発達障害児支援士資格認定講座」では、発達支援の基本的な考え方と具体的なノウハウを学ぶことができます。場当たり的な解決策ではなく、支援のポイントや目的を抑えながら学ぶことができるので、実際の現場でも柔軟に対応する力を身に付けられますよ。

ご興味のある方は、概要欄よりホームページをご覧ください。

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