こんにちは、四谷学院の生田です。
ゆっくり、ていねいに書くというのは、発達障害のお子様にとってはとてもハードルが高い場合があります。
この記事では、ゆっくりていねいに書くことへの指導のポイントについて、55レッスン(療育55段階プログラム講座)の指導員の先生のアドバイスをご紹介します。
お子様には一人ひとり特性がありますから、お子さんに合っていると思われるものから試してみてくださいね。
https://yotsuyagakuin-ryoiku.com/blogs/kodomo-kanji/
目次
字の一部に注目させる
複雑な形の文字は、書くポイントをお子様に教えてあげるといいでしょう。
たとえば・・・
「む」は、くるんと回るコイル線の中に「丸」、中心部分に「四角」が描けるくらいの空欄があるか見ていきます。
「ここに、丸ができるといいね」
「ここに、四角が描けるといいね」
できるだけ具体的にイメージできるように教えたり、取り出し練習をしたりしていきましょう。
言葉を具体的にする
私たちは、つい「ていねいに書く」という言葉を、当たり前に使ってしまいます。
しかし、「ていねいに」という言葉自体の意味がわかりにくい、というお子様もいらっしゃいます。
「ていねいに」とはどういうことでしょうか?
たとえば・・・
「上にはねるよ」
「最後は、とめよう」
「ここは、とめずにはらうよ」
「しっかり角をつくる」など、お子様の分かる言葉で教えてあげるといいでしょう。
説明は擬音を使ってイメージしやすく
「ここは、ピンッってはねるよ」
「はい、とめる、トン!」
「はらって、すー」
「かっくん!」など音を使って表すのもお勧めです。
ゆっくり書かせる
「ていねい」という中には、「ゆっくり書く」という意味もあるかと思います。
お子様に手添えしながら、運筆の速度を確認するのも有効です。
「ていねいな(=ゆっくりした)書き方」を体感させるサポートがいいかと思います。
お子様に少しでもゆっくり書こうという意識が見られた場合は、
「そうだね!ゆっくりだから、字が濃くなったね!いいね!」
とすかさず褒めてくださいね。
大きく書かせる
大きな文字を書くと、腕全体を動かす必要があるため、必然的に書くスピードが落ちます。大きく書かれた字を、お子様の指でなぞらせて形を覚えさせる、ということも一つの手です。
大人が書道やペン字の練習をするときと同じですが、小さく書くとごまかしてしまいがちです。
ごまかしがきかない、あるいはごまかしているとすぐにばれてしまうくらいの文字の大きさで練習をするのはベストです。
具体的には、3センチ角よりも大きなマス目だとよいでしょう。
姿勢を保つ筋力を鍛える
実は、「ゆっくりとした動作」には、姿勢を保つための筋力が必要です。
腹筋をするとき、あるいはスクワットをするとき、早く行うよりもゆっくり行う方が負荷が多くなりますよね。それを同じなんですよ。
もしかすると、お子様の「持つ力」「手の力」が弱いことが、字をていねいに書けない理由になっているかもしれません。
もしそうであれば、握力を鍛えたり手先を使ったりする活動を取り入れるとよいでしょう。
書く時は握りやすい三角えんぴつを使ったり、えんぴつに補助具をつけるなどの援助をしてあげるといいかと思います。
えんぴつを正しく持っているかも見てあげてくださいね。
全身の姿勢もチェック!
もしかすると、姿勢や持ち方が崩れていることが、字をていねいに書けない原因かもしれません。
姿勢良く座れているかも確認しましょう。
足が床に届かない場合には、踏み台を下に置くとバランスもとりやすくなります。
また、机の高さに合わせてクッションを敷くのもよいでしょう。
椅子からお尻が滑ってしまう場合は滑り止めマットをクッションの下に敷くと効果的です。
姿勢保持の前提として、粗大運動を行うことで全身の筋肉を鍛えて体幹を整えていきましょう。
小学生向けのペン字講座の活用
集団指導の書道教室だと、なかなか集中できなかったり、一般的な書字の指導にとどまってしまうことが多いかと思います。
とはいえ、家でプリントを準備して、カリキュラムを考えて・・・というのは保護者の方の負担も大きいでしょう。小学校3,4年生くらいになると、「保護者が注意しても、耳を貸さない」というケースも出てきます。
そこで、四谷学院では、子ども向けのペン習字の通信講座を開講しました。通信講座なので、プロの添削指導付きです。
この講座は、55段階システムを採用し、「今日、取り組む分量」が目で見てはっきりわかるプリント方式になっています。
また、動画付きの教材を提供しますが、DVDなので、
「勉強しているつもりが、ほかの動画やWEBサイトをみたりして遊んでいた…」
ということもありません。
インターネットの受講生専用ページでも同じものを公開していますので、パソコンやスマホでも見ることができますよ。
最大の特徴は「練習回数が少ないこと」。
お手本をよく観察し、ていねいに正しく書くことを目標とします。
「ていねいに書く」
「正しく書く」
「ゆっくり書く」
「姿勢を整える」
「文字を書くことの抵抗を減らす」
「漢検合格を目指す」
などなど、お子様に合わせて、目標設定をすることが可能です。詳しくはホームページをご覧ください。
このブログは、四谷学院「発達支援チーム」が書いています。
10年以上にわたり、発達障害のある子どもたちとご家庭を支援。さらに、支援者・理解者を増やしていくべく、発達障害児支援士・ライフスキルトレーナー資格など、人材育成にも尽力しています。
支援してきたご家庭は6,500以上。 発達障害児支援士は2,000人を超えました。ご家庭から支援施設まで、また初学者からベテランまで幅広く、支援に関わる方々のための教材作成や指導ノウハウをお伝えしています。
このブログでは、発達障害のあるお子様をはじめ保護者の方やご家族、支援者の方が笑顔で毎日を過ごせるよう、療育・発達支援のヒントを発信していきます。
コメント