
監修:計野 ちあき(言語聴覚士)
ことばの発達相談室ほっとほっと代表
都内の市や区において指導や研修を担当。言葉と発達相談室 ほっとほっとでは、言葉の発達やコミュニケーションに関しての相談を伺い、お子様の発達に合わせた指導を行っている。詳しいプロフィールはこちら。
こんにちは、55レッスンの生田です。
「二語文が話せません」
2歳~3歳のお子さんをもつ保護者の方から、このようなお悩みをいただくことがあります。
今回は、「二語文が話せない」お子さんに考えられる理由と、ご家庭でできる2つの支援をご紹介しています。
目次
ことばが出ない理由

「語彙は増えているはずなのに、二語文で話さない」
「二語文で話すことはあるけど、コミュニケーションが続かない」
というように、発語はあるけれど会話が広がらないというケースがあります。
ここでは、見落としがちな2つの原因をご紹介します。
語彙の種類が偏っている

とにかく単語をたくさん覚えれば二語文を話せるようになるのかと言うと、実はそうではありません。二語文には、以下のような品詞の組み合わせがあります。
「そら あおい」 ……「名詞+形容詞」
「ワンワン ふわふわ」……「名詞+副詞」
単語は増えているのに二語文が出てこない、という場合は、単純に語彙の数が少ないだけでなく、たとえば名詞ばかりを覚えていて、動詞や形容詞の語彙の数が少ない、という可能性も考えられます。
語彙の意味を理解できていない

「ニャンニャン」「しろい」「はしる」などの名詞や形容詞、動詞などの語彙を覚えられていても、二語文が話せないこともあります。その理由として多いのが、語彙の意味や使い方を理解できていない、というケースです。
単語を話せていると、大人は「意味を理解して使っている」と思いがちですが、覚えたことばの音や響きをただ再現していたり、オウム返しのように大人のマネをしているだけだったりということもありえます。
発語ができても、それが何を指すのか、どういう状態のことを言っているのかを分かっていなければ、二語文として組み合わせることはできません。
また、子どもの視線や行動で何を言いたいのかを先読みして大人が要求を満たしてしまい、話す機会を失っている場合も考えられます。
ご家庭でできる2つの支援法
ここまで挙げたように、一括りに「ことばが出ない」と言っても、その原因はお子さまによって様々です。ここからは、ご家庭でできる具体的な支援法を2つご紹介していきます。
部分的に復唱させる
部分的に復唱させる・初語から広がらない、というお子さんに、いきなり二語文を話すようにうながしても上手くいかないものです。まずはスモールステップで、部分的に大人のマネをしてもらうとよいでしょう。
保護者:「なに たべる?」
子ども:「すいか たべる?」

このように、目の前に実物がある状態だと、「なに」=「スイカ」とことばが出やすくなり、かつ「たべる」の部分は復唱するだけでいいので、おのずと二語文で返しやすくなります。
さらに、このやりとりのあと実際にスイカを食べてもらうことで、ことばと体験が結びついて、「たべる」という単語の理解も深められることでしょう。
この「復唱させる」という行為は、二語文に発展する上で非常に重要なステップです。
同じモノを見て話す

手を洗って、冷たいと感じている時に「て つめたいね」
踏切が鳴っている時に「ふみきり カンカンだね」
アイスを食べて、おいしそうにしていたら「アイス おいしいね」
など、二語文をうながすチャンスは日常にあふれています。
この時に大切なのは、大人と子どもが同じモノを見ている時に声をかける、ということです。
たとえば、「おなは きれいだね」と話しかけた際に、子どもは空に浮かぶ雲を眺めていたとしたら、「おはな きれい」という言葉の理解にはつながりませんよね。そこで、まずは「ほら、見てごらん」という風に声をかけたり、指さしをしたりして、子どもの注意を引いてから話すことが重要です。
「同じモノを一緒に見ている」と子どもが理解できるようになると、ことばの発達だけでなく、他者に共感する力も育っていくことが期待できます。
絵本を活用しよう

「同じモノを見る」には、「絵本」もうってつけなアイテムです。
何度も繰り返し読んでいる絵本だと、先の展開が予測できるので二語文をうながしやすくなります。
「わんわん びゅーん!」
「わんわん びゅーん!だね、とってもはやいね」
「このあと どうなる?」
「うさぎ ねんねする」
「うさぎ ねんねしているね、気持ちよさそうだね」
このように、会話の中で子どもから発せられたことばをまねて返すことで、お子さんは自分の言葉が伝わったとを感じることができます。保護者は別のことばを付け加えるなどして、言い方をアレンジしながら先の展開を促せるといいでしょう。
まとめ:二語文を話せるようになるために

いかがでしたか?
今回は二語文を話せないお子さんに対して、考えられる理由と、ご家庭でできる2つの支援をご紹介しました。
前提として、つまずいているポイントや適切な支援の方法というのは、ひとりひとり異なるものです。気になる場合は、一度専門家に相談してみてもよいでしょう。
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このブログは、四谷学院「発達支援チーム」が書いています。
10年以上にわたり、発達障害のある子どもたちとご家庭を支援。さらに、支援者・理解者を増やしていくべく、発達障害児支援士・ライフスキルトレーナー資格など、人材育成にも尽力しています。
支援してきたご家庭は6,500以上。 発達障害児支援士は2,000人を超えました。ご家庭から支援施設まで、また初学者からベテランまで幅広く、支援に関わる方々のための教材作成や指導ノウハウをお伝えしています。
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