
ことばがなかなか増えないお子さんに対して、あなたはどのような支援をしていますか?
“ことばは自然に身につくもの”と思われている方にとって、「ことばを教える」というのは少しハードルが高いように感じられるかもしれません。
でも、ポイントを掴めば、誰でも日々のかかわりの中で教えていくことができるんです。
今回は「ことばを育む」シリーズの第2弾です!
動画はこちらをどうぞ!
第1回の記事 ⇒ことばを話せるようになる3つの条件とは?ことばの発達の目安はある?
第2回の記事 ⇒この記事です
第3回の記事 ⇒ことばの発達が気になる子どもの語彙を増やすには?
ことばの発達のプロセス
前回は、ことばを話せるようになる3つの条件と、ことばが育つプロセスについて解説しました。
2.単語を覚える
3.言葉でコミュニケーションをはかる
4.文法を理解する
5.会話ができるようになる
ことばは、おおむねこのような段階を踏んで言葉を身に付けていくのでしたね。
ことばの発達のどのプロセスでつまずいているかによって、適切な働きかけは変わってきます。
今回は、2つ目の「単語」のつまずきへのアプローチについて、発達のプロセスを踏まえながら一緒に考えていきましょう。
名詞を教える

多くの子どもは、大人とのやり取りの中で「わんわん」「ブッブー」といったことばを自然に身につけていきます。
しかし、発達障害のあるお子さんの中には、こうした日々の声かけだけではなかなかことばが定着しない子もいます。
そのようなお子さんには、実物を見せて「これは、りんご」「これは、いす」といった風に、1つ1つ単語を教えていく必要があるでしょう。ただ、現実的に考えて、身の回りにあるモノだけで何千とある語彙を定着させるのは難しいですよね。
そこでおススメなのが、絵カードです。
絵カードであれば、いろいろな単語をどこでも、制限なく教えることができます。
まずは「コップ」「ティッシュ」など、本人の身の回りにあり、よく使うものから選んで少しずつ語彙を増やしていけるといいでしょう。
ただし、絵カードは構造が単純で分かりやすく、子どもにとって覚えやすいという利点がある一方で、そればかりやり続けると「絵カードでしか答えられない」「実物を見たときに単語と一致しない」といった問題が生じることも。
そうならないためにも、日々の生活の中で同じモノを見つけたら、絵と実物を一致させていくことが大切です。
絵カードを見せて「これと同じモノはどこにある?」と探させてみたり、実物を指して「これはなんていうんだっけ?」と尋ねてみたりして、お子さんのことばの理解を深めていけるとよいでしょう。
動詞を教える

動詞も名詞と同じように絵カードを使って教えることができます。
たとえば「あるく」という動詞を教えたい場合、「あるく」を表す絵カードを見せた上で、実際に大人が歩いてみせます。
何度か繰り返したら「あるく、のカードはどれ?」と訊いて、複数あるカードの中から正しいものを選べるか確認しましょう。ことばと絵カードが一致するようになったら、「あるく、ってどうするんだっけ?」とお子さんにも実演してもらいます。
ここでも、学んだ単語は日常生活の中で積極的に使うようにしましょう。
「つみき とって」「テーブル ふいて」といった風に、覚えた名詞と組み合わせ、お子さん自身に何かを“お願い”するのもおススメです。
もしもお子さんが指示通りに行動しようとしたら、必ずその行動をほめてあげてください。そうすることで、こちらからのお願いに対して、ただの作業で終わることなく、達成感を得られやすくなるからです。
私たち大人もそうですが、なにか新しいことを学ぼうとするとき、丸暗記しようとしてもなかなか覚えられませんし、何よりつまらないですよね。
でも、それがたとえば興味のあるものだったり、実際に体験した出来事だったりするとスッと頭に入ってくることがあります。
なので、ことばに限らず、子どもに何かを教えるときは「子ども自身が自分事化できているか?」という視点を大切にできるとよいでしょう。
抽象的なことばを教える

基本的な名詞・動詞を覚えたら、色や形、大きさなど、ものの様子・性質を表す抽象的なことばも教えていきます。
こうした単語は、名詞のように目に見えるわけでもなく、動詞のように実演もできないので、理解するのに時間がかかるお子さんも少なくありません。
おススメは、“五感”を使って教えることです。
たとえば、ビー玉を実際に握ってもらいながら「ビー玉は、丸いね」と伝えると、「丸い」ということばに関して直感的な判断をくだしやすくなりますよね。
ほかにも、お友達同士で手のひらを重ね合わせてどちらが“大きい”か比べてみたり、積み上げた積み木の“高さ”を比べてみたりと、『見て触って確かめる』体験はどんなことばにも有効です。
繰り返しになりますが、大切なのは、子どもの「知りたい!」という知的好奇心を引き出すこと。
「これはなにかな?」「あれはなんていうんだろう」と、子どもが外の世界に興味をもてるように、大人は日々の生活の中でいろいろな体験を促してあげられるといいですね。
ことばを教えるということ

いかがでしたか?
「あるく」や「大きい」といった単語について、『教える』という意識をもって子どもと接することがなかった、という方も多いのではないでしょうか?
ことばの遅れがあるお子さんには、大人が思っている以上に、じっくりと丁寧に、そしてスモールステップで物事を教えていく必要があります。
焦らず、お子さんと一緒に過ごす時間を楽しみながら、今回ご紹介した内容を実践してみていただけると嬉しいです。
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このブログは、四谷学院「発達支援チーム」が書いています。
10年以上にわたり、発達障害のある子どもたちとご家庭を支援。さらに、支援者・理解者を増やしていくべく、発達障害児支援士・ライフスキルトレーナー資格など、人材育成にも尽力しています。
支援してきたご家庭は6,500以上。 発達障害児支援士は2,000人を超えました。ご家庭から支援施設まで、また初学者からベテランまで幅広く、支援に関わる方々のための教材作成や指導ノウハウをお伝えしています。
このブログでは、発達障害のあるお子様をはじめ保護者の方やご家族、支援者の方が笑顔で毎日を過ごせるよう、療育・発達支援のヒントを発信していきます。



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