コミュニケーションが苦手な子どもの会話スキルを上げるには?【ことばを育むシリーズ③】

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発達障害のあるお子さん、特に自閉症スペクトラムのお子さんの中で、ことばの遅れはないけれどコミュニケーションがうまくできない、というお子さんがいらっしゃいます。

こうしたお子さんに対して、あなたはどうやって会話の仕方を教えますか?

今回は、「ことばを育む」シリーズの第3弾です!

第1回の記事 ⇒ことばを話せるようになる3つの条件とは?ことばの発達の目安はある?
第2回の記事 ⇒ことばの発達が気になる子どもの語彙を増やすには?
第3回の記事 ⇒この記事です

ことばの発達のプロセス

ことばの発達のプロセスを大きく分けると、

1.大人とのやりとりを体験する
2.単語を覚える
3.言葉でコミュニケーションをはかる
4.文法を理解する
5.会話ができるようになる
このような段階を踏んで言葉を身に付けていくのでしたね。

ことばの発達のどのプロセスでつまずいているかによって、適切な働きかけは変わってきます。

今回は5つ目の「会話」のつまずきへのアプローチについて、発達のプロセスを踏まえながら一緒に考えていきましょう。

会話は高度なソーシャルスキル

私たち大人の中にも『会話が苦手』という人が決して少なくないように、会話というのは高度なソーシャルスキルの1つです。

相手とテンポを合わせて話したり、身振り手振りを入れたり、適切なあいづちを打ったり、相手の表情を気にかけたり………

普段、何気なく交わしている会話ですが、実はこんなにも色々な行動が要求されています。

そして、発達障害のある子どもたちの中には、こうした会話スキルを苦手とする子が少なくありません。

「いつか自然とできるようになるだろう」と先送りをしていると、ますます人とのコミュニケーションに苦手意識を感じるようになりかねませんから、なるべく早い段階から支援を行うことが大切になります。

会話を促す取り組みの一例

ここからは、会話のスキルを上げるために園や学校でできることについてご紹介していきます。
ぜひ、お子さんが楽しめる形でアレンジしながら取り入れてみてくださいね。

1問1答式でやりとりする

話すことそのものが苦手なお子さんの場合、まずは、一問一答形式でやり取りを行うのがおススメです。

質問の内容は、お子さんの話しやすい話題なら何でも構いませんが、一問一答の形式は守る用にしましょう。つまり、『1度に尋ねることは1つまで』とします。

たとえば、好きなアニメについて尋ねるときに「いつ、どうして好きになったの?」という訊き方をすると、質問の内容を理解するのも、答えを考えるのも時間がかかってしまいます。

なので、はじめのうちは「好きなアニメはある?」「それはなに?」「いつから好きなの?」「どうして好きになったの?」という風に、1つずつ質問を投げるようにしてください。

もしもことばに詰まってしまったら、イエス・ノーで答えられる形で問い直したり、思い出しやすいようにイラストを見せながら質問したりと、大人がうまくフォローしてあげることも大切です。

というのも、このやりとりの時間を子どもに「楽しい!」と思ってもらえないと、大人との会話がすべて「トレーニング」になってしまうからです。

『話しやすい環境』を整えてあげることが、お子さんの『話したい!』という意欲を引き出します。ぜひ「無理なく、楽しく」をモットーに取り組んでみてくださいね。

ふさわしい態度をとる

会話は、聞く側の態度もとても重要です。
言葉が少々ぎこちなくても、態度から誠意を読み取ってもらえることもあるからです。

・身体の正面を相手に向ける
・相手の目を見て話す
 苦手な場合、眉間や鼻、あご、ネクタイの結び目あたりを見る
・声の大きさやトーンを相手に合わせる
・相槌を打ちながら話を聞く
・(悲しい話題でなければ)口角を上げる

このように、なるべく具体的な“聞き方”を教えるのがポイントです。

とは言っても、相手の話に頷くタイミングや声の大きさ、声のトーンなど、その場の状況によって変わるものは一概に「こうするとよい」というのは言えませんから、実践を積んでいくことが大切になります。『ごっこ遊び』などを通して、いろいろな状況を想定したロールプレイングができるといいでしょう。

また、お子さんが上手に話を聞くことができたら、何がどうよかったかを具体的に伝えることも大切です。

「一生懸命、頷きながら話を聞いてくれたから、話していて楽しかったよ」
「笑顔でこちらを見てくれていたから、安心して話せたな。ありがとう」

こんな風に、自分の態度が相手にどんな影響を与えるかが分かるようになると、聞くスキルがまた一段と上達するかと思います。

戦略を立てることも大切

いかがでしたか?

会話をはじめとするソーシャルスキルは、人によって得意不得意が大きい分野です。

なかには、どうしても自分の話をするのが苦手、というお子さんもいらっしゃるかもしれません。

そうしたお子さんの場合、まずは聞き上手になることを目指す方がその子にとって効果的な戦略となることもあるでしょう。

できている部分を伸ばしていくことで苦手がカバーされることもありますから、大人はお子さんの様子をよく観察しながら、無理なく楽しめるようなやり方で取組んでみてほしいと思います。

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