放課後等デイサービスを選ぶ時に気を付けたいこと4つ

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こんにちは。
四谷学院の療育通信講座、55レッスンのブログ担当 neco です。

今回の記事は、「放課後等デイサービスの選び方」についてです。

学童保育と放課後等デイサービスの違い

小学生が放課後の時間を過ごす場所として、自治体や民間事業者によって、さまざまな学童保育が運営されています。

 

代表的な学童保育の例
■放課後児童クラブ(学童クラブ)
■放課後子供教室
■民間の学童保育
など

 

これらの一般的な学童保育は、小学校の空き教室や児童館などに大勢の子供たちが集まる形で運営されているところが多くあります。
狭い空間に元気いっぱいの子供たちが大勢集まれば、騒ぎやケンカは当たり前。
発達に偏りがあったり、感覚が繊細だったりする子供たちにとっては、居心地が良いとは言い切れない環境になっていることもあるかもしれません。

▲ワイワイと賑やかな環境では落ち着いて過ごせない子もいる

一般的な学童保育では安心して過ごせない子供たちのために力になってくれるのが、放課後等デイサービスです。
略して「放課後デイ(ほうかごでい)」「放デイ(ほうでい)」などと呼ばれることもあります。
身体・発達・精神などの種別に関係なく、障害のある児童が利用できます。
療育手帳や身体障害者手帳なども必須ではないため、グレーゾーンや学習障害などの「一見するとわかりにくい」苦手さを持つお子さんにも利用しやすくなっています。

放課後等デイサービスの選び方

ところで、実際に利用するとなると、気になるのが「どんな放デイを選べばいいんだろう?」ということ。
さまざまな弱さ・苦手さを持つ子供たちが通う場所だからこそ、環境には気を配ってあげたいものですよね。
そこで以下では、放デイを選ぶ際に気を付けてチェックしておいた方が良いことをピックアップしてご紹介します。

物理的な環境

人は、周囲の環境から、自分が意識する以上の影響を受けています。
音、光、匂い、動くモノ、置いてあるモノ、文字や絵・・・
大人は、これらの情報の中から自分にとって必要があるものだけを受け取り、必要がないものを自然と無視できるのですが、発達に偏りや幼さのある子供たちは、このような情報の取捨選択が苦手です。
風に揺れたカーテンがちらりと視界の端をよぎっただけで気を取られてしまったり、屋外を通る車の音が気になって課題に集中できなかったりすることも。
すべての環境をどんな子供たちにも合うように設定することは現実には難しいですが、少なくとも、苦手さのある子供たちに配慮した環境設定が意識されているかをチェックするようにしましょう。

 

苦手さのある子供たちに配慮した環境設定の例
■室内の明かりはチラつきの少ない光源にする
■おもちゃや本などが視界から消えるように片づけられる(カーテンで覆う、扉つきの棚にしまう等)
■どこに何を片づけるかが視覚的に明確になっている
■文字だけでなく絵や写真で指示がある
■掲示物が多すぎない
■クールダウンスペースがある
■エネルギーを発散させる工夫がある(走り回るスペースがある、ボルダリングなど筋肉を使う設備がある等)
■屋外の音が聞こえすぎない
■窓をカーテン・ブラインド・雨戸等できっちりと覆うことができる
■近隣に匂いや騒音のもとになる施設(料理店、ゲームセンター等)が少ない

 

特に苦手な感覚があるお子さんの場合はその点を重点的にチェックし、仮に施設側の対策が不十分だった場合、追加で対応をお願いできるかも確認すると良いでしょう。

以上は施設内部の環境についてですが、施設の立地ももちろん大事。
どんなに良い施設でも、学校や自宅から1時間も2時間もかかってしまうのでは、とても通い切れませんね。
学校や自宅から通いやすいか、送迎の手段はあるか等、それぞれのご家庭にとって必要な条件をピックアップして確認しておきましょう。

どんな人が関わっているか

「環境」とは、物だけがつくるものではなく、人がつくる側面もまた大きいものです。
どんなに優れた設備を持った施設も、それを支えるスタッフによって、雰囲気が大きく変わってきます。
放デイを選ぶ時には、どんな人がその施設に関わっているのか、直接会って、話して、その雰囲気を知ることはとても大切です。

厚生労働省のガイドラインでは、放課後等デイサービスの「適切な職員配置」を以下のように定めています。

「放課後等デイサービス事業所においては、指導員又は保育士、児童発達支援管理責任者、機能訓練担当職員(機能訓練を行う場合)の配置が必須であり、重症心身障害児に対して放課後等デイサービスを行う場合は、指導員又は保育士に替えて、児童指導員又は保育士、さらに嘱託医、看護師、機能訓練担当職員の配置を行い、医療的ケア等の体制を整える必要がある。」

引用:厚生労働省 放課後等デイサービスガイドラインについて 2015年4月1日報告書
放課後等デイサービスガイドライン(本文).pdf

 

どんな放デイにも、必ず「児童発達支援管理責任者」という役職のスタッフがいます。
(略して「児発管(じはつかん)」と呼ばれることがあります。)
この方が中心となって施設の児童支援の方針を策定されることが多いので、可能な限りこの方と会ってお話を聞いてみると良いでしょう。
人の集団は、中心となる人の志向や性格によって、驚くほど雰囲気が変わるものです。
児発管さんがいつもニコニコしている施設はなんとなく全員が和気あいあいと働いていたり、児発管さんがきっちりと筋の通った方だと、スタッフ全員もピリッと気を引き締めて働いていたりします。
保護者としての直感で全体の雰囲気を掴んでみましょう。
また、機能訓練を行ったり、重症心身障害児を受け入れたりする場合は、それぞれ専門の職員が在籍しているはずです。
必要に応じて、どのような体制でケアが行われているかを確認しましょう。

▲中心となる人物の個性によって、人の集団の性格は大きく変わる

スタッフの支援の力

一人ひとりのスタッフが持つ「支援の力」も、健やかな関わり合いのためにとても重要です。
ここで大切なのは、療育についての知識を持っているかどうかはさほど問題ではないということです。
もちろん、療育についてしっかりした知識を持っているスタッフさんが揃っていれば、それに越したことはありません。
が、療育において最も大切なのは、相手に合わせて柔軟に対応しようとする感性です。

支援の力にすぐれたスタッフは、目の前にいる「この子」の様子をしっかりと見つめて、この子が何を求めているか、どんな対応を心地よいと感じるか、何を不快に思っているか、何が得意か、何が不得意か、どうすれば苦手を乗り越えられるか、得意なことにもっとのめり込むことができるか・・・ といったことを感じ取ろうとし、大人からのさまざまな働きかけに対しての子供の反応を見て、自分の働きかけの仕方を瞬時に微調整しています。
療育の知識は、その微調整の仕方をサポートするに過ぎません。

施設のスタッフの支援の力を知るには、保護者がその方のお話を伺うだけでなく、実際にその方がお子さんの対応をしている様子を見学させていただくことをお勧めします。
子供への対応は実に丁寧で親身だけれど、保護者とのやりとりは苦手でややぎこちない、、、というタイプのスタッフさんもいらっしゃいますし、お子さんとその方との相性もあります。
可能ならば、施設を利用予定のお子さんもご一緒に見学に行くと、なお良いでしょう。

▲実際にスタッフと子供たちがどのように関わり合っているかを見学させていただくとよい

家庭・学校・地域との連携

療育は、個人対個人の関わりの中だけで完結するものではなく、無数の人間関係の連なり合いの中で成立しています。
家庭や学校、近隣地域や自治体といったような、施設外部との連携がどのように取れているかも確認しておけると安心です。

■お子さんの送迎の際にしっかりとした申し送りができているか?
■保護者への報告は、良いこともたっぷり、悪いことも愛情を持って冷静に包み隠さず、できているか?
■学校との連携は取れているか?
■施設の存在が近隣住民に受け入れられているか?

などなど、お住まいの地域の特性に応じて、できる範囲で探ってみると安心でしょう。

放課後等デイサービスを選ぶ時に気を付けたいことのまとめ

以上、放デイを選ぶ時に気を付けたいことを、4つに分けてご紹介しました。

 

放デイを選ぶ時にはこの4つをチェックしましょう
1.弱さのある子に配慮した環境があるか?
2.トップ以下のスタッフの人柄と、施設全体の雰囲気は?
3.個々のスタッフの支援力は?
4.施設と施設外との連携は取れているか?

 

もちろん、この4つ以外にも、ご家庭それぞれのご事情によって、注意するべきポイントはさまざまにあると思います。
我が子が健やかにのびのびと心身をはぐくめる環境かどうか、親御さん自身もリラックスして我が子を預けられるところかどうか、じっくりと見つめてみてくださいね。
この記事が放デイ選びのご参考になれば幸いです。

こちらは、自閉症・発達障害の療育 四谷学院55レッスンのブログです。
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