こんにちは、四谷学院の生田です。
この記事では、武蔵野東学園の先生よりいただいた「感覚過敏と感覚統合」について解説をご紹介します。
武蔵野東学園は、55レッスンの教材編集にご協力くださっています。
https://yotsuyagakuin-ryoiku.com/blogs/musashinohigashigakuen/
目次
感覚過敏とは?
「感覚過敏」は文字通り、音、光、色、味、触覚などの刺激に対して、極度に強いストレスを感じることを言います。
たとえば、小さい音でもうるさく感じたり、テレビなどの画面がまぶしく感じられたり、シャワーを浴びるのを嫌がったり、粘土遊びを拒否したりすることもあります。
私たちが特に気にならないような音や色でも、過敏に反応してしまうので、日常生活の中で大きなストレスを感じてしまうことがあります。
他人の感覚は、どうしても想像がしにくいものなので
「すぎ慣れるよ!」
「気にしなきゃいいよ」
と言ってしまいがちですが、そうしたものではありません・・・
周囲の人から理解が得られない場合には、応援のつもりで言った言葉が、本人にはプレッシャーになってしまうこともあります。
感覚統合とは?
「感覚統合」とは、外界や身体内部から伝わってくる様々な感覚刺激を、適切に処理し、適応行動に結びつける脳の中でのプロセスのことです。
感覚刺激の交通整理ともいえます。
子どもには、この能力を発達させるための内的な欲求があり、様々な遊びに没頭します。
そのため、家でも日中活動の中に手や身体、頭を使う遊びや活動を多く取り入れることが大切です。
無理やり経験させることは、逆効果になることも
感覚過敏のあるお子様に苦手な感覚を無理やり経験させることは、逆効果になることがあります。
発達により感覚の過敏が軽減されたあとも、嫌な印象が残ってしまうことがあるからです。
同じ活動でも、聴覚や触覚などの刺激がいつ来るのかわかっていて、安心できる環境であれば受け入れられることもあります。
予期できるようにスケジュールや活動内容を予め説明しておくことも必要です。
楽しさと組み合わせる
普段は気になる音や感触でも、楽しい活動と組み合わせることで気にならなくなるといった事例があります。
たとえば、大好きな体育の授業で友だちとかけっこをするときは、その時に大きな音で音楽が鳴っていても気にならない、耳ふさぎをしないなどです。
かならずしも過敏を改善させるというところに視点を置かず、ポジティブな体験をさせてあげるといった観点でお子様を見守るとよいのではないでしょうか。
対応例
[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”1.jpg” name=”A さん”] うちの子は、感覚過敏があるみたいで、粘土を触ったり泥団子を作ったりができません。 [/speech_bubble]感覚過敏のうち、特に触覚の過敏があることを「触覚過敏」といいます。しかし、触覚過敏があるからと言って、すべてのものに触ることを拒否するわけではありません。
もしかすると、触覚過敏ではなく、単に手が汚れるのが嫌いなのかもしれません。
もしかすると、粘土の見た目が嫌なのかもしれません。
そこで、こんな風に試してみます。
粘土や泥に代わるもの、たとえばクッキー生地を触る練習をするとよいでしょう。
クッキー生地で動物や乗り物などの型抜きをしたり丸めたりして、焼いて食べる活動は、達成感が得られポジティブな体験となるでしょう。(おいしくできたら、なおグッド!)
ハンドクリームなどを手に少し塗って延ばしてみるのもよいでしょう。いい香りがして、手がつるつるになるのもポジティブな体験の1つですね。
生活の中の素材を使う、手を使う
※写真は「スライム」です。
生活の中では、色々な素材があります。石鹸1つとっても、液状のハンドソープもあれば固形石鹸もありますね。ご家庭にあるいろいろな触感の素材に触れる経験を重ねていきましょう。
そして、さまざまな手を使う活動を生活の中に取り入れることが大切です。
対応例
色々な活動を通じて経験を積むことで、徐々に感覚過敏を軽減していくことはできますが、とはいえ活動に支障が出てしまう場合もあります。無理に我慢させるのは望ましくありません。
例えば・・・
聴覚過敏であればイヤーマフを付ける
視覚過敏であれば優しい色合いの文房具を使う
触覚過敏で糊の感触が苦手であれば、代わりにシールを使う
などなど。ちょっとした工夫で活動に参加できるようになるはずです。
「黒板をひっかく音を聞きながら計算問題を解きなさい」
と言われたら、集中できませんよね?
それどころか、イライラして気分が悪くなります。
そういったイメージなんです。
そこで計算を間違えてしまい、さらに「集中しなさい!」と叱られては・・・活動に参加したくなくなってしまいますね。
普通ならば、「黒板をひっかく音をなくす(小さくする)」という方法をとります。
「計算問題に取り組む」という目的ですから、場所を変える、耳栓を使う、時間を変える、といった発想をします。
「活動させない」のではなく、「どうしたら活動に参加できるか?」を考えましょうね。
ちょっとした工夫で「できる」が広がります
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課題には多くのバリエーションをご用意しました。自然と応用力を身につけていくというカリキュラムで、お父様・お母様とお子様が一緒になって、できることが少しずつひろがっていく実感が得られます。
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このブログは、四谷学院「発達支援チーム」が書いています。
10年以上にわたり、発達障害のある子どもたちとご家庭を支援。さらに、支援者・理解者を増やしていくべく、発達障害児支援士・ライフスキルトレーナー資格など、人材育成にも尽力しています。
支援してきたご家庭は6,500以上。 発達障害児支援士は2,000人を超えました。ご家庭から支援施設まで、また初学者からベテランまで幅広く、支援に関わる方々のための教材作成や指導ノウハウをお伝えしています。
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