【発達障害】かんしゃくを起こしやすい子ども どう対応すればいい?

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こんにちは、55レッスンの生田です。

「うちの子、かんしゃくを起こしやすくて困ってるんです」
「学校でお友だちに乱暴な言葉を使っていないか心配で……」

こんなお悩みを耳にすることがあります。

かんしゃくがなかなかおさまらないと、保護者の方もつい
「静かにしなさい!」
と強く叱ってしまうこともあるかもしれません。

でも、怒りの感情に身を委ねるしかない状況に苦しんでいるのは、お子さまも同じですよね。
かんしゃくは、自分ひとりで抱えきれない気持ちを処理するための、お子さまなりの精一杯の対処法なのかもしれません。

今回の記事では、そんな”怒り”との上手な付き合い方や、その適切な伝え方についてご紹介しています。

怒りと距離を置く

“怒り”は誰にでもわきおこる感情です。
感情のままに怒るのも、無理やり気持ちをコントロールしようとするのも、どちらも辛いものですよね。

そんなときに大切なのは、
「今、自分は怒っているな」
とお子さんに気づかせてあげることです。

「そんなこと?」と思われるかもしれませんが、自分の感情を客観的に評価することって、意外とむずかしいんです。
怒りに気づくことができたら、自分の感情と少し距離が生まれますよね。
怒りと距離を置けたら、そのあとに続く自分の行動をコントロールしやすくなります。

クールダウンスペースを用意する

事前準備として、感情が爆発しそうになった時に、一時的に避難できるクールダウンスペースをつくりましょう。
最近は簡易テントのようなものも売られていますから、ご家庭でも簡単に用意することができます。

クールダウンスペースには、お子さんの好きなぬいぐるみやお気に入りのクッションなど、心を落ち着けられるアイテムを置いておくことで、より一層「安全基地」としての役割が強まります。

はじめのうちは、お子さんがかんしゃくを起こしそうになったら、保護者がクールダウンスペースまで連れていってあげましょう。
「この場所に来れば気持ちが落ち着く」という体験を繰り返す中で、怒りを感じた時、自発的に活用できるようになることが期待されます。

自分を落ち着かせるおまじない

自分を落ち着かせるおまじないをもっておくことが効果的な場合もあります。
怒りを感じたときに、自分の気持ちに上書きできるワードを事前に考えておきます。

おまじないの言葉
大丈夫、大丈夫
ゆっくり、深呼吸
なんてことないよ

心の中で唱えるのでもいいですし、実際に声にだしてみてもかまいません。
紙に書いて”お守り”としてもっておくのもおすすめです。
大切なのは、お子さん自身が「このおまじないがあれば大丈夫」と思えることです。

はじめのうちは、お子さんがカッとなったとき「おまじないは何だっけ?」と保護者が声をかけてあげられるといいでしょう。
怒りに気づいて、ひとりで落ち着くことができたら、うんとほめてあげてくださいね。

モヤモヤを言語化する

発達障害のお子さんは、その特性ゆえに、ストレスを感じやすい場面が多いかもしれません。
そこでおすすめなのが、その日のモヤモヤした気持ちを言葉にして、実際にノートに書いてみる、という方法です。

そうすることで、自分の行動を客観的に振り返ることができ、次に同じ場面になった時、怒りの気持ちと距離を置きやすくなります。
フィードバックの際には、「つらかったね」「大変だったね」という共感の言葉とともに、「おまじないを唱えられたんだね。すごい!」など、肯定的な言葉も添えられるといいでしょう。

自分の気持ちを伝える

さて、ここまでは怒りとの上手な距離の置き方についてご説明しました。
怒りと距離を置くことができたら、次のステップは、自分の気持ちを適切に伝えられるようになることです。

怒りの原因って、本当にさまざまですよね。

遊びがうまくいかないから
きらいな食べ物がでてきたから
赤ちゃんの泣き声が聞こえてきたから……

実際、お子さん自身もストレスの原因をよく分かっていない場合が多く、そのもどかしさが怒りにつながってしまうこともあります。
そうした時に大切なのは、怒る以外の解決法を見つけること
つまり「困っている」「手伝ってほしい」と大人に助けを求められるようになることです。

「助けて」を言えるように

「困ったら声をかけてね」と言うだけでは、お子さんには伝わらないことがあります。前述したように、お子さん自身「困っていること」を把握していないまま怒ってしまう場合があるからです。
大切なのは、子どもの自主性を重んじつつ、適切なタイミングで保護者が助けてあげることです。

たとえば、お子さんがひとりで積み木遊びをしていて、何度積み上げても同じところで失敗していたとします。
そしたら、お子さんがかんしゃくを起こす前に、「これはどう?」と声をかけて、ちょうどいい大きさの積み木を渡してあげましょう。
実際に積み木を置くのは、お子さん自身にやってもらいます。

こうした保護者とのかかわり方によって、お子さんは失敗体験ととらえずに次に進めることができますし、「誰かに助けてもらうとうまくいく」という経験にもつなげられますよね。

自閉スペクトラム症や知的障害のお子さんのなかには、言葉にして伝えることが苦手な子もいるかもしれません。
そのような場合は、困ったときに保護者に渡す「困ったカード」を作ってみるのも1つの方法です。言葉で「これをやってほしい」と伝えるよりも、助けを求めるハードルを下げることができます。

  • うまくいかない場面がでてきたら、カードをお子さんに持たせる
  • カードと引き換えに”少しだけ”保護者がお手伝いをしてあげる
  • 繰り返すうちに「カードを渡したら手伝ってもらえる」と分かるようになる!

困ったときに「助けてほしい」と伝えられることは、対人関係を築く上でとても大切なソーシャルスキルですから、お子さんに合った方法を見つけられるといいですね。

あったか言葉、チクチク言葉

一方で、お友だちにいやなことを言われたときなど、明確な理由があって怒りを感じることもあるかと思います。
怒りの感情と距離を置くことは、NOを伝えないということではありません。

大切なのは、伝え方ですね。

怒りのままに言葉をぶつけてしまうと、攻撃的で乱暴なチクチク言葉になりがちです。
相手に分かってもらえるように伝えるためには、チクチク言葉にならないように、その人を思いやった言葉を選ぶ必要があります。
伝える言葉が決まっているわけではなく、相手によって柔軟に変えていく必要があるので、これはなかなか難易度が高いです(大人でもむずかしい場面ってありますよね……)。
日ごろからあったか言葉を意識して使えるように、ご家庭でも練習しておけるといいですね。

あったか言葉、チクチク言葉については、以下の記事で詳しく紹介しています。
https://yotsuyagakuin-ryoiku.com/blogs/kotoba-attakaandchiku2/

それでも怒りが収まらない場合は

かんしゃくが収まらないときは、保護者が必要以上に干渉しすぎないことも大切です。
「かんしゃくを起こしたらかまってもらえる」
「怒ったら問題を解決できる」

とお子さんが認識をしてしまうこともあるからです。

時間がかかっても構いませんので、お子さんが一人で落ち着くことができたら、たくさんほめてあげてくださいね。

保護者のかかわり方
・かんしゃくを起こしている最中は、なるべくそっとしておく
・一人で落ち着くことができたら、たくさんほめてあげる!

怒りはエネルギーの強い感情ですから、はじめからうまく対処できるようになるわけではありません。
長い目で見て、少しずつ、自分の感情とうまく付き合えるようになるといいですね。

四谷学院の55レッスンでは、体系化されたカリキュラムを通して、ご自宅でもソーシャルスキルトレーニングを学ぶことができます。
一人ひとりに担任がつきますので、うまくいかない場合には、お子さまに合ったアドバイスを得られます。

詳しくはHPをご参照くださいね。

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