こんにちは。四谷学院の療育通信講座、ブログ担当のnecoです。
前回のブログでは、お子さんの今の状況や課題の変化によって、構造化にも変化をつけるという考え方をご紹介しました。
今回は、構造化を増減するタイミングについて考えてみましょう。
目次
構造化を減らしても良い時・減らさないほうが良い時
減らしても良い時
わたしは、ご本人に積極的なやる気があれば、構造化を減らしても構わないと考えています。
「登校時の支度」など、よく慣れた環境で毎日行う手順から練習していくとスムーズでしょう。
写真カードから文字カードに変える、カードの枚数を減らす、軽いリマインダのみにする、などの方法で、支援の度合いを下げていきます。
構造化を減らしてみることで、「やってみたらできた」「できるようになっていた」という新しい自分に気付くきっかけにもなるでしょう。
前向きな自信につながり、お友達と自由に活動できる場面が増えるなど、良い影響が期待できます。
減らさないほうが良い時
一方で、構造化によって安定して生活できていて、状況がご本人にぴったり合っている時もあります。
このような時に構造化を減らすと、行動が乱れたり、気持ちが不安定になったりといった変化があるかもしれません。
この場合は、減らした構造化を元に戻して、落ち着いて生活できることを優先してあげると良いでしょう。
構造化を増やすべき時・増やさないほうが良い時
増やすべき時
逆に、日頃から行動が落ち着かない、パニックになりやすい、常同運動が絶えない、自傷行為が目立つなど、不安定な様子が見られる場合は、構造化を増やすことを検討しても良いでしょう。
(※構造化だけで問題が解決できるとは限りませんが、支援手段の一つとして効果が期待できます。)
増やさないほうが良い時
こだわりの強いお子さんの場合、構造化もこだわりの理由になり得ます。
特に、大人の指示を待つ姿勢が強かったり、合図がないと行動できなかったりするお子さんには、構造化がこだわりにつながることが多いように思います。
大人も子供も構造化に頼りきりになり、次々と構造化を増やして、「構造化のための構造化」といった様相を呈するようにもなりかねません。
この場合は、強すぎるこだわりを和らげてあげる働きかけを優先し、柔軟性を身に付けることを目的に環境を調整していくと良いかと思います。
構造化は必要最低限にして、定期的に絵カードの内容を変更するなど、穏やかな変化をつけてあげると良いでしょう。
構造化をなくすことが目標ではない
ここまで、構造化の増減について考えてみました。
構造化を行ったり変化させたりするための目的は、あくまでも「お子さんの状況に合わせて、今のお子さんが最もスムーズに行動できる環境を目指す」ことです。
(構造化なしの)一般的な生活スタイルを目指すことだけを目的として練習するのは、ちょっと違うのではないかなと思っています。
次回はこのことをもう少し深く考えてみましょう。
それでは、また。
自閉症の子の構造化は減らしていくべきかvol.1
⇒ 将来に備えて構造化がなくても生活できるようにしていくべきか?
自閉症の子の構造化は減らしていくべきかvol.2
⇒ 構造化を増減するタイミングは?
自閉症の子の構造化は減らしていくべきかvol.3
⇒ 構造化と上手に付き合う考え方とは?
このブログは、四谷学院「発達支援チーム」が書いています。
10年以上にわたり、発達障害のある子どもたちとご家庭を支援。さらに、支援者・理解者を増やしていくべく、発達障害児支援士・ライフスキルトレーナー資格など、人材育成にも尽力しています。
支援してきたご家庭は6,500以上。 発達障害児支援士は2,000人を超えました。ご家庭から支援施設まで、また初学者からベテランまで幅広く、支援に関わる方々のための教材作成や指導ノウハウをお伝えしています。
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