【発達支援を学ぶ】ABA(応用行動分析)とは?②

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こんにちは、55レッスンの生田です。

この記事では、ABA(応用行動分析)で、不適切な行動に対してどのようにアプローチができるかといったことを解説します。

前回の記事では、「ABAで望ましい行動を増やす方法」もご紹介しています。
https://yotsuyagakuin-ryoiku.com/blogs/manabi-aba1/

ABAで不適切な行動を減らすには

Yくんは特別支援級に通っている小学1年生の男の子。ADHDの診断があります。
Yくんは算数の課題中、15分以上座っていることができず、いつも課題をやめて歌を歌い出します。
先生はそのたびに課題に集中するように促しますが、Yくんの行動は一向に改善されません。

結果(C)を変えてみる

(A)課題を呈示される →(B)歌を歌う →(C)先生に注目される(注目行動)
Aは、先行事象(Antecedent)
Bは、行動(Behavioe)
Cは、結果(Consequence)
でしたよね。

望ましい行動を増やすためには、先行事象(A)や結果(C)を変えることが必要でした。
では、今度は「歌を歌う」という不適切な行動を減らすための対策を考えてみましょう。
注目行動が原因であれば、あえて反応しない、という対応が考えられます。

(A)課題を呈示される →(B)歌を歌う →(C)無視する

このように、不適切な行動を無視することをABAでは「消去」と呼びます。

無視をする≠冷たくする

誤解を生じやすいのですが、「無視をする」ということは「冷たく接する」ことではありません。
歌うことをやめられた時に、「課題に集中できたね」とほめるためにあえて一歩引くのです。

とはいえ、私たちは常に冷静沈着でいられるわけではありませんよね。
不適切な行動にイライラしたり、早くやめさせなければと焦ったりすることもあるかもしれません。

しかし、そうした場面でついその場しのぎの注意をしてしまうと
「いつもよりも大きな声で歌えば先生にかまってもらえる」
と子どもが誤った学習をしてしまい、不適切な行動はさらに強化されることになります。

うまくいかない場合は

もしも不適切な行動が一向に改善されない時は、「うまくいっていない状況」を改めて分析し、ABCフレームを修正してみましょう。

 困った行動(B)の原因は?   (A)or(C)どう変える? 
集中が続かない 課題の時間をさらに短くする(A)
もっと注目を引きたい 課題中の指導は別の先生に代わってもらう(A)
シール集めに飽きた もっと有効な強化子を用意する(C)
ABAに取り組むことで、子どもは適切な行動をすれば好ましい結果が得られ、不適切な行動をすれば思い通りの結果が生じないことを学習します。
すなわち、ABAを実践する上では、常に子どもの行動とその結果を観察し、望ましい行動が最も増える環境をその時々で整えていくことが重要となります。

ABAが目指すもの

ついつい忘れてしまいがちですが、私たちが目標としているのは、お子さまがじっとすることではなく、望ましい行動ができるようになることですよね。
大人が不適切な行動をなくすことに躍起になって、「歌を歌うと無視される」ことだけを学習すると、お子さんはどうなるでしょう?
歌を歌うこと自体に消極的になって、音楽の時間や家の中でも歌えなくなるかもしれません。
そうなってしまっては、ABAの取り組みがうまくいったとは言えませんよね。
ABAを実践する上では、まず「ほめて伸ばす」という姿勢が何よりも大切です。

家庭療育に取り入れられる?


ABAについて初学者から学べる本はたくさん出版されています。
もっと詳しく知りたい!という方は、ぜひ手に取って読んでみてほしいと思います。
一方で、日本でABA療育を提供している支援団体は増えてはきているものの、まだまだ多くはありません。
専門的にABA療育を受けたい場合は、各地域の発達支援センターや保健センター、児童発達支援事業所・放課後デイサービスなどに相談してみる必要があります。

55レッスンでは、毎月保護者の方と担任の先生との間でレポート形式の通信指導を行います。
今回の記事ではABAについてご紹介しましたが、発達支援のバリエーションは実にさまざまです。
お子様一人ひとりの状況を踏まえて、オーダーメイドのアドバイスをしていきますのでご安心ください。

詳しくはホームページをご覧ください。

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