絵カードとは?どんな時に使う?作り方は?【療育のヒント】

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こんにちは、発達障害児支援士の発田です。

あなたは「絵カード」をご存知ですか?

「絵カード」とは、身の回りのモノや人の行動などを、絵で簡単に表したカードです。
視覚的に情報をキャッチすることが得意なお子さんには、絵カードは特に効果的とされています。

この「絵カード」ですが、モノの名前を覚えたり、同じ種類のモノを集めてマッチングの練習をしたりと「知育のためのツール」として利用できるだけでなく、お子さんの生活をサポートする「コミュニケーションツール」としても使うことができるんです。

そこで、今回の記事では
●絵カードを有効に使える場面の例
●自分で作成する場合の注意点

の2つについて解説していきます。

動画での解説はこちら!

絵カードが有効なケース

1.毎日のルーティンとして使う

言葉かけだけではうまく行動に移せないお子さんの場合、絵カードを見せながら指示することで、「今、やるべきこと」が伝わりやすくなります。

たとえば、毎朝ダラダラと支度をして、いつも叱ってしまう……
こんなケースでは、絵カードを見せて

「歯を磨きます」
「手を洗います」
「朝ごはんを食べます」

というように、「何をやるのか」を視覚的に伝えることで、朝の支度がスムーズになることが期待できます。

この時、絵カードをその場で1枚ずつ見せると絵の内容がそのまま「今やってほしいこと」として伝わりますし、順番に並べて貼っておくと、朝の一連の流れが把握できるので、見通しをもって行動しやすくなるでしょう。

このように、絵カードは場所や人を問わず、どこでも活用することができます。
ただし、あまりにも情報が多いと活動の流れを整理することが難しくなりますから、並べるカードの量はお子さんによって調整できるといいでしょう。

2.不安が大きいときに使う

子どもはいつもと違う場所や初めてのことに対して、強い不安を覚えるものです。発達障害のあるお子さんは特にその傾向が強いため、あらかじめ「こういうことをやるよ」とわかりやすく子どもに伝えることで、不安を軽くすることができます。

たとえば、子どもにとって「怖い場所」の代表とも言える、病院。歯医者さんを例にとってみても

口を開けさせられる
ライトをあてられる
知らない器具をあてられる

といった処置によってパニックを起こすお子さんは少なくありません。いうなれば、この時のお子さんは「これから何をされるんだろう?」と不安が膨れ上がっている状態です。そのような状態で、いくら「大丈夫だよ、怖くないよ」と言っても、なかなか聞き入れることはできないですよね。

そんなお子さんのために、病院では「医療用絵カード」を導入しているケースがあります。

医療用カードを使う例
「これ見て。この男の子は何してる?」
「くち、あけてる」
「そうだね、同じように、口開けられるかな?先生に口の中見せてくれる?」
「うん」
「じゃあ、アーン」

当日、病院で絵カードを見せるだけではスムーズにいかないこともありますので、同じようなカードを用意して、診察を受ける前に家で何度か練習をできると安心です。

このように、普段と違うことをする時には「どこに行くか」「誰に会うか」「何をするか」「いつやるのか」を事前に子どもに伝えることで、いつもと違う場面でも落ち着いて過ごせるようになることが期待されますよ。

絵カード作成の注意点

絵カードは、ご自宅でも簡単に作ることができます。ここからは、絵カードを手作りする際に意識しておきたいポイントについてお話していきます。

1.内容の理解しやすさ

絵カードは、ひと目見て何が書いてあるのかがよくわかるものであることが大切です。

カードの大きさは適切か
文字のフォントは見やすいか
イラストの情報量は過剰でないか・・・

とにかく、お子さんにとって理解しやすい絵カードであることが重要です。市販されているカードゲームなどは、子ども向けに作られているものが多いので、参考にしていただきやすいかと思います。

2.カードの扱いやすさ

絵カードは1枚ずつ見せるだけでなく、並べて見せることで効果的に使える場合もあります。

どこにどんな風に並べる予定か、壁に貼るのか、机に置くのか、ということも考慮してカードをアレンジしましょう。壁に貼る場合は裏面に磁石を貼ったり、机に置く場合は、作業の邪魔にならないようにサイズを調整したりできるといいでしょう。

このように、日常的な扱いやすさも、絵カードの作成時には意識しておきたいことです。

3.作りやすさも重視

支援者の作りやすさも重要です。
というのも、凝った絵カードを作ると、追加で絵カードを作るハードルが高くなってしまいますし、それだけコストもかかってしまうからです。せっかく一生懸命に作っても、継続して活用できないのであれば意味がありませんよね。

また、すぐに破れたり折れたりするようでは何度も作り直す手間が生じますから、ある程度の丈夫さも必要です。よく使うカード一式はラミネート加工にする、ファイルに入れて使うなどの工夫をすることで、長く使える絵カードを作ることができますよ。

このように、子どもが「理解しやすいものであること」、そして支援者が「なるべくラクに作れること」が、絵カード作成の上でのポイントとなります。まずはぜひ、気軽に作成してみてくださいね。

絵カードは数ある支援法のうちの1つ

ここまで、絵カードの効果的な使い方とその作り方をご紹介してきました。
絵カードは視覚支援の鉄板とも言われていますから、使い方次第では、お子さんが日々をスムーズに暮らす上での助けになることが期待されます。

ただし、「絵カードは数ある支援法のうちの1つ」という認識も大切です。
多くはありませんが、目で見るよりも耳で聴く方が得意、というお子さんもいます。そうしたお子さんには、絵カード以外の方法で支援をする必要がありますよね。

大切なのは、自分が知っている支援法に子どもをあてはめるのではなく、子どもにとって適切な支援をその時々で模索していくことだと言えるでしょう。

発達障害児支援士の資格をとる!

四谷学院の「発達障害児支援士資格認定講座」では、絵カードの他にも様々な支援法ご紹介しています。

見通しが持てるような環境の整え方
不安を和らげる声かけの仕方
はじめてのことに取り組みたがらない子へのフォローの仕方
など……

発達障害のあるお子さんの生きづらさを軽減し、どの子も園や学校で伸び伸びと過ごせるように、支援者としてできることはたくさんあります。
ご興味をお持ちいただけましたら、ぜひホームページをご覧くださいね。

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