保育園や幼稚園などで、みんなが指示通りに動いてくれないと感じる時、あなたはどのような声かけをしていますか?
最初は優しく声をかけていたけれど、ついに堪忍袋の緒が切れて
「いいから言うことを聞いて!」
「どうして勝手な行動をするの!?」
なんて、つい声を荒げてしまったことはありませんか?
その結果、楽しいはずの活動が、どこかどんよりとした空気で始まってしまって、「せっかくみんなに楽しんでもらおうと思って、昨日の夜、一生懸命準備したのに……」と報われない気持ちになった経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
一度自分の口から出た言葉を、取り消すことでできません。
だからもちろん叱りたくなんてないし、いつも優しい先生でいたい。でも、穏やかに伝えるだけでは子どもたちは指示を聞いてくれないし……。
もう、いったいどうすればいいの!?
そんなあなたにおススメしたいのが「指示の見える化」です!
今からご紹介する3つの「見える化」を試すだけで、子どもたちは自分で考えて行動できるようになり、大きな声で叱ったり、注意したりする必要がなくなります。
つまり、子どもにとっても、あなた自身にとってもいいことだらけの支援法なんです。
ぜひ、この記事を読んで3つの「見える化」をマスターし、明日からの指導に役立ててみてくださいね。
動画はこちらをどうぞ!👇
目次
指示をスムーズに伝えるコツ
一斉指示をスムーズに理解してもらうコツは、ずばり「目で見て分かる形で伝える」ことです。
私たち大人も、たとえば家具を組み立てる時、文章だけの説明書よりも、写真やイラストがついている説明書の方が作業しやすいですよね。子どもも同じです。
言葉で説明するだけでは伝わりにくいことも、いわゆる「見える化」をすることで、スピーディに、かつ正確に伝わりやすくなります。
たとえば、視覚支援の代表的なものとして挙げられる「絵カード」。
絵カードとは、身の回りのモノや人の行動などを絵で簡単に表したカードのことです。言葉がけだけではうまく行動に移せないお子さんも、この絵カードを見せながらだと「今、やるべきこと」を理解しやすくなります。
さて、視覚支援といえばこの「絵カード」を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、実はそれだけではありません。
園やご家庭など、身近にあるものでも「見える化」は簡単に実現できます。
ポイントは絵カードと同じで「ひと目見てわかるように工夫をすること」。
このポイントさえ押さえておけば、あなたも身の回りにあるもので今すぐ試すことができますよ。
一斉指示におススメの見える化
ここからは、一斉指示で使える3つの見える化についてご紹介していきます。
「静かにしよう」
1つ目は、「静かにする」ことを表す絵カードです。
先生の話をきいてほしいときや、発表会や演奏会が始まる前などに、「しーっ」と人差し指を口にあてる絵カードを呈示します。
発達障害のあるお子さんは、その場の状況を理解し、相応しい行動をとる、といった、いわゆる空気を読んだ行動が難しいことがありますから、このようにその場その場で「どうしてほしいか」を相手に分かる形で伝えることが大切です。
「マイク」
次は「マイク」。
これは「誰がしゃべるのか」を見える化する時に使います。
「発言する人」がひと目見てわかることが大事なので、実際のマイクの代わりに、タスキや蝶ネクタイ、カードホルダーなどを使ってもいいでしょう。
先ほどの「静かにしよう」のカードに続けて先生自身が使うこともできますし、グループ活動などの際に子どもたちが自分の役割を明確にするのにも役立ちます。
おしゃべりが好きだったり、落ち着きがなかったりして、人の話に割って入ってきてしまう子も、この目印があれば「誰がしゃべるか」が常に分かる状態なので、自然と聞く姿勢を持ちやすくなることが期待できます。
見える化のいいところは、どのような子であっても、ストレスなく、とるべき行動をとりやすくなるところです。
「整列テープ」
視覚支援は絵カードだけではありません。
「ここに並んで」
「まっすぐに並んで」
このような指示をしても、なかなか言う通りにできないお子さんも多いのではないでしょうか。
お散歩に行く前や給食を取りに行く前など、日々のルーティンの中に整列する場面があるのであれば、あらかじめ、並んでほしい場所に養生テープを貼っておくのがおススメです。
テープという目印があることで、自然と一列に、まっすぐに並びやすくなりますよね。
「どこに、どんな風に並ぶのか」を言葉で説明するのは大変ですが、あらかじめ見える化しておくことで「いつもの場所に並んでね」の一言だけで指示が通るようになることが期待できますよ。
まとめ:見える化の重要性
ここまで、一斉指示をする時に、おススメの視覚支援についてご紹介してきました。
視覚支援は、子どもたちがスムーズに指示を理解し、とるべき行動をとりやすくするための方法の1つです。
どれも現場ですぐに使えるテクニックなので、ぜひ、園やデイなどで試してみてくださいね。いろいろと試しているうちに「こんな風に応用できるかも!」「うまくいかなかったかこうしよう」など、現場がスムーズに回るようなアイデアが湧いてくるかもしれません。
今回ご紹介した以外に現場でうまくいった事例があれば、ぜひコメント欄より教えてください!
発達障害児支援士資格認定講座で学ぼう
発達障害児支援士資格認定講座は、発達支援の基本的な考え方と具体的なノウハウを学ぶことができます。
今回ご紹介したような、効果的な視覚支援についてもご紹介しているので、実際の現場でも学んだ傍から役立てていただけるかと思います。
詳しくはホームページをご覧ください。
このブログは、四谷学院「発達支援チーム」が書いています。
10年以上にわたり、発達障害のある子どもたちとご家庭を支援。さらに、支援者・理解者を増やしていくべく、発達障害児支援士・ライフスキルトレーナー資格など、人材育成にも尽力しています。
支援してきたご家庭は6,500以上。 発達障害児支援士は2,000人を超えました。ご家庭から支援施設まで、また初学者からベテランまで幅広く、支援に関わる方々のための教材作成や指導ノウハウをお伝えしています。
このブログでは、発達障害のあるお子様をはじめ保護者の方やご家族、支援者の方が笑顔で毎日を過ごせるよう、療育・発達支援のヒントを発信していきます。
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