こんにちは、55レッスンの生田です。
いよいよ入園や就学の季節が近づいてきました。
新しい環境に胸をおどらせるお子さんもいれば、不安と緊張でいっぱいのお子さんもいらっしゃるかもしれません。
せっかくなので、お子さんにはワクワクした気持ちで新学期を迎えてほしいですよね。
そこで今回は、新一年生を迎える年長さんにおススメの学校ごっこについてご紹介していきます。
目次
「学校ごっこ」って?
不安や緊張をほぐすための第一歩は、分からないことを減らすことです。
発達障害のお子さんの多くは、先の見通しが立たないことが苦手です。
そのため、新しいことやはじめてのことは、事前にていねいに伝えておけると、お子さんも安心できるかと思います。
そこでおすすめのおうち遊びが学校ごっこです。
学校での1日の流れをシミュレーションし、一度やったことのある状態にしておくことで、スムーズに新学期を迎えやすくなります。
もしも可能であれば、就学先の小学校に、登校から下校までの流れや時間割を訊いておけると、より実際の学校生活に近いシミュレーションができますね。
教室に入るところから
教室に入って、クラスメイトや担任の先生と顔を合わせたら、まずはあいさつをするように促しましょう。
あいさつは、ソーシャルスキルを磨く上でとても大切です。
自閉症スペクトラムのお子さんの場合、表情が乏しいこともありますので、「目が合ったら、にっこり笑って、おはよう、だね」といった風に、まずは保護者の方がお手本を見せて、表情のつくり方の練習をしておけるといいですね。
また、あいさつすることをプレッシャーに感じてしまうお子さんもいますので、あいさつができないからと言って次に進めない、ということがないようにしましょう。
実際、初対面の人に自分から挨拶するのって、結構ハードルが高いです。
まずは表情をほぐすところから、次に、挨拶をされたら「おはよう」と返せるようにと、シミュレーションを通して少しずつ慣れていってもらえるといいでしょう。
意外とむずかしい号令
- 「起立」で、椅子を引いて立つ
- 「お願いします」で、続けて「お願いします」と声に出す
- 「着席」で、椅子を引いて座る
号令は、この一連の動作を周りとそろえる必要がありますから、意外とむずかしかったりします。
気持ちよく授業をスタートするためにも、事前に練習しておけると安心です。
ご家庭で手軽に実践ができますし、なんと言ってもいかにも小学生っぽいですから、練習を通じてお子さんのワクワク感を育めるといいですね。
なお、発達障害の特性として、「手順にこだわる」という傾向があげられます。
これは裏を返せば、一度学んだことはきちんと行えるという“いいところ”でもありますよね。
そのため、手順はなるべく具体的に伝えて、毎回同じ流れで練習できるといいでしょう。
休み時間は何をしたらいい?
休み時間は、自由行動の時間です。
「好きなことをしていいよ」と言われても、初めは戸惑うこともあるかもしれません。
やることが分からない時間は、誰でも不安になるものです。
そのため、”休み時間に特に優先すべき行動”については事前に伝えておきましょう。
- トイレに行く
- 水分補給をする
- 次の授業の準備をする
また、合わせてお子さんがリフレッシュできる行動も一緒に考えておけるといいですね。
たとえば・・・休み時間の騒がしさが苦手なお子さんであれば図書館で本を読むとか、じっとしていることが苦手なお子さんであれば学校内を散歩してみるとか・・・お子さんの特性に合った行動を見つけてあげたいものです。
時間感覚が掴みにくいお子さんの場合、ご家庭で「10分あればなにができるか」「20分あればなにができるか」といったシミュレーションをしておけると安心です。
初めのうちは、腕時計やタイマーなどのアイテムを身につけておくと、時間管理がしやすくなるのでおすすめです。
授業に集中するには?
園でのご様子などから、じっと座っていられるかな?と心配される保護者の方もいらっしゃるかもしれません。
そうした場合、事前に学校の先生に相談をしておくことはとても重要です。
ご家庭でシミュレーションをする際には、実際の授業時間のうち、どのくらいであれば集中できるかを記録しておくことで、学校と情報を共有しやすくなるでしょう。
スモールステップで、少しずつ集中できる時間を延ばしていけるといいですね。
給食は楽しい時間
発達障害のあるお子さんは偏食が多いと言われています。
食事の時間が苦痛になったり、それによって学校生活に支障が出たりしないためにも学校との連携はとても重要です。
- 苦手なものは、食べられる量まで最初に減らす
- 食べられないものが給食に出てきたときは、先生に申告する
- 食べられないものが給食に出てきたときは、残してよい
このように、あらかじめルールを決めた上でなるべく柔軟に対応していくことが大切です。
ルールにとらわれすぎないことで、苦手なものや初めてのものにも挑戦しやすくなるからです。
ご家庭でシミュレーションする場合は、昼食を給食に見立てることができます。
「これ、全部食べられそう?」「食べられないものはある?」と事前に伺いを立て、食べられるもの、そうでないもの、自分が食べられる量を事前に把握できるといいですね。
あいさつで始まり、あいさつで終わる
朝、教室に入る時と同じように、帰る時のあいさつも大切です。
先生には「さようなら」、お友達には「ばいばい」など、誰に何を言うかを決めておけると、実際の場面でも言葉がでやすくなります。
また、「おはよう」「おやすみ」といった家庭内でのあいさつが普段からできていると、外での挨拶も習慣化しやすくなります。
学校ごっこ以外の場面でも、上手にあいさつができたら、たくさんほめてあげてくださいね。
こうしていろいろな人とあいさつを交わす中で、「あいさつって大切なんだな」とお子さま自身で気づけるようになるといいですよね。
まとめー年長さんにおススメ!小学校に行くのが楽しみになる「学校ごっこ」をしよう
ここまで、新学期に備えてご家庭でできる「学校ごっこ」についてお伝えしてきました。
お子さんがスムーズに学校生活をスタートするために、ご家庭でできる遊びの1つとして取り入れてみるのはいかがでしょうか。
もちろん、実際にお友達や先生とかかわっていく中で、別のさまざまな問題が生じることもあるかと思います。
想定外のことに不安になったり、緊張したりする場面もあるかもしれませんね。
でも、不安や緊張は「あって当然」です。
事前準備でそれらを完全になくそうとするのではなく、少しでも不安を軽くできればいいな、くらいの姿勢で大丈夫です。
「学校ごっこ」は遊びの一環として、お子さんに楽しんでもらえる形で実践できますから、ぜひご家庭で試してみてくださいね。
そして、お子さんはもちろん、保護者の方も、新生活をワクワクした気持ちで迎えてほしいと思います。
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このブログは、四谷学院「発達支援チーム」が書いています。
10年以上にわたり、発達障害のある子どもたちとご家庭を支援。さらに、支援者・理解者を増やしていくべく、発達障害児支援士・ライフスキルトレーナー資格など、人材育成にも尽力しています。
支援してきたご家庭は6,500以上。 発達障害児支援士は2,000人を超えました。ご家庭から支援施設まで、また初学者からベテランまで幅広く、支援に関わる方々のための教材作成や指導ノウハウをお伝えしています。
このブログでは、発達障害のあるお子様をはじめ保護者の方やご家族、支援者の方が笑顔で毎日を過ごせるよう、療育・発達支援のヒントを発信していきます。
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