発達障害のあるお子さんにとって、「ていねいに字を書く」というのはなかなかにハードルが高いものです。ひらがなやカタカナを覚えたての頃は、ほかの文字と判別がつきにくかったり、書きなぐっているように見えたりすることもあるでしょう。
そんなお子さんに対して、私たち大人がつい言ってしまいがちなのが「ていねいに書こうね」ということば。
でも、もしかするとそのことば、お子さんには伝わっていないかもしれません。というのも、「ていねいに」というのは明確な基準があるわけではないからです。
特に発達障害のあるお子さんの場合、曖昧なことばの理解がむずかしいことがあるため、こうした指示では余計に混乱を招いてしまうこともあります。
そこで今回の記事では、ていねいな字を書くための3つのポイントについて解説していきます。
ぜひ、ご家庭での指導の際に参考にしてみてくださいね。
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ポイント1 オノマトペを使って説明する
ひらがなは、とめ・はね・はらい、などに注意して書くことが求められます。
文字によっては、バランス良く書くことが難しい字もありますから「ここは“とめ”だよ」「ここは“はらって”ね」というだけでは、なかなか思うように書けないお子さんも少なくありません。
そこで、こうした文字の特徴については、子どもの分かる言葉で伝えることがポイントになります。たとえば、以下のようなオノマトペを使うことで、ひらがなのイメージがつきやすくなるお子さんもいます。
「さいごは、ピンッってはねるよ」
「一画で、スーッとはらってね」
「ここで、ぐるん、だね」 など
ポイント2 ゆっくり・大きく書く
素早く、正確に、ていねいな字を書くのはむずかしいものです。
見本を見ながら、ゆっくりと模写することが、ていねいな字を書くための第一歩と言えるでしょう。
とは言っても、「ていねいに」という言葉と同じように「ゆっくり」という言葉もお子さんによって受け取り方は様々です。
そこで、最初は保護者がお子さんの手に添えながら書くなどし、「ゆっくり書く」練習を一緒にしてあげられるとよいかと思います。
このとき、字はなるべく大きく書くように促します。
小さなマス目に文字を書くよりも、大きく文字を書いた方が、必然的に書くスピードもゆっくりになり、一画一画に集中して書きやすくなりますよね。
ごまかしがきかない、あるいはごまかしているとすぐにばれてしまうくらいの文字の大きさで練習をするのがベストでしょう。具体的には、3センチ画よりも大きなマス目がよいかと思います。
ポイント3 正しい姿勢を保てるようにする
字をていねいに書けない原因として、意外と盲点なのが「姿勢」です。
極端な話、寝そべりながら文字を書くのは、大人でも難しいですよね。
正しい姿勢で書くためには、まずからだに合った椅子を使う必要があります。
足が床に届かない場合には踏み台を下に置く、机の高さに合わせてクッションを敷くなど、お子さんに合わせた工夫ができるとよいでしょう。椅子からお尻が滑ってしまう場合は、滑り止めマットをクッションの下に敷くのが効果的です。
それでも姿勢がよくならないのであれば、そもそも姿勢を保つための体幹が鍛えられていなかったり、「持つ力」が足りていなかったりする可能性もあります。
そうした場合には、長い目で見て必要な力を身につけていくことが求められます。たとえば、体幹を鍛えるには平均台歩きやバランスボールを使った遊びが効果的ですし、握力を鍛えたいのであれば、雑巾絞りやグーパー運動などに取り組むのもいいでしょう。
いずれも、お子さんの楽しめる形で取り入れられるといいですね。
このように、「ていねいな字を書くこと」と「運動能力」は、一見無縁なように見えますが、実はとても深い繋がりがあるんです。
書くことの楽しさを伝えよう!
ここまで、字をていねいに書くコツについてお話してきました。
お子さんにただお手本を見せて、「この通りに書いてみよう」と大人が言うのは簡単ですが、実際に言われたとおりにやるのはなかなか難しいものです。
「また読めない字を書いている……」とがっかりしてしまったり、大人が納得できるまで何回も書かせたりすると、お子さんは字を書くこと自体が嫌になってしまうかもしれません。
なので、書くことが楽しい!と思ってもらえるように、お子さんの特性に合わせて、いろいろな工夫ができるといいですね。
ディスレクシアについて、詳しくはこちらの動画をご覧ください。
55レッスンは、発達障害のあるお子さんが保護者の方と一緒に学ぶ療育の通信講座です。
ひらがなについても、なぞり書きや模写などを通してスモールステップで習得できるようにカリキュラムが組まれています。学習をうまく進められないときは、毎月の通信指導の中で、専任の担任の先生に相談することもできますよ。
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このブログは、四谷学院「発達支援チーム」が書いています。
10年以上にわたり、発達障害のある子どもたちとご家庭を支援。さらに、支援者・理解者を増やしていくべく、発達障害児支援士・ライフスキルトレーナー資格など、人材育成にも尽力しています。
支援してきたご家庭は6,500以上。 発達障害児支援士は2,000人を超えました。ご家庭から支援施設まで、また初学者からベテランまで幅広く、支援に関わる方々のための教材作成や指導ノウハウをお伝えしています。
このブログでは、発達障害のあるお子様をはじめ保護者の方やご家族、支援者の方が笑顔で毎日を過ごせるよう、療育・発達支援のヒントを発信していきます。
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