こんにちは、55レッスンの生田です。
近年、不登校の子どもが増えてきたと聞いたことがあるかもしれませんね。
発達障害のあるお子さんの場合、学校での困難を経験しやすいことから、うちの子は大丈夫だろうかと心配という方もいらっしゃるでしょう。
このブログでは、発達障害のあるお子さんの不登校、登校渋りについて取り上げます。
目次
不登校とは
不登校とは以下のように定義されています。
不登校とは、何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、児童生徒が登校しない、あるいはしたくともできない状況にあるために、年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの不登校 - 文部科学省
不登校の児童生徒数
直近のデータによると、不登校の児童生徒数は、小学校では約6万3千人、中学校では約13万2千人以上に上ります。
不登校児童生徒数は、小学校・中学校ともに平成25年度以降、増加しています。また、その数は、学年が上がるにつれて多くなっているという傾向があります。
不登校の要因
不登校の要因を、本人にまつわる要因と学校・家庭にまつわる要因に分けて見てみましょう。
本人にかかわる要因としては「無気力傾向」や「不安傾向」が、比較的高い割合を示しています。
また、学校・家庭にまつわる要因のうち、学校にまつわることとしては「対人関係」「学業不振」が小学校・中学校ともに高くなっています。
発達障害との関連性
発達障害だからと言って必ずしも不登校になるとは限りません。
例えば、発達障害が原因でお友達とうまくいかず、学校に行きたくないとか、学校の勉強のついていけず授業が苦痛になってしまうなど、発達障害の「二次障害」として不登校が現れることがあります。
二次障害については、こちらで詳しく解説しています。
登校渋りが見られたら
「学校、行きたくない」
突然お子さんにそう言われたら、どうしようと慌ててしまうでしょう。
そこで、「何言ってるの!ほら、早くいきなさい!」と無理やり学校に行かせることはNGです。
まずは、お子さんの気持ちに耳を傾けましょう。
お母さんやお父さんが味方であるということが、お子さんにとって何よりの支えになります。
発達障害のある子どもや低学年の場合には、自分の言葉でうまく理由を説明できないことがあります。あるいは、言いたくないこともあるかもしれません。
お子さんの本人の言葉をじっくり聞く姿勢になる、そしてそれを子どもに伝えるとともに、担任の先生に学校での様子を聞いてみることも大切です。
ゴールデンウィークや夏休みなど、長期休暇明けには、「学校、行きたくない」と言われるのではないか?と保護者としては不安に感じるかもしれません。
そんな時に参考にしていただきたいのがこちらです。GWのお話ですが、長いお休みの際の参考になると思います。
学校に行くか行かないかの二択ではない
登校渋りが見られるお子さんにとって、「学校に行く」というハードルはとても高いものです。
学校を休む度に、「明日は行きたいけど、周りに何か言われないだろうか」「授業についていけないかもしれない」と不安は高まります。
そんな状態にある中で、毎日のように「明日は学校行けそう?」と声をかけられることは、「学校に行きなさい」と言われるのと同じくらいに、プレッシャーになってしまうこともあるかもしれません。
親の気持ちに応えたい子どもは、「うん、明日は行くよ」と答えるかもしれません。
けれど、翌朝になってやっぱり行けない、となると、お母さんやお父さんの期待に応えられなかったと、さらに罪悪感を抱えてしまう可能性があります。
学校に行くのか・行かないのか?
答えが2つだけになってしまうと、お子さんも、そして家族も苦しくなってしまいます。
選択肢を広げる
大人が選択肢を広げてあげることができると、子どもの気持ちは軽くなります。
・途中で保健室に移ってもいい
・学校の手前の横断歩道まで行く
・みんなが登校してから、正門までお母さんと一緒に歩く
・家でドリルを進める
などなど
学校に「行く」「行かない」・・・選択肢は決してこの2つではありません。
もちろん現実的に可能な範囲での選択肢となるので、学校の先生ともよく相談をして、子どもが受け入れやすい選択肢を複数用意してあげられるといいでしょう。
子どもが自分で決める
いくつかの選択肢の中から、明日はどうするか、今日はどうするか決めてもらうことは、実はとても重要です。
と言うのも、自分で選べる、決められるということは、安心感につながるからです。
不登校になった要因に比較的多くみられる「不安傾向」ですが、特にお子さんの不安が強い場合は、「自己決定」が有効である場合が多いようです。
未然に防ぐには
不登校になる、学校を行き渋る原因の中で、学校にまつわる要因では、「対人関係」や「学業不振」が多くみられます。
お友達とうまくいかなかったり、勉強ができなかったりすれば、学校生活がストレスになってしまいます。
お友達と仲良く過ごせること、お勉強ができることは、たしかに素晴らしいことです。しかし、学校生活はそれらがすべてではありません。
勉強以外にも体育や図工、美術、音楽といった科目もあります。あるいは、学校には図書室や花壇があります。
部活に取り組んだり、絵を描いたり、本を読んだり、花を育てたり…もちろん、そのほかにも、「自分だからできること」がきっと学校でも見つかるはずです。
学校で自分の居場所が見つかれば、学校生活がこれまでとはまた違ったものになると思うのです。
金髪の男の子の話
私の話を少しだけ、します。
私の通っていた中学校は、当時それはそれは荒れていました。中学2年生の時、クラス替えがあったのですが、なんと学年のヤンキー集団の中心的存在だった<金髪の男の子>の席の隣になってしまったんです!
まずい、どうしよう!!と思っていましたが、彼はほとんど学校に来ることはありませんでした。
たまに、ひょっこり現れても、授業をまじめに聞くことはなく、おしゃべりをしたりと周囲にちょっかいを出していました。
そんな彼が、ある日珍しく机に向かって黙々と何かを書いていました。なんだろうと思っていると、「見て」紙を見せてくれました。
それは、バイクの絵でした。バイクの絵はバイクの絵でも、とても凡人には書けないような本物を緻密に再現した絵だったのです。そのギャップにすごく驚きましました。
今思えば、彼のそんな強みや興味をうまく学校で生かせていたら、彼の学校生活は違うものになっていたのかもしれません。
自分だからできること
子どもの好きなことや得意なことを伸ばし、活躍できる機会を与える
こうした関わりを保護者や先生ができるといいな、と思います。
たとえば・・・
絵が得意な子なら、学級通信用のイラストをクラスで募集する
運動が得意な子なら、体育の授業でお手本になってもらう
声が大きい子なら、先生の代わりに号令をかけてもらう
食べるのが好きな子なら、今日の給食の食レポをしてもらう
特別なことでなくて構いません。
「自分だからできることがある」と思えるようになると、自尊感情や所属欲求が高まります。そして、学校には自分の居場所があるという気持ちから、学校へ行こうというモチベーションがわいてくるのです。
家でできる「振り返り」
もう一つ、ご家庭でできることをご紹介します。
それは、「1日の振り返り」です。
家族から見ると、学校生活は順調そうに見えていても、実際にはそうではないこともあります。
そこで、「今日あったこと」「今日感じたこと」を、おうちでも話せるようにしておきましょう。
習慣として、学校であったことを言葉にしていくことで、気持ちの整理がつけられるようになることが期待できます。
最初は「別に、普通」「何もなかった」と言うかもしれませんが、「そういえば」・・・と気づくチャンスになります。
そしてもしもつらいことがあった日でも、「つらいこともあったけど楽しいこともあったよな」と、気付くきっかけにもなります。
ちょっとしたことでも日々蓄積していくと、ある日、突然限界が来てしまうこともあります。お子さんのサインを逃さずキャッチするために、毎日3分でもいいのでぜひ振り返りタイムを設けてみてくださいね。
55レッスンは、不登校のお子さんにも活用いただいています。
学年に関係なく受講段階を選べるため、お子さんのペースで学習を進められます。
くわしくはホームページをご覧ください。
このブログは、四谷学院「発達支援チーム」が書いています。
10年以上にわたり、発達障害のある子どもたちとご家庭を支援。さらに、支援者・理解者を増やしていくべく、発達障害児支援士・ライフスキルトレーナー資格など、人材育成にも尽力しています。
支援してきたご家庭は6,500以上。 発達障害児支援士は2,000人を超えました。ご家庭から支援施設まで、また初学者からベテランまで幅広く、支援に関わる方々のための教材作成や指導ノウハウをお伝えしています。
このブログでは、発達障害のあるお子様をはじめ保護者の方やご家族、支援者の方が笑顔で毎日を過ごせるよう、療育・発達支援のヒントを発信していきます。
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