前の記事 » 
次の記事 » 

発達障害のお子さんの入学準備

  公開日:2019/01/07
最終更新日:2019/11/22

※この記事は約10分で読めます。

こんにちは。四谷学院の療育通信講座、ブログ担当のnecoです。

秋には、多くの小学校で、次年度の新1年生のための就学前健診が行われます。
就学前健診を終えると、いよいよ小学生だなという実感が湧いてくる親御さんもいらっしゃるかもしれませんね。

55レッスンでは、就学前のお子さんも大勢受講されています。
もうすぐ入学を控えたご家庭から、

「入学に備えてどのような準備をしておくべきか?」

というご質問をいただくこともあります。
どんなご家庭でも入学や進級は不安があるものですが、特に発達に偏りがある、凸凹があるお子さんの場合は、何かと心配が尽きないものですね。

そこで今回は、どんなお子さんも安心して入学の日を迎えるために、事前に準備しておくと助かる!ということをいくつかご紹介しましょう。

先生、地域の大人向けに用意しておくこと

まずは、学校の先生やご近所にお住まいの方々など、地域の「大人」に向けたサポート例です。

サポートブックの作成

お子さんに発達の偏りがあるなど、大人の関わり方に配慮が必要な場合は、サポートブックを作成しておきましょう。
サポートブックとは、お子さんの心身の特徴や認知特性、伝わりやすい働きかけの方法、好きなこと・苦手なこと、持病・投薬の有無やその方法などをまとめた、いわば「うちの子の説明書」です。
お子さんの成長に合わせて内容を更新していけるよう、項目ごとに差し替え可能な形でファイリングしておくのもよいでしょう。

お子さんと初めて出会う学校の先生方も、サポートブックを見れば一通りの「その子の姿」が思い浮かび、関わり方の「最初の一歩」が踏み出しやすくなります。

サポートブックはとても大切な個人情報です。
もしもお子さんご本人に持たせる場合は、先生以外の人には渡さない、お友達には見せないといった約束をしっかりと行いましょう。
守るのが難しい場合は、親御さんが直接先生にお渡しする方が安心です。

サポートブックについてはこちらの記事も併せてご覧ください。
各都道府県で配布しているサポートブックのテンプレートなどもご紹介しています。

進級・進学時にも!都道府県「サポートブック」テンプレートまとめ

小学校の相談窓口とつながっておく

学校には、お子さんのことで何か不安がある場合の相談窓口となる教職員がいます。
特別支援教育コーディネーターやスクールカウンセラー、養護室や保健室の先生などが窓口となることが多いようです。
お子さんについて特に知っておいてほしいことがある場合は、その先生とご挨拶だけでもしておくと、後々の相談につながりやすくなります。
親御さんの不安も、学校のことをよく知っている先生とお話するだけで、何となく軽くなったりもするものですよ。

地域の人と仲良くなっておく

学校に入ると、途端に保護者の目がお子さんに届きにくくなります。
いってきまーす、と家を出てから先は、一体どこで何をするか、全てはお子さん任せになります。
パッと車道に飛び出してしまう、気が向いたらどこかに行ってしまうなど、小さなお子さんは注意の集中・維持が難しいことも多いもの。
特に好奇心の赴くままに衝動的に行動しやすいお子さんの場合は、地域の方と家族ぐるみで仲良くなっておくとよいでしょう。
もちろん日頃から挨拶など交し合っておられると思いますが、もう一歩踏み込んで、気軽に声をかけ合ったりおしゃべりを心から楽しんだりできる仲になっておくことをお勧めします。

人は不思議なもので、自分にとって近しい人の姿ほど強く目に入るものです。
登下校時や放課後の外遊びの際も、地域の方がお子さんを見て

(あれ、○○さんのところの□□君だ)
(もう学校は終わったのかしら)

などと頭に思い浮かべていただけるだけで、この作戦は成功です。
子供たちを地域全体で見守ってもらえるような温かな育児環境を、あなた自身の笑顔で少しずつ作り上げていけると良いですね。

 

家から学校まで

次に、自宅から学校の教室まで、ドアトゥードアの間に出会う可能性のある課題を見てみましょう。

通学路の確認

通学路は、できるだけ危険が少なく、お子さんにとってわかりやすい道を選びたいもの。
集団登校などで、通学路が指定されている場合もありますが、個人で登校する場合は、車の通行量、横断歩道や信号の有無、人通り・人家の量、街灯が十分か、といった点を考慮して決めましょう。
決めた道は、ぜひ往路・復路とも、お子さんと一緒に歩いてみることをお勧めします。
実際に歩いてみることで、

「坂道がキツイ」
「曲がり角のお宅のワンちゃんに気を取られて先に進まない」

といった、意外な伏兵(?)にも気付けます。

校門~昇降口~教室までの確認

可能なら、一度お子さんとご一緒に、校門を入ってから昇降口を通って教室まで行く手順を確認しておくと、なお安心です。
特に、初めての場所が不安なお子さんや、決まった順番通りの活動を好むお子さんには、大いに安心につながるでしょう。

外履きを脱いで上履きを履く、脱いだ外履きを下駄箱に入れる、という動作は、ほとんどのお子さんが保育園や幼稚園で手慣れた手順だと思いますが、靴を脱いでから下駄箱に入れるまでに気が散ってしまうお子さんは、下駄箱の位置も学校と相談しておけると安心です。

可能なら、傘立て、トイレ、手洗い場などの位置や使い方もチェックしておくとよいでしょう。

道具の扱い方

学校では、これまでの生活ではあまり使わなかった道具も日常的に使用します。
道具を扱うことは、すなわち、自分の身体をどう操作するか、ということ。
小さなお子さんにとって難しく感じられる可能性の高い場面を確認してみましょう。

ランドセルを背負う

意外な難しさとして立ちはだかるのが、重くて硬いランドセルという存在です。
柔らかい素材でできていて、多少強引にでも引っ張れば背負うことができたリュックサックとは異なり、ランドセルでは、「本体と肩紐が作る空間の中にどう身体を入れ込むか」を考える必要があります。
身体操作に弱さがある、体幹の力が弱い、ボディーイメージが未熟である、といったお子さんには、ご家庭でゆっくりと、ランドセルを背負う・下ろす練習をしておくことをお勧めします。

背負う動作だけでなく、背負ってある程度の距離を歩く練習もできると安心です。
500mlのペットボトルに水を入れたものなどを使って少しずつ負荷を増やしていくと、体幹の訓練にもなります。

また、指先の細かい動きが苦手なお子さんには、ランドセルのカブセ(フタ)を開け閉めする練習もしておくと良いでしょう。
多くのランドセルは、フタの先端の穴を、本体側のロックにはめ込み、ロックを回転させてフタを閉める仕組みになっています。
穴とロックを合わせてはめ込む、ロックをつまむ、回転させる、大きく長いフタを持ち上げる、等、フタの開け閉めの動作を細かく区切って、お子さんが苦手な動作を中心にゆっくり練習しましょう。

最近では、フタをはめ込むだけで自動的にロックがかかるものや、フタの先端の穴が大きくロックにはめ込みやすいものなど、様々に工夫されたランドセルも増えてきました。
お子さんが使いやすい商品を選んであげるのも一つの手だと思います。

朝の支度

ハンカチ、ティッシュ、給食袋など、毎日の持ち物をどのように用意するかを確認しておきましょう。
忘れ物が多くなりがちなお子さんには、持ち物の置き場所を決め、一覧表でチェックしながら用意する練習をするのも良いでしょう。

また、教室に到着したら、まず何をするのか、を確認してあげると親切です。
背中に背負ったランドセルをどこで下ろせばいいのか?
ランドセルを下ろしたら次に何をすればよいのか?
そんなことすら、入学したばかりの新1年生には未知の世界です。
学校ごとに、登校したら何をどこに整頓するかの決まりごとがあると思いますので、可能ならば事前にやり方を教えてあげましょう。

給食、掃除などの日常動作

学校によっては、

「白衣を空中で畳む(床に広げて畳まない)」
「掃除中にマスクをつける」
「給食帽をかぶったまま給食を食べる」

など、独自のルールがあります。
一つひとつは小さなことですが、新1年生にとっては、この「小さなできなさ・わからなさ」が、本人も気付かないような無意識のストレスのもとになります。

学校での日常動作の例
★着衣を扱う動作
・体操着、白衣などを畳む
・赤白帽、給食帽などをかぶる
・マスクをつける
など
★学習時の動作
・教科書やノートをめくる
・ノートに書く
・のりを塗る
・はさみで切る
・折る
など
★掃除の動作
・ほうきで掃く
・ちりとりでゴミを取る
・雑巾を絞る
・雑巾で拭く(机、廊下、窓など、拭く対象によって身体の動きが異なる)
など

 

一度ご家庭で色々な動作を練習してみて、お子さんにとって苦手な動きがあれば、ゆっくりと練習しておくと良いでしょう。

学習面

学校ではいよいよ、これまでの幼稚園・保育園時代にはなかった、本格的な「学習」がスタートします。

机に向かう

大半の学校では、座学が中心。
つまり、子供たちは40~50分間ほどイスに座りっぱなしになります。

この「座り続けること」が、おそらく新1年生が直面する最大の難関の一つです。
入学前から、机に向かって一定時間座ることをぜひ習慣にしておきましょう。
最初は3~5分程度の短時間から練習を始め、少しずつ時間を延ばしていきます。
折り紙、塗り絵、工作など、ご本人の好む活動に取り組むと、座り続けることが苦になりにくいでしょう。

発達に偏りや凹凸があるお子さんは、身体を安定させることが難しいことも多くあります。

こんなお子さんは、座っていることが難しいのかも?

●イスの上で身体がクニャクニャする、傾く
●ロッキングチェアーのようにイスをゆらゆらさせる(イスの前方の2本の脚を宙に浮かせ、後方の2本の脚だけが接地した状態)
●足を床につけていられずバタバタしたりイスの脚に絡めたりする
●足をイスの上に持ち上げる、ヒザを抱える
●すぐに立ち上がる、立ち歩く
など

 

このような様子が見られる場合、そのお子さんは、動くことによって心身に刺激を入力しないと安定を保っていられないのかもしれません。
「ちゃんと座りなさい」と頭ごなしに注意するよりも、その子の身体がどのような状況にあるのかを注意深く観察しましょう。
お子さんによっては、「座り続ける」ことがそもそも無理な要求であることも考えられます。
その場合、イスの座面にザラザラした滑り止めシートを敷いたり、立ち歩けるような機会をこまめに設けたりなど、座りやすくなるサポートを工夫してあげるとよいでしょう。

学習

ご本人に余力があれば、文字や数字の学習も少しずつスタートしておくことをお勧めします。

まずは、日頃の生活の中で、親御さんと一緒に絵本を読んで文字に親しんだり、自分の名前を読み書きしたり、お風呂に入りながら20まで数唱したり、ものの個数をかぞえたり、といったように、文字や数字に親しむ機会を増やしてあげましょう。

1年生の学習は、最初はゆっくりですが、すぐにペースが上がります。
学校で繰り上がり・繰り下がりのある計算が始まる前に、1桁の足し算・引き算がスラスラとできるようになると学習が大変スムーズなのですが、なかなかそうはいかないことも多いもの。
その子の学び方や認知特性に合わせて、ゆっくり丁寧に練習していくのがベストなのですが、一斉授業の中では一人ひとりの理解度が見えにくいこともしばしばあり、気付いたら計算や漢字のドリルがだいぶ遅れていた・・・ などという話も耳にします。

学ぶことは本来、とても楽しいものです。
就学前から家庭学習の習慣をつけ、学びの楽しさを体感させてあげられれば理想的ですね。

その他

最後に、番外編の情報です。

MRの予防接種

意外と忘れがちなのが、MR(麻しん風しん混合ワクチン)の第2期追加接種です。
MRは、1歳~2歳未満で1回、小学校就学前の1年間で1回、接種するのが標準的なスケジュールです。
初回の接種から間が空く上に、2回目の無料接種期間が比較的短いため、「忘れやすく、忘れたら大変!」な予防接種の代表格です。
公費で(無料で)接種できるのは、小学校就学年の3月31日までとなっています。
入学までに忘れず接種できるよう、スケジュールをご確認くださいね。

まとめ:発達障害のお子さんの入学準備

いかがでしたか。
今回の記事でご紹介したこと以外にも、お住まいの地域や進学先の学校によって、さまざまな事情や状況が考えられるでしょう。
地域の状況をよく知っている方と相談されながら、お子さんが毎日の生活を楽しめるように、準備を進めていけると良いですね。

55レッスンは、自閉症・発達障害のお子さんがご家庭で親御さんとご一緒に学べる療育の通信講座です。
就学前に文字や数字を学ぶ準備をしておきたい、机に向かって課題に取り組む練習をしたい、我が子の得意・不得意を見極めたい、信頼できる誰かと一緒に学習を進めたい・・・
そんな思いをお持ちの保護者様は、ぜひ一度、資料をご覧になってみてください。

 

 

前の記事 » 
次の記事 » 

 

同じカテゴリの記事を見てみる  よくあるご相談  

 

感想をお寄せください

個別のお返事はいたしかねますが、いただいたコメントは全て拝見しております。今後の記事作成の参考にさせていただき、より一層あなたのお役に立つ情報発信を目指します!
療育講座へのお問い合わせはお電話(0120-428022)もしくはWEBフォームにて受け付けております。
コメント内容をメルマガやブログで掲載させていただくことがございます。掲載不可の場合はその旨をご記入ください。

このページの先頭へ