発達障害児が増えているってホント?その理由は?|自閉症スペクトラム(ASD)・ADHD・LD

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最近、「発達障害のある子が増えてきた」という声をよく耳にするようになりました。

SNSでも、「発達障害の増加」がトレンド入りしましたよね。
なぜ発達障害が増えているのか、その理由についても様々な意見が見られます。

ですが、そもそも本当に、発達障害のある子どもは昔と比べて増えているのでしょうか?
その根拠となるデータってなんなのでしょう?

今回の記事では、こうした疑問についてお答えしていきたいと思います。

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「発達障害児が増えた」その根拠は?

「発達障害のある子が増えた」という言説について、根拠となるデータとしてよく使われるのは、2022年に公表された文部科学省の調査です。

通常の学級に在籍している生徒を対象に、学級担任が質問項目に回答する形で調査を行ったところ、学習面または行動面で著しい困難を示すとされた小中学生の推定値は8.8%であることが明らかになりました。

この割合は10年前よりも2.3%増加しており、35人学級とすると、1クラスに3人程度の子どもが学習面もしくは行動面で何かしらの困難を抱えていることになります。

発達障害児は本当に増えているのか?

「発達障害の可能性のある子どもの数が増えた」
と言われるのは、この文部科学省の調査の結果によるところが大きいと言えるでしょう。

しかし、注意しておきたいのは、学習面や行動面に著しい困難があるかどうかと、発達障害であるかどうかはイコールではないということです。

公表された調査結果の中にも「この調査の目的は、発達障害のある児童の割合や、知的発達に遅れがある児童の割合を推定するものではない」と明記されています。

この調査における「学習面」や「行動面」が指すものについては、以下のとおりです。

学習面
聞く、話す、読む、書く、計算する、推論する

行動面
不注意、多動性-衝動性、対人関係やこだわり等

一見すると、学習障害やADHD、自閉症スペクトラムの特性に当てはまるように見えますよね。
しかし、この中のいくつかが当てはまるからと言って「発達障害の傾向がある」と言うことはできません。

たとえば自閉症スペクトラムの特性は、幼児期のうちからその傾向が見られるものです。そのため、ある特定の期間・場所での調査だけで、自閉症スペクトラムの傾向があると推定することは難しいでしょう。

また「多動」と聞くと、多くの人はADHDの特性と結びつけてしまいやすいですが、脳波の異常や不安障害など、別の疾患によってそうした行動が生じている場合もあります。

家では話せるけれど学校では話せない、という場合は、学習障害ではなく「場面緘黙」とよばれる不安症の可能性もあります。

このように、発達障害以外の可能性というのは、多くの人が思う以上に様々に考えられるものです。その見極めは医師であっても難しいとされているほどです。

ですから、「発達障害のある子は増えているのか?」という質問に対しては、まだ分からないというのが現時点でできる回答と言えるでしょう。

「発達障害児が増えた」と言われる理由

一方で、「昔と比べて発達障害のある子が多くなった」と感じている人が多いのも事実です。

なぜでしょう?

その理由の1つとしては、発達障害の認知度が高まってきていることが挙げられます。

いまや、自閉症スペクトラムやADHDといった言葉について「聞いたことがない」という人はほとんどいないのではないでしょうか。テレビなどでも、よく特集されるようになりましたよね。

このように、発達障害の概念が世の中に浸透するにつれ、今まで見過ごされてきた子どもたちに目を向ける人が増えたことが、発達障害児の数が多くなったように感じる大きな要因と言えるかと思います。

また、こうした状況の中、医療機関を受診する子どもも増えてきています。それに伴って、発達障害の診断ができる医師が以前よりも多くなり、昔と比べて診断名がつきやすい状況になったことも理由の1つと考えられるでしょう。

ただしこの場合も、発達障害の確定診断を受ける子どもの数が増えたからと言って、その実際の数が増えているとは限らないので、注意が必要です。

発達障害児支援士?


発達障害の認知度が高まるにつれ、教育現場でも、発達障害のある子への適切な対応が求められるようになってきています。

「困っている子どもを助けたい。でもどうしてあげればうまくサポートできるのかわからない」

発達障害への理解が深まるほどに、こうしたもどかしさを感じている先生方もいらっしゃるかもしれません。

私たちには、そのような先生方が、積極的に発達障害や発達支援について学べる機会をもってほしい、という想いがあります。

四谷学院では、発達障害児支援士資格認定講座を開講しております。単なるハウツーではなく、指導の根拠を理解した上で実践に活かせるようなカリキュラムになっているので、質の高い指導力を身につけられることが期待できますよ。

子どもたち一人ひとりが健やかに毎日を過ごせるように。
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