こんにちは。四谷学院の療育通信講座、ブログ担当のnecoです。
国語の学習において、つまずくお子さんの多いのが 助詞。
一般的には、カードを用いて単語を入れ替える等の方法で助詞の指導が行われます。
学校やご家庭での学習で、助詞の理解が順調に進むお子さんは安心ですね。
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ところで、一生懸命に学習しても、なかなか助詞が定着しないお子さんもいらっしゃいます。
このような時は、頭で考えるだけでない、もっと根本的な体感を育む働きかけが効果的な場合があります。
そもそも助詞とは?
助詞は、自分と他者との関係性を表現する言葉です。
「自分が周囲にどう働きかけるか」を客観的に捉え直して記号にしたのが助詞です。
たとえばこういうこと。
うさぎという主体が、もちという他者に対してどう働きかけるかを表現しているのが、「が」「を」という二つの助詞です。
この文章が、こうなるとどうでしょうか。
今度は、もちが主体となってうさぎに働きかける光景の表現になりました。
名詞を入れ替えると全く別の意味の文章になってしまう、これが助詞の力です。
この語順で最初の文章と同じ意味にするには、
こう表現しないとなりませんね。
今度は「に」という助詞が登場し、動詞も「つかれる」と受身の表現に変える必要が出てきます。
助詞がうさぎともちの関係性を表現しているということ、なんとなく伝わったでしょうか。
もう一度このイラストを持ってきましょう。
この光景を正確に描写するためには、上述のように助詞(を始めとする言葉)を使いこなす必要があるわけですが、その大前提になっているのが、うさぎともちの関係性を正しく捉えることです。
もちがうさぎをついているのではなく、うさぎがもちをついているのだということがわからなければ、正しい文章なんて書けっこないのです。
ものとものの関係性を把握するためには
ところで、ものとものの関係性を正しく把握するための前提とは何か、おわかりになりますか。
それは、自分という存在を自分の中にしっかりと立ち上がらせ、その自分が周囲にどう働きかけるかを明確に認識することです。
自分と他者との関係性
自分という存在が自分の中にしっかりと立ち上がる・・・
自分が周囲にどう働きかけるか・・・
それってどういう意味??
と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
たとえば、光が一切ささない真っ暗闇の中に立っていると想像してみてください。
「鼻をつままれてもわからないような闇」などと形容される通り、真っ暗闇の中に立つと、上下左右の位置関係が一瞬わからなくなりませんか。
その時にどうやって自分の位置を確かめるかというと、私たちは例外なく
自分の身体を使って
確認するのです。
自分の足が大地についている感覚を確かめ、手を頭の上や左右に動かして周囲を探ります。
足があるほうが下、頭があるほうが上です。
上下がわかれば、左右もわかります。
これが、自分という存在が周囲に働きかけることで他者との関係性を捉え直すということです。
ボディーイメージ
自分の足や頭の位置、自分にとっての上下左右がわかるということは、ボディーイメージが明確になっていることを意味します。
自分の身体というものが、どこからどこまでの空間を占めているのか。
自分の頭がどこにあり、足がどこにあるのか。
それが直感的にわかるのがボディーイメージです。
自分のボディーイメージが明確でないと、たとえば足をコタツの中に入れて見えなくなると「足がなくなった」と感じることも。
自閉症の方から多く伺う話ですが、発達に凸凹のある方は、多かれ少なかれ、ボディーイメージに何らかの歪みを抱えていることが多いようです。
自分の足が見えなくなると存在感を失うようでは、自分自身という主体についての認識がどれほど不安定なものかも想像できますね。
ボディーイメージが明確になると、自分自身の存在感がよりはっきりしてきます。
自分という存在が明確に認識できるようになると、その「自分」が他者に働きかける「行為そのもの」も、はっきり認識できるようになっていくのです。
ボディーイメージが助詞の理解を助ける
ボディーイメージを明確にする働きかけは、助詞を理解するための根本的な土台となります。
具体的にはこのような働きかけが考えられます。
○入浴時に鏡を見ながら身体を洗う
○皮膚をマッサージする
自分の身体を、目で見て、手で触れて、肌で感じて、身体に対する意識を育てていきましょう。
一見すると遠回りなようですが、自分の心身に根付いた本質的な自己理解を育て、言葉の学習全体に対して力になってくれますよ。
今回は、助詞を理解するための土台を身体の面から考えてみました。
指導のご参考になれば幸いです。
それでは、また!
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このブログは、四谷学院「発達支援チーム」が書いています。
10年以上にわたり、発達障害のある子どもたちとご家庭を支援。さらに、支援者・理解者を増やしていくべく、発達障害児支援士・ライフスキルトレーナー資格など、人材育成にも尽力しています。
支援してきたご家庭は6,500以上。 発達障害児支援士は2,000人を超えました。ご家庭から支援施設まで、また初学者からベテランまで幅広く、支援に関わる方々のための教材作成や指導ノウハウをお伝えしています。
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