加配保育士とは?仕事の内容・求められるスキル・役割についてわかりやすく解説します

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こんにちは、四谷学院の発達支援士、発田です。

加配保育士(かはいほいくし)という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
保育士さんや保護者の方の話を伺っていると

「加配の先生が入ってサポートしてくれます」
「加配をして〇年目なんですけど、こういう工夫をしています」
「初めて加配になったので勉強したい」

こんな声をいただきます。
今回は、子どもの成長を支える加配保育士について解説していきます。

動画での解説はこちら!

加配保育士とは

保育所等の児童福祉施設では、子どもの年齢ごとに「子ども何名につき保育士何名」というように、国によって配置基準が定められています。
そのような通常勤務の保育士に「加えて」「配置」される保育士なので、「加配保育士」と呼ばれています。

加配保育士の役割

加配保育士の仕事内容や園での役割はどういったものなのでしょうか。
その主な仕事の1つに、保育所に通う「障害のある子どものサポート」があります。
内容を詳しく見ていきましょう。

(1)障害のある子どもの園での活動・発達のサポート

対象となる子どもの障害の特性や程度によって内容は異なりますが、実際の園では、食事・排泄・遊びなどの園での活動を個別にサポートしていくことがメインのお仕事となっています。また、他の子どもとの関わり方に課題がある場合などは、加配保育士が間に入って、やりとりのサポートを行うこともあります。

対象の子どもとは1日の中の多くの時間を一緒に過ごすことになりますので、まずは信頼関係を築いていくということが最も重要です。
また、子どもの自主性や成長を妨げることがないよう、過度に手伝いをするのではなく、時には見守るようにしたり、他の子どもとの生活の中で両者が共に成長できるように工夫したりすることも大切です。

(2)保護者・関係機関との連携

加配保育士は、他の保育士以上に対象の子どもと密に関わることが多いため、保護者と情報を共有することや、時には良き相談相手となることが求められます。保護者と直接やりとりすることが難しい場合は、担任保育士や園内の他の保育士と連携します。
また、保護者だけではなく、医療機関や自治体の関係機関とやりとりが必要な際は、保育所側の担当窓口となることもあります。

(3)対象児の指導計画の作成

保育所等では、障害の有無に関わらず、子どもたち一人ひとりの発達に合わせた保育をすることが求められますが、障害のある子どもの場合、それぞれの特性もあり、よりきめ細かく計画を立てることが必要です。
お子さんを一番近くで見ているのは加配保育士である状況も多いため、非常勤の加配保育士であっても個別の指導計画の作成が求められることもあります。

なお、園によっては、担当児の保育をしながら、常勤保育士の手伝いや園の他の仕事全般を任される場合もあるようです。

加配保育士をつけるための条件

加配保育士は、保育所や保護者からの申請に応じて配置されます。
加配保育士をつけるための明確な条件はありませんが、次の2点が主な判断基準になります。

(1)保護者の同意と医師の判断

保育所と保護者、双方の同意が必要となります。
その際に「医師の診断」をもとに保護者が加配に同意する、という形をとります。

(2)保育所の人員配置

医師の診断をもとに保護者が保育所側に要望を出したとしても、必ずしも加配保育士が配置できるとは限りません。保育所側の経営的な問題、そして人材的な問題をクリアして、配置が実現します。
加配保育士が配置される場合は、障害のあるお子さん2名に対し、保育士1名の割合で配置されるのが一般的です。必ずしも支援の必要なお子さんにずっとつきっきり、というわけではありません。

加配保育士の費用

加配保育士をつけるにあたって、保護者側が費用を負担することはありません。
加配保育士が追加で配置される場合の人件費については、保育所等に対して、公的な支援策があります。

加配保育士の資格

加配保育士として働くためには、保育士資格等が必要になります。「保育補助」とは異なり、有資格者のみが加配保育士となることができます。
また、保育士資格に加え、障害に関する専門的な知識も必要になってきますので、自主的に勉強をしていく姿勢が求められます。

加配保育士の仕事・求められるスキル・役割~まとめ~

加配保育士の仕事は、ひとりの子どもとじっくり関わることができ、日々成長をする姿を間近で見ることができます。とてもやりがいのある仕事ですが、障害についての専門知識も求められます。
障害児保育は、平成29年度より実施の「保育士等キャリアアップ研修」の研修分野にも含まれていますが、制度上、参加できる保育士が園内でも限られていたり、勤務時間等の都合で、保育士の参加自体が厳しい園もあったりするのが現実です。そのため、社会のニーズは高まっているものの、障害児保育に関する知識や技術が保育現場に広く浸透しているとは言えない状況です。
障害のある子どもたちの中でも、特に多いとされているのが発達障害で、保育所での受け入れ件数も年々増加しています。

また、加配保育士をつけるまでには至らなくとも、発達障害グレーゾーンと呼ばれる子どもたちも多く、四谷学院の保育士講座の受講者の方からも
「発達障害について学ぶ機会が欲しい」
という声が寄せられるようになりました。

 四谷学院の「発達障害支援士資格認定講座」は保育士さんのための講座です。  加配保育士さんはもちろん、すべての保育士さん、保育補助の方に学んでいただくことで、クラスの中にいる発達が気がかりな子どもをどう支援するか、という“集団の場における支援”に特化したカリキュラムで、実践的な支援スキルを身につけることができます。
オンラインで完結する講座なので、忙しい保育士さんでも働きながら受講することができます。

参考ページ
【北九州市】 入所時処遇(保育所)・ほいくらし 加配保育士とは
日本教育新聞 「加配保育士の役割と障害のある子どもに対する支援策」
・公開終了 厚生労働省 保育を取り巻く状況について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/hoiku/index.html

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