こんにちは。四谷学院の療育通信講座、ブログ担当necoです。
「学習する姿」というと、ほとんどの人が思い浮かべるのがノートと鉛筆を持って、椅子に座って机に向かう、という様子ではないでしょうか。
「ノートと鉛筆」という古き良き学習スタイルは、実際に大変優れたものですが、見る力・書く力が弱い人にとっては、なかなか苦労の多い学習方法でもあります。
・文字を枠内に収められない
・黒板を書き写すのが苦手
・筆圧が強すぎる・弱すぎる
・整った文字を書けない、、、
などなど、書くことに対するお悩みは55レッスンでもたくさん伺うのですが、すべてが「ノートと鉛筆」のシステムに立脚した悩みです。
極論を言えば、PC入力や音声入力のシステムを使えば、これらの悩みは完全に解消します。
ですから私は、「書けない」というご相談をいただいた時は、もちろんちゃんと具体的な練習方法をご提案するのですが、その裏には書けなくても最後は何とかなるという強い信念を持って、書けないお子さんのつらさが少しでも楽になればいいなと祈りながらお返事しています。
とはいえ、書くことは確かに大切なスキルです。
そこで、書く力が弱いお子さんのために、誰でもごく簡単にできる支援例をご紹介します。
ノートの下に紙やすり
筆圧が弱いお子さんにお勧めです。ノートの下に、下敷きの代わりに紙やすりを敷きます。鉛筆の先がザラついて引っかかるので、筆圧が弱くても線が描けます。
ノートの代わりにホワイトボード
ここで言う「ノート」は、記録用にとるノートではなく、たとえば漢字の繰り返し練習や、例題を計算するといったように一時的な筆記場面で使うノートのことです。
これを紙のノートではなくホワイトボードで代用します。
学習机に載るくらいの小さなホワイトボードは100円ショップでも購入できます。
ホワイトボードの何が良いかというと、「消しゴムを使わずに済む」ことです。消しゴムで文字を消すのは時間がかかり、力も必要です。何度も消したり書いたりしていると、紙が破れたり汚れたりして、やる気を削いでしまいます。
ホワイトボードなら、ごく軽い力で簡単に消せます。
手先が不器用、力のコントロールが苦手、というお子さんにお勧めです。
板書は写真撮影
昨今ではかなり一般的になってきた支援方法です。
黒板の内容をノートに写すことが苦手なお子さんはかなり多くいます。
板書をノートにとるという行動は、目の使い方、ワーキングメモリ、手指の使い方など、さまざまな要素が関連した、実に高度な活動なのです。
そもそも授業で最も大切なのは、学習内容を頭に入れて考えることであって、ノートを正しく取ることではないはずです。
ノートを書くことにエネルギーを使いすぎて、授業の内容が頭に入らなくなるのでは本末転倒です。そのくらいなら、黒板なんか写真に撮っちゃえばいい、という話です。
必要ならば、撮影した写真を見ながらご家庭でノートに書き写す、まとめ直すなどして、書く練習を別途行うと良いでしょう。
私はよくセミナーや勉強会に参加しますが、大半の大人がスマホで板書を撮影していますし、ノートを取る代わりにPCに打ち込んでいる人や録音している人など、記録する方法も実にさまざまです。
便利な道具がたくさん身近にあるのですから、子どもたちの学習場面でも、もっと柔軟な工夫を持ち込んでも良いと思いませんか。
学ぶことはとてもとても楽しいことです。
学校に行くことの一番重要な意義は、この学ぶ楽しさを心の底から味わってもらうことです。
書くことの大切さを否定するつもりはありません。
でも、書くことが全てではありません。
書くことの苦痛によって学ぶ楽しさが制限されてしまうのであれば、文字なんか書かなくたっていいと思います。
書くことと学ぶことのバランスをうまく取るためのヒントになれば幸いです。
それでは、また。
子どもたちに、わかる喜び、できる自信を。
四谷学院療育55段階プログラムホームページ
このブログは、四谷学院「発達支援チーム」が書いています。
10年以上にわたり、発達障害のある子どもたちとご家庭を支援。さらに、支援者・理解者を増やしていくべく、発達障害児支援士・ライフスキルトレーナー資格など、人材育成にも尽力しています。
支援してきたご家庭は6,500以上。 発達障害児支援士は2,000人を超えました。ご家庭から支援施設まで、また初学者からベテランまで幅広く、支援に関わる方々のための教材作成や指導ノウハウをお伝えしています。
このブログでは、発達障害のあるお子様をはじめ保護者の方やご家族、支援者の方が笑顔で毎日を過ごせるよう、療育・発達支援のヒントを発信していきます。
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