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【発達支援を学ぶ】ABA(応用行動分析)とは?①

  公開日:2021/05/17

※この記事は約7分で読めます。

こんにちは、55レッスンの生田です。

発達支援について色々調べている中で、ABA(エービーエー)という言葉を聞いたことはあるでしょうか?
なんとなく聞いたことはあるけれど、「具体的に説明してみて?」と言われるとできない…という方が多いかもしれません。

この記事では、ABA(応用行動分析)についてご紹介します。

ABAとは?応用行動分析とは?

ABAは、応用行動分析(Applied Behavior Analysis)の頭文字をった略称です。
通常、「エービーエー」と呼ばれます。

「応用行動分析・・・なんだか難しそう」
と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、身近な場面を取り上げて考えてみるとイメージがわいてくるかと思います。

ある日のこと、ひとりのおばあさんがバスに乗車してきたときの話です。
おばあさんは杖をついていましたが、その場にいた誰も席を譲ろうとしませんでした。
この光景を見ていたバスの運転手は、一言「どなたか席を譲っていただけませんか」とアナウンスをしました。
するとその瞬間、おどろくべきことに、近くにいた乗客が一斉に席を立ち上がろうとしたのです。

それからというもの、バスの運転手は座席が必要そうな人がいれば必ずアナウンスを流すようになりました。

あなたは、電車やバスで誰かに席を譲ったことはありますか?
スマートに席を譲ることができる人もいれば、「断られたらどうしよう」と躊躇する人もいるかもしれません。
このエピソードの最初の方を読んで、バスの乗客を「意地悪な人」と批判したくなった人もいるでしょう。

しかし、彼らは本当に意地悪な人だから席を譲らなかったのでしょうか?
あるいは、心優しい人であれば、絶対に、すぐに席を譲ることはできるのでしょうか?

答えは「NO」だと思います。

それはバスの運転手さんの行動が証明してくれています。
運転手さんの「どなたか席を譲っていただけませんか」という一言に背中を押され、席を譲ろうとした人たちが、こんなにたくさんいるのです。

つまり、「行動」は「人」だけに起因するものではないという考え方があります。

環境が行動に影響を与える

バスの例でも見てきたように、応用行動分析(ABA)は、人の行動の原因を「個人」ではなく、「環境と人との相互作用」としてとらえています。

「意地悪な人」だから譲らなかったのではなく、「おばあさんの位置から遠かった」から、「他の人も譲ろうとしなかった」から…など、たまたまこういう状況だったからかもしれない、こうだったら違っていたかもしれない、と考えていきます。

つまり「心」を変えるのではなく、「行動」を変えるためにはどうすればいいのかという視点で解決の糸口を見つけだします。

もしもあなた自身や、あなたの周りで席を譲れない人がいたとしても、その誰かを責める必要はなく、その人を取りまく環境を変えれば、どのような人でも立ち上がって「どうぞ」と声をかけることはできる、という風に応用行動分析(ABA)では考えます。

ABA療育の歴史と効果

「なんでうちの子はこんな行動をとるんだろう?」
発達が気がかりなお子さんを育てる保護者様なら、一度は考えたことがある疑問かもしれません。

実際に、「人はなぜそのように行動するのか」という問いを解明すべく、生理学や発達理論、認知理論といったあらゆる分野から研究が進められてきました。
その結果、自閉症などの発達障害や知的障害ののあるお子さんへの理解も深められてきたといえます。

一方で、「では、どう支援すればいいのか」、「どうしたら問題行動を減らせるのか」という効果的な支援方法についても注目されるようになりました。

こうした状況の中で、新たな風として台頭したのが<行動主義>とよばれる人たちの存在です。

ABAの祖「B.F.スキナー」

せっかくですから、応用行動分析(ABA)の祖であるB.F.スキナーについても紹介します。

スキナーは、オペラント条件づけとよばれる学習の理論において、行動と結果の関係性はコントロールできると考えました。
オペラント条件づけとは、生体にとって快、もしくは不快な刺激を与えたり取り去ったりすることで、適切な行動を増やし、不適切な行動を減らそうとする手続きのことです。
ABAも、オペラント条件づけの原理や方法を現実社会に応用した学問といえます。

応用行動分析(ABA)は教育や福祉、医療など各方面において用いられるようになりました。

ABAで望ましい行動を増やす具体例

応用行動分析(ABA)では、困った行動が起きる前後の行動や状況を分析することで、一人ひとりに応じた解決策を導き出します。
この手法は、ABC分析とよばれ、先行事象(Antecedent)、行動(Behavioe)、結果(Consequence)の頭文字がとられています。

実際にABC分析を用いた支援について事例をあげながら説明しましょう。

Yくんは特別支援級に通っている小学校1年生の自閉症の生徒です。
Yくんは算数の課題中、15分以上座っていることができず、いつも課題をやめて歌を歌い出します。
先生はそのたびに課題に集中するように促しますが、Yくんの行動は一向に改善されません。

ABC分析をする上では、まず目に見えるものを観察することで変えられるものは何かを明らかにします。

この事例における「課題中に歌を歌う」という状況について、ABCフレームを使って考えてみましょう。

ABCフレームで考える

Aは、先行事象(Antecedent)
Bは、行動(Behavioe)
Cは、結果(Consequence) です。

Y君の問題行動は、このように整理できます。

 (A)課題を提示される→ (B)歌を歌う→ (C)先生に注目される 

A「課題の提示」が、B「歌を歌う」という行動につながっていることが、わかりやすくなります。
そして、先生に注意されることで注目を浴びることができた!という経験をすることにより、「歌を歌う」という行動が強化されていると考えることができます。

このように、ABCフレームの枠組みで整理をすると、困った行動の原因が明確になります。

「A」を変えてみる

先行事象(A)を変えてみましょう。

 (A)10分で完了する課題を提示する→ (B)課題に取り組む→ (C)先生にほめられる 

Yくんの集中力の続く時間の範囲内で取り組める課題を出せば、最後まで取り組めることが期待できます。
そうすると、先生もYくんをほめることができます。
先生からほめられると、Yくんももうちょっとがんばってみようかなという気持ちになりやすくなります。

このように、望ましい行動を増やすような刺激をABAでは「強化子」とよびます。
ここでの強化子は、「先生にほめられること」ですね。
そのほか、シールをあげる、であったり、家庭であればおやつをあげる、といったいわゆる「ごほうび」が強化子にあたります。

強化子の注意点

強化子を提示するタイミングも重要です。
大人が気まぐれに強化子を呈示してしまうと、子どもの行動も気まぐれになってしまいます。

そうならないためにも、ABAに取り組む前の子どもの行動を「できる限り客観的に、正確に」記述しておく必要があります。

この事例では「Yくんは15分以上座っていることができない」ことから、強化子を提示する間隔は10分ずつと決めることができます。
そして15分、20分と、強化子を呈示する間隔を段階的に広げていくことで、やがてもとの強化子がなくなっても望ましい行動が維持されるようになることでしょう。
また、どの行動に対してほめられているのかを明確にするため、望ましい行動ができたときは「すぐに」ほめてあげることも大切です。

もしかしたら・・・
「ごほうびでつるようなことをしていいの?」
と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、たとえば私たち大人も仕事をするとき「お金」という報酬に少なからず動機づけられていないでしょうか。
もちろん「仕事そのもの」にやりがいを感じているという方もいらっしゃるでしょう。「家庭のため」あるいは「趣味のため」と答える方もいらっしゃるかもしれませんね。
いずれにしても確かなのは、その人なりの強化子がその時々で存在しているということです。

子どもの場合も同じで、いつまでもシールやおやつをもらえることが子どもにとっての強化子になるわけではありません。
別の強化子に取って代わられるかもしれませんし、その行動自体に意味を見出せるようになるかもしれません。
ABAは「いま変えられるものを変えていく」という姿勢を徹底しますが、それは絶対的なものではなく、いつでも柔軟に変えていけるものなのです。

次回、「ABA(応用行動分析)とは?②」では、ABAで不適切な行動を減らす方法などをご紹介していきます。

 

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