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自閉症の子に相談スキルを育てるには

  公開日:2017/07/12
最終更新日:2019/01/10

※この記事は約5分で読めます。

こんにちは。四谷学院の療育通信講座ブログ担当necoです。
自閉症スペクトラムの特性を持つお子さんには、こんな様子を見せる方がいらっしゃいます。

★困ったことはないか?と尋ねられても、「ない」と即答する。
(明らかに困っていることがあると想定される状況だとしても)

★困っていることを人に相談するように何度教えても一向に教えてくれない。

★自分の方が正しいはずなのに怒られた、などと一方的に訴える。

「困っていることを相談してくれさえしたら、解決策を一緒に考えてあげられるのに・・・」
「どうして何も言ってくれないのだろうか?」
と、指導に迷われる方もいらっしゃるのではないかと思います。

そこで今回は、こういったタイプの子どもたちに困った時に人に相談し、問題を適切に解決するスキルを身につけてもらうために、どんな支援をすればよいか、ご一緒に考えてみましょう。

背景にあるのは自閉症スペクトラムの特性

子どもたちがこのような行動を取る背景には、自閉症スペクトラムの特性が隠れています。

その特性のおかげで、子どもたちはこんな状況に置かれていると考えられます。

事実として状況を捉えることはできていても、他人の感情や行動を含めた客観的な状況理解はできていない

⇒ そもそも自分の置かれている状況に対する気付きが乏しい

⇒ その状況で常識的に求められる行動と自分の気持ちとの折り合いをつけることが難しい

⇒ そのため、自分が望まない結果になったことを感情的に訴える

⇒ しかも、訴え方は一方的で、筋道を立てた説明ができない

子どもたちの3つの苦手さ

こういった状況を呼んでしまうのは、自閉症スペクトラムの子どもたちが持っている「3つの苦手さ」 です。

  • 1.モニタリングの苦手さ
  • 自分と他人の感情や、その場の状況を、直感的に捉えることが難しい

  • 2.プランニングの苦手さ
  • 困ったこと、不快なことなど、自分の葛藤を解決するために必要な手段を選択し、実行することが難しい

  • 3.コミュニケーションの苦手さ
  • 自分の気持ちや、置かれている状況を、言葉にして相手に伝えることが難しい

この3つは、誰かに相談して問題を解決するために、欠かせないスキルです。
つまり、この3つの苦手さを持つ子どもたちは、

人に相談して問題を解決する姿勢に 「もともと」 弱さがある、と考えられるわけです。

相談できるスキルの土台は「話したい」という意欲

こういったタイプの子どもたちは、自分が興味関心を持っていることを他者と共有したいという気持ちが少なく、かつ、伝えるスキルも弱いことが多いです(もちろん個人差はありますが)。
その結果、自分の内面について他者に話し、それを肯定的に受け止めてもらう機会がかなり限られてしまうこともしばしばあります。
これでは、積極的に相談しようという気になりにくいのも仕方ありません。
人に相談できるスキルの土台になっているのは、「話したい」という意欲、「話せば受け止めてもらえる」という信頼感です。

どんな子どもたちにも、その子の心の動き方に合った方法でこの意欲と信頼感を育ててあげたいものですね。

相談する意欲を育てるやりとりの練習

そんな意欲を育むための練習の一例をご紹介します。

ご本人にとって興味関心の高いものを使い、自分の内面について他者と楽しくやりとりをする経験を積んでもらう試みです。

見せたいものを持ってきて話そう

自分の興味関心のあるものを持参し、それについて大人とやりとりします。
具体物を目の前にすることで、言葉が引き出されやすくなります。
「3分間」などと時間を決め、タイマーなどを鳴らして、開始と終了を明確に区切ります。
話せる子にはできるだけ本人の話したいように話してもらい、最終的には話の筋を大人が上手にまとめて投げ返してあげ、「きちんと伝わった」 「聞いてもらえた」 という実感を持たせます。

自分からうまく話せない子には、
「それは何?」 「どんな風に使うの?」 「どこが好きなの?」 などと話を引き出してあげましょう。

相談しやすい環境を整える

この練習と並行して、子どもたちの「3つの苦手さ」を和らげてあげる支援を行いましょう。

状況を視覚的にまとめる

本人が訴えた内容、その時の状況、大人からのまとめや助言を、文字や図で視覚的に捉えられるように整理して示します。
本人の言い分だけでは正しい状況を把握することが難しいこともあるので、ケンカなどの相手がいる場合は必ず相手の言い分も聞きましょう。
大人が状況を整理して視覚的に示すことで、子どもたちの「3つの苦手さ」を補います。

学校や家庭での環境調整

同時に、保護者・学校・支援施設など、関係者が連携して環境調整を行い、「訴えたことで周囲の環境が良い方向に変わっていった」 ことを子どもが実感できるようにします。

このようなやりとりを通して、
「うまくいかなかったら人に声をかけてみること」
を習慣化し、相談して問題解決を図る姿勢につなげていきましょう。

子どもたちに 「相談する甲斐がある」 と思ってもらえれば嬉しいですね。
それでは、また!

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