こんにちは、55レッスンの生田です。
11月10日土曜日に行われた国立特別支援教育総合研究所の「研究所公開」に伺ってきました。
研究所公開では、様々なブースで特別支援教育に関する紹介や体験が行われていました。
ここでは、四谷学院のスタッフが注目した展示をピックアップしてお伝えいたします。
発達障害教育推進センター 展示室公開
発達障害教育推進センターでは、発達障害のある子どもたちのための教材や教具、関連書籍やDVDなどが展示されていました。
展示室には スタッフの方が数名いらっしゃり、「これはこういう子のために~」「こうやって使うんですよ」と見学者の方々に丁寧に解説されていました。
スタッフの方は鮮やかな緑のジャンパーを着ていらっしゃいます
展示されているものは、すべて実際に見て触ることができます。
発達障害のあるお子さんの教育・育児に関わる人なら、ぜひ訪れたいブースです。
最近話題のビジョントレーニングです。
ソーシャルスキルトレーニング(SST)ボードです。
書籍やDVDなども紹介されています。
(1)軍手を二重にはめます。
(2)ヒモを持ちます。(なかなかつまめない!)
(3)木製の四角ビーズをつまみます。 (お、これはもちやすい)
(4)ビーズの穴にひもを通します。
(5)次に、丸いビーズをつまみます。(あ、転がっていく・・・)
(6)ビーズの穴にひもを通します。
(7)さらに小さいビーズをつまみます。(難しい!)
(8)ビーズの穴にひもを通します。 (穴にひもが入らない・・・涙)
(9)3つビーズが通ったら完成! (疲れた・・)
普段であればなんてことない作業ですが、ビーズをつかむこと、穴に通すこと一つひとつにものすごく神経を使い、だんだんイライラ…
操作性の弱いお子さんたちが、日々どんなストレスを抱えているのか実感できました。
そして、支援する側としては、ビーズは小さいものより大きいものを、丸いものより四角いものを用意してあげるなど、支援のヒントを得られる体験でした。
四谷学院55レッスンのパンフレットも展示されています!
生活支援研究棟見学ツアー
生活支援研究棟では、重複障害のあるお子さんが日常生活を送る上で必要な支援や環境整備が実際に建物内の各部屋に展示されています。
建物に入ると、お香のようないい香りが・・・
これは「におい」で場所を知ることができるための工夫。(ちなみに、蚊取り線香でした)
ほかにもウェルカムボードや今日来ているお友達の写真なども。
自分の代わりにしゃべってくれるVOCA(ヴォカ)。ボタンを押すと声が聞こえます。
見学者には事前に「クリアファイル」が渡されました。
何に使うの??と思ったところ・・・目の前にかざして周りを見ることで、視覚障害を体感できます。
通称”ビッグマック”。軽い力で押せるボタンです。音声出力のほか、ミキサーや掃除機につないでスイッチにすることもできます。
専門的な機材もありますが、100円ショップやホームセンターで入手できるグッズでできる支援の工夫をたくさん紹介しています。
一般的に、まな板は木や白色の素材を使うことが多いのですが、視覚障害がある場合、白い食材を白いまな板の上で切るとなると、わかりづらいんです。
白い「大根」などを切る時は、見えない・・・・。しかし、黒色のまな板だと、白っぽい素材は見えやすくなります。
同じく、白いお茶碗に白いご飯だと・・・お米の粒まではよーく注意して見ないと分かりません。だから「味わう」余裕がなくなってしまうんです。
実際に、配布されたクリアファイル越しに黒いまな板や黒いお茶碗を見ると・・・どこにあるかはっきり分かりました。
ご案内くださった先生によると、視覚障害のあるお子様が、黒い食器でご飯を食べたとき「今日のご飯はおいしい」と言ってくれたそうです。
ほんのちょっとの工夫からうれしい効果が生まれたお話でした。
ちなみに、今回見せていただいたまな板には、「目盛り」がついているので、まな板として以外にも発達障害のあるお子さんへの支援にも活用できるとのこと。
・定規をうまく押さえられない
→その子の手の大きさに合わせてカットし、定規の代わりにする。
手の平全体で力をかけることができるので、普通の定規よりもずれにくくなる。
筑波大学附属久里浜特別支援学校 学校公開
同日、お隣の「筑波大学附属久里浜特別支援学校」の学校公開も開催されました。
こちらは「写真撮影不可」なので、文章のみでのお伝えとなります。
幼稚部では、各教室で朝の遊びを終えると、プレイスペースに全員集まって音楽タイムを楽しんでいました。
季節の歌「やきいもグーチーパー」では、先生がおいもになりきったりと、子どもの興味をひきつけるために様々な工夫をしていました。
小学部では、1年生の図工の授業を見学。小麦粉に水を加えて小麦粘土にして遊ぶという過程を体験していました。
体験を通して様々な感触に慣れるとともに、「白」「丸」「細長い」といった言葉に親しむ姿も見られました。
お子さんたちは、みんないきいきとしていて、体験を通して楽しく学ぶことの大切さを改めて実感しました。
55レッスンでも、家庭療育では楽しく行うことが大切だと考えています。また、「ちょっとした工夫」でお子様のつまずきが解消されます。
楽しく、そして意欲的にお子様自身が療育取り組めるように、様々な工夫をこらしています。
55レッスンについて詳しく知りたい方は、ホームページをご覧ください。
このブログは、四谷学院「発達支援チーム」が書いています。
10年以上にわたり、発達障害のある子どもたちとご家庭を支援。さらに、支援者・理解者を増やしていくべく、発達障害児支援士・ライフスキルトレーナー資格など、人材育成にも尽力しています。
支援してきたご家庭は6,500以上。 発達障害児支援士は2,000人を超えました。ご家庭から支援施設まで、また初学者からベテランまで幅広く、支援に関わる方々のための教材作成や指導ノウハウをお伝えしています。
このブログでは、発達障害のあるお子様をはじめ保護者の方やご家族、支援者の方が笑顔で毎日を過ごせるよう、療育・発達支援のヒントを発信していきます。
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