自分の思う通りにならないとパニックを起こしてしまう
急な予定変更をなかなか受け入れられない
このようなお子さんにお困りの指導者の方からご相談をいただくことがあります。
いくら宥めてもなかなか落ち着いてくれず、途方にくれてしまうような経験、誰しも一度はあるのではないのでしょうか?
そこで、今回の記事では「パニックを起こしやすいお子さんへの対応法」についてご紹介しています。お子さんのパニックやかんしゃくに悩んでいる方は、ぜひ参考になさってくださいね。
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目次
なぜパニックになる?
発達障害のあるお子さん、特に自閉症スペクトラムのお子さんは、いつも同じ手順で物事を進めたがったり、特定のモノや人にこだわったりする傾向があります。また、はじめての場面や慣れない場所では、極度な不安や緊張を抱えやすいとも言われています。
その障害特性ゆえに、急な変更や予期せぬ出来事があると、思い通りに物事を進められないことへの不満や、慣れないことへの緊張からパニックを起こしてしまい、気持ちの切替ができなくなるお子さんも少なくありません。
また、こうした状況が続くとうつ病や不安障害などの二次障害に至る可能性も出てきます。もしもお子さんに心のトラブルが生じた場合は、すぐに専門家に相談するようにしましょう。
パニックを起こさないようにするには?
ここからは、お子さんがなるべくパニックを起こさないようにするための3つのポイントついてお話していきます。
予測する
1つめは「予測する」です。
イレギュラーな出来事や特別なイベントがある場合は、あらかじめ、当日危惧されることを予測します。
たとえば、遠足で電車に乗って水族館に行く場合は
館内を回る順番にこだわるかもしれない
見たかったショーが見られなかったら、気持ちが崩れるかもしれない
まずはお子さんの普段の様子から
「どんな時に不安を感じやすいか」
「どんな状況でパニックを起こしやすいか」
といった傾向を予測できるとよいでしょう。
事前準備をする
事態が予測できたら、それに合わせて事前準備をします。
発達障害のあるお子さんは、先の見通しが立たないことが苦手な子が多いため、事前に当日の流れを説明することはとても大切です。
遠足のしおりや水族館の写真、パンフレットなどを見せて、一緒にスケジュールを確認しておけるといいでしょう。このとき、当日や前日に告知するのではなく、なるべく余裕をもって繰り返し伝えておけると、お子さんも安心して当日を迎えられるかと思います。
また、「電車に座れないかもしれない」「天候などによって当日の行事が変更になるかもしれない」など、当日にならないと分からないことについては、あらかじめ「別のパターン」を伝えておくことで、“予定外の出来事”を最小限に留めることができます。
その際も「電車に座れないかもしれない」「ショーがなくなるかもしれない」と不安を煽る言い方をするのではなく
「座る席がなかったら、端に立って先生とお話しようね」
「ショーがなくなったら、ペンギンさんを見に行こうね」
というように、「代わりに何をするか」を具体的に伝えることで、お子さんも当日の予定変更を受け入れやすくなるでしょう。
気持ちの落ち着け方を教える
日ごろから「パニックを起こしそうになった時」の対応法について、お子さんに伝えておくことも重要です。
「大丈夫」など、おまじないの言葉をつぶやいてみる
お気に入りのクッションを抱きしめる
挙手をする、カードを見せるなどして、大人にヘルプを出す
実際にパニックになっている最中にこれらの行動を促してもうまくはいかないことが多いので、普段から大人と一緒に練習することがポイントです。こうした練習はすぐに成果が出るわけではありませんが、長い目で見て支援をする中で、少しずつ習慣になっていくことが期待されますよ。
体験から学ぶことの必要性
ここまで、パニックを起こしやすいお子さんへの接し方やその対応法についてお話してきました。
一方で、どんなに事前準備をしていてもうまくいかないこともありますし、全く予測していなかった事態が起こる可能性もあるでしょう。
もしもお子さんがパニックになってしまったら、必要以上に要求を受け入れず、気持ちが落ち着くまで傍で見守ってあげてください。(もちろん、場面によっては難しいこともあるかと思うので、できる範囲で大丈夫です。)
予期せぬ出来事や急な予定変更が起こりうるということを、お子さん自身が体験を通して知っていくのもまた大切なことです。そうした体験を通して、少しずつ気持ちの切り替え方が分かるようになったり、イレギュラーな出来事への対応力が身についたりしていくことでしょう。
もちろん、前述したとおり、お子さんの不安やストレスを軽減する上で大人が「事前準備」をすることはとても大切です。しかし、失敗を恐れるあまり体験すること自体を回避してしまうと、お子さん自身が成長する機会を失ってしまうことになります。
そのため支援者としては、「予測」と「準備」をしっかりと行いつつ、不測の事態が起こっても「これも1つの経験」として、ぜひ、いろいろなことにチャレンジさせてあげてほしいと思います。
発達障害児支援士資格認定講座で学ぶ
四谷学院の発達障害児支援士資格認定講座は、発達障害や発達支援の基礎知識や支援のノウハウについて学ぶことができます。
急な予定変更や初めてのことへの拒否反応への対応、パニックへの対処法などについても具体的な事例を交えて紹介しているので、すぐに現場に活かしていただけるかと思います。
発達障害児支援士資格認定講座の詳細はHPをご覧くださいね。
このブログは、四谷学院「発達支援チーム」が書いています。
10年以上にわたり、発達障害のある子どもたちとご家庭を支援。さらに、支援者・理解者を増やしていくべく、発達障害児支援士・ライフスキルトレーナー資格など、人材育成にも尽力しています。
支援してきたご家庭は6,500以上。 発達障害児支援士は2,000人を超えました。ご家庭から支援施設まで、また初学者からベテランまで幅広く、支援に関わる方々のための教材作成や指導ノウハウをお伝えしています。
このブログでは、発達障害のあるお子様をはじめ保護者の方やご家族、支援者の方が笑顔で毎日を過ごせるよう、療育・発達支援のヒントを発信していきます。
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