こんにちは。四谷学院の療育通信講座、ブログ担当のnecoです。
55レッスンの受講生の皆さんから最も多く寄せられるご相談の一つが、
「集中できない」
ということです。
集中できない、集中力が続かない、すぐに気が散る、集中がすぐ途切れる、途切れた集中力を戻すのに時間がかかる、好きなことには集中するのに興味のないことには一切取り組もうとしない・・・
など、など。
小さな子供たちの集中力の持続力は10~15分程度と言われます。
もちろん個人差はありますが、基本的には子供の集中力は大人が思うより短いと考えていただくと良いでしょう。
特に、発達に偏りがあったり、ゆっくりだったりするお子さんは、
○ 一つのことに考えを向け続けることが苦手
○ 何かが目や耳に入ると瞬間的に身体が向いてしまう
といった様子を見せることがあります。
もともと集中しづらい認知の特徴を持っていると言えるでしょう。
そんな子供たちに、学習に集中してもらうための働きかけのコツをお伝えします。
目次
気が散るものは片付けるのが鉄則
まずは大前提の鉄則から。
おもちゃやゲームなどが目に入るところにあれば、気になるのは当たり前。
大人だって、ダイエット中でも目の前にお菓子があればつい食べたくなるけれど、見えるところになければ我慢しやすくなりますよね。
(あれ?わたしだけ?)
他にも、光るもの、揺れるもの、音が鳴るもの、窓の外を通るものなど、意識が逸れそうなものは最初から目に入らないように環境を整えておきましょう。
どのくらい集中が続くかを見る
その上で、まずやっていただきたいのは、お子さんの集中力がどのくらい続くかを確認することです。
集中力が切れる前兆を知る
子供たちの集中力が切れる時は、いきなり立ち歩いたり寝転んだりすることはほとんどなく、きっと何かの前兆があります。
○ ソワソワし始める
○ 身体が揺れる
○ 足を動かす
○ 視線が逸れる
○ 目がボーッとした感じになる
○ 手いたずらが始まる
○ 解答速度が落ちる
など。
これが始まり、だんだん強まってから、いよいよ離席や大声を出すなどの大きな動作に移行するはずです。
お子さんの学習をよく見守って、集中力が切れる前にお子さんがどんな様子を見せるかを知っておきましょう。
集中力が切れるまでの時間を知る
ふつうに学習を行なった時に、何分くらいで「集中力が切れる前兆」を見せ始めるかを確認します。
どんなお子さんでも、自分が好きな課題の時には集中が続きやすく、苦手な課題の時には集中が乱れやすいものです。
また、体調や気分など、その日の自分の状態にも集中力は左右されます。
さまざまな学習課題で確認し、平均的な時間を探っていくと良いでしょう。
働きかけるのは集中が切れる「前」
最も大切なポイントは、集中力が切れてから働きかけて学習に引き戻すのではなく、集中力が切れる「前」に働きかけてあげることです。
いったん切れた集中力を取り戻すより、切れかけた集中力をつなぐ方がぐっと簡単です。
また、集中力が切れてしまってから声をかけると、どうしてもその声かけの内容は叱責や注意、指導になりがちですが、集中している最中の声かけは肯定的な内容になります。
楽しい学習体験のためには、できるだけ失敗させず、成功を積み重ね、前向きな声かけをたくさん行ってあげたいものです。
[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”1.jpg” name=”集中力が切れてから声をかけると”]ソワソワしないで! 手はおひざ! こっちを見て![/speech_bubble] 声かけの内容は叱責や指導になりがち [speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”2.jpg” name=”集中力が切れる前の声かけは”]頑張っているね。 その調子だよ。 そろそろ休憩しようか?
[/speech_bubble] 声かけの内容は前向きなものになる
具体的な働きかけの例
たとえば、5分で集中力が切れ始めるとしたら、学習を始めてから3~4分ほどで、努力を肯定する声かけをします。
「がんばっているね」
「その調子だよ」
「よくできているね」
など。
この働きかけによって、逸れかけた気持ちを学習に向け直すことができます。
適度に休憩を挟む
集中力が切れる前兆が頻繁に見られるようになってきたら、声をかけるだけでは気持ちをリセットできません。
いったん学習をストップし、小休憩を入れましょう。
休憩は、座ったまま休むよりも、身体を動かす活動を取り入れるのがお勧めです。
○肩から腕を大きく回す
○ 腕を前に出して手をグー・パー
○ 畳の縁に沿って行進する
○ 大人と手遊びや軽い体操をする
○ 足をブラブラさせる
○ 別室に置いてあるお茶などを持ってきてもらう
○ トイレに行く
など。
手や足など身体の末端を動かすより、全身を動かす動作の方がリフレッシュ効果は高くなりますが、あまり大きく動きすぎると逆に集中が途切れ、元の学習に戻るのが難しくなることもあります。
お子さんの様子に合わせて活動内容を調整しましょう。
このように、集中の続く範囲での細切れの学習と小休憩をつなぎ合わせて、学習時間全体を進めていきましょう。
良い行動をこまめに褒める・承認する
応用行動分析学(ABA)の考え方では、良くない行動を叱って修正するのではなく、良い行動を褒めることで伸ばしていく、という働きかけをします。
集中力が切れやすい子供たちは、さまざまな場面で大人から注意される機会が多いものです。
これは、「良くない行動を叱って修正する」働きかけですね。
今回ご紹介した「集中力が切れる前に声かけする」働きかけは、「良い行動を褒めることで伸ばしていく」考え方を取り入れています。
誰だって叱られるより褒められる方が嬉しいもの。
わたしたち大人だって、褒められた方がやる気も出ますし、たとえば仕事で上司があなたに肯定的な声かけをしてくれたら、(しっかり見てくれているんだな)(評価されているな)と嬉しくなりますよね。
子供たちへの働きかけもこれとまったく同じです。
大人は、良くない行動をしている時に注意することは当然のようにしますが、良い行動をしている時にきちんと褒めてあげることはあまりできていない人が多いように思います。
「集中して、きちんと学習に取り組んでいる」
という行動を褒め、認めてあげることから、集中力を伸ばす指導を進めていってみてくださいね。
それでは、また!
このブログは、四谷学院「発達支援チーム」が書いています。
10年以上にわたり、発達障害のある子どもたちとご家庭を支援。さらに、支援者・理解者を増やしていくべく、発達障害児支援士・ライフスキルトレーナー資格など、人材育成にも尽力しています。
支援してきたご家庭は6,500以上。 発達障害児支援士は2,000人を超えました。ご家庭から支援施設まで、また初学者からベテランまで幅広く、支援に関わる方々のための教材作成や指導ノウハウをお伝えしています。
このブログでは、発達障害のあるお子様をはじめ保護者の方やご家族、支援者の方が笑顔で毎日を過ごせるよう、療育・発達支援のヒントを発信していきます。
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