こんにちは、55レッスンの生田です。
「子どもを通常級と特別支援学級のどちらに入学させるべきだろう?」
発達障害のあるお子様をもつ親御さんの中には、このような悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
支援級に決めた後でも、そこで本当に子どもに合った支援が得られるかという不安もあるかもしれません。
子どもが活き活きと学校生活を送るためにも「どの学校でどのような支援を受けるか」という選択は非常に重要ですよね。
そこで今回は、特別な配慮を必要とするお子さんが就学するまでのプロセスや、発達支援の考え方について分かりやすくご紹介していきます。
目次
就学相談とは?
次年度、小学校入学を控えていて、特別支援学級や特別支援学校への入学、通級の利用を検討していたり、就学にあたり不安があったりする場合に、就学先について教育委員会と相談して決めます。
その相談を、就学相談と言います。
就学先の選択肢は、地域により異なる場合もありますが、おもに以下の4つとなります。
(2)通常の学級+通級
(3)特別支援学級(支援級)
(4)特別支援学校
これらの中から、診断名や障害の程度によって、さらに選択肢が絞られてきます。
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就学相談の流れ
就学相談~就学先決定までの流れは、各自治体により異なりますが、大まかには以下のように進められます。
①就学相談の申込
小学校入学の前年度に、就学相談を希望する場合は申込みます。
申込先や申込方法、申込期間は、自治体や希望の就学先によって異なるため、よく確認しましょう。
申込先:教育委員会、役所の担当窓口、教育センター、学校など
申込方法:電話、郵送、来所など
申込期間:~6月頃
②面接・発達検査
相談員との保護者面談で、これまでのお子さんの様子や就学先の希望について話し合います。相談員がお子さんと一緒に遊んだりしながら行動観察を行い、お子さんの特性を把握します。
概ね1年以内に発達検査を受けていない場合は、お子さんの発達検査も行います。
③医師による面接
7~1月頃:これまでに診断などを受けたことがない場合には、医師が専門的な立場から面談することがあります。
④在籍園の訪問
相談員がお子さんの在籍している園に訪問をして、集団の中でのお子さんの様子を観察したり、園の先生からお子さんに関する資料を提出してもらったりします。
9~12月頃:希望する場合は、学校見学を申し込みます。申込みは、学校に直接行う場合もあれば、相談員を通じて行う場合もあります。
(場合によっては、学校見学が必須となっていることもあります)
⑤就学支援委員会による検討
就学支援委員会とは、子どもにとって適切な就学の場を判断することを仕事としている組織です。
校長や支援級などの先生、特別支援学校の先生、養護教諭、医師、相談員などで構成されます。
就学相談を通して得られたお子さんの情報などをもとに、お子さんにとって最善の就学先を総合的に検討していきます。
⑥保護者説明
委員会での検討の結果について、相談員から説明を受けます。必要があれば、さらに相談を重ねることができます。
特別支援学級や特別支援学校で体験授業が受けられることもあります。
⑦就学先決定
11~1月頃:教育委員会から入学通知書が送られます。
就学先の決定において重要なこと
「就学先の決定」において最も重要とされているのが子どもの発達や成長を最大限に見込める場であるかどうかという視点です。
そして、就学先決定にあたっては、お子さんのことを一番側で見てきた保護者は本人の意見が尊重されるべきとされています。
そのため、「こういう目的で通常級に入りたい」「こうした支援が受けられるなら、支援級に籍を置きたい」など、お子さんの状況を踏まえて希望を伝えられるといいでしょう。
就学後に受けられる支援
障害名が同じだったとしても、お子さんが必要とする支援やその程度は異なるものです。
聞いたり話したりするのは得意だけれど読み書きが苦手、学習のつまずきはないけれど先生の指示を守しれない、大人とは話せるけれど同学年のお友達をつくるのが苦手……
子どもの数だけ得意不得意があるはずです。
そうした個別のニーズに対して、いずれの就学先でも適切な支援を受けることができます。
就学先によって支援の内容は変わってくるため、「お子さんに合った支援を受けられる就学先はどこか?」と考えられるといいでしょう。
たとえば、以下のケースでは、次のような支援が受けられる可能性があります。
例:読み書きが苦手な場合
通常級
・通級による個別指導
支援級
・子どものレベルに合った教材の提供
例:協調性が課題の場合
通常級
・ティームティーチング
支援級
・ソーシャルスキルトレーニング
一人ひとりの教育的ニーズに合った環境・支援を
子どもが抱える困りごとを、「学習障害」や「自閉症」など発達障害の枠組みとしてとらえることは簡単です。
しかし、大切なのはその先に「どのような環境・支援があれば、この子の力が最大限発揮されるか?」と考えることです。 その結果、支援級や特別支援学校への就学が望ましいこともあれば、通常級で子どもにあった支援が受けられることもあります。
誤解を招きやすいのですが、「通常級に入れないから特別支援級に入る」のではありません。支援級で適切な指導を受けた結果、できなかったことができるようになり、めざましい成長を遂げるお子さんもいます。
「学びの場」は変えられる
「学びの場」は固定的なものではなく、子どもの成長過程において柔軟に変えることができます。
学年が変わるタイミングで支援級から通常級に、あるいは通常級から支援級に転級することができる場合もあります。また、支援級に籍を置き、特定の教科や活動のみ通常級で受けるといったことも可能です。
意外とご存じない方も多いので、ぜひこのことも知っておきましょう。
いずれにしても大切なのは、就学する前も、就学した後も
「子どもの可能性を一番に引き出すため、どんな環境や支援が必要か」 ということを、家庭・学校・福祉・医療で連携を図りながら探っていくことだと言えるでしょう。
▼文部科学省 就学相談・就学先決定の在り方について
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/attach/1325886.htm
▼特別な支援を必要とするお子さんの就学:新宿区
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/attach/1325886.htm
▼お子さんのよりよい就学のために就学相談を行います 中野区公式ホームページ
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/attach/1325886.htm
▼小学校就学に関するご相談 武蔵野市公式ホームページ
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/attach/1325886.htm
▼就学相談について 東村山市
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/attach/1325886.htm
▼特別な支援が必要な子どもたちの就学相談/まちだ子育てサイト
このブログは、四谷学院「発達支援チーム」が書いています。
10年以上にわたり、発達障害のある子どもたちとご家庭を支援。さらに、支援者・理解者を増やしていくべく、発達障害児支援士・ライフスキルトレーナー資格など、人材育成にも尽力しています。
支援してきたご家庭は6,500以上。 発達障害児支援士は2,000人を超えました。ご家庭から支援施設まで、また初学者からベテランまで幅広く、支援に関わる方々のための教材作成や指導ノウハウをお伝えしています。
このブログでは、発達障害のあるお子様をはじめ保護者の方やご家族、支援者の方が笑顔で毎日を過ごせるよう、療育・発達支援のヒントを発信していきます。
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