いよいよ入園や就学の時期が近づいてきました。
今回の記事では、新1年生を迎える年長さんにおススメの「学校ごっこ」についてご紹介したいと思います。
動画はこちらからどうぞ!
目次
新生活が始まる前に
4月から始まる新しい学校生活。
「うちの子ホントにやっていけるかな?」と心配されている保護者の方も多いのではないでしょうか。
発達障害のあるお子さん、特に自閉スペクトラム症のお子さんの中には、環境が変わると不安やストレスを抱えてしまう子も少なくありません。
不安や緊張をほぐすための第一歩は、“分からないことを減らすこと”です。
そこでおススメのおうち遊びが『学校ごっこ』。
『学校ごっこ』は、お子さんが感じている小学校への漠然とした不安を軽減し、前向きな気持ちで新1年生を迎えられるようにするための遊びです。
いつ・どこで・どんなことをするのかを何となくでも知っておけると、新しい環境にも適応しやすくなりますから、ぜひおままごとの延長線のような形で楽しく取り組んでみてくださいね。
挨拶はソーシャルスキルの基本
『学校ごっこ』のはじまりは“挨拶”です。
「おかあさんを学校の先生だと思ってね」
「目が合ったら、ニッコリ笑顔で、おはようございます、だよ」
といった風に、まずは具体的な挨拶の仕方を教えます。
挨拶は社会生活の基本ですから、なるべく早いうちに身につけておきたいスキルの1つですよね。
一方で、なかには挨拶することを相当プレッシャーに感じてしまうお子さんもいます。
普段から人見知りが激しい子の場合、顔見知り程度の相手に挨拶されると固まってしまう、ということもあるのではないでしょうか。
そうしたお子さんには無理強いせず、まずは目が合ったら表情をほぐすところから、「おはよう」が難しければ会釈をしてみるなど、ごっこ遊びを通して「これならできそう」という挨拶の仕方を見つけてもらい、少しずつステップアップしていけるとよいかと思います。
授業に集中するには?
園でのご様子などから「授業中、じっと座っていられるかな?」と不安に感じる保護者の方もいらっしゃるかもしれませんね。
そうしたお子さんには、実際にどのくらいの時間なら机に向かって集中できるのかを把握するために、『学校ごっこ』の中でも授業の時間を設定してみるといいでしょう。
ポイントは、“お勉強”ではなく、あくまでも“遊び”の一環として行うこと。『学校ごっこ』の目的は「小学校って楽しいところなんだ」とお子さんに感じてもらうことですから、課題を強制するのはNGです。
「○○くん、教科書のはじめのページを読んでください」と、実際にお子さんを指名して音読してもらったり、「課題ができた人から先生にプリントを見せにきてね~」と伝えて、プリントができたらシールを渡してあげたりと、なにかお子さんがワクワクできる工夫ができるとよいですね。
授業時間も重要です。いきなり45分授業にチャレンジするのではなく、はじめはお子さんが確実に着席できる時間を授業時間として設定しましょう。
5分や10分でも構いません。あとでご紹介する『休憩』をこまめに挟みながら、少しずつ授業時間を延ばしていくことで無理なく課題に取り組むことができますし、集中できる時間も自然と増やせることが期待できますよ。
休み時間は何をしたらいい?
休み時間は、自由行動の時間です。
何をしたらいいか分からない、あるいは、遊びに熱中して時間を忘れてしまうということがないように、休み時間に優先すべき行動については事前に教えた上で、次の授業時間までに着席するように促しましょう。
・水分補給をする
・次の授業の準備をする
『学校ごっこ』の中でシミュレーションをする際には、「今から10分休憩です」「長い針が“2”のところを指すまでに席についておいてください」と声をかけた上で、一旦保護者の方は席を外して、お子さん自身で時間感覚を掴む練習ができるとよいかと思います。
時間になったらチャイムの音源を流してみると、より「学校」らしさが出るのでおススメです。
給食は楽しい時間
発達障害のあるお子さんは、偏食の傾向が強い子が多いと言われています。
それによって食事の時間が苦痛になったり、学校生活に支障が出たりしないためにも、食事のルールがお子さんに合っているかどうかはとても大切なことです。
心配な場合、あらかじめ担任となる先生に給食時のルールを確認しておけるといいでしょう。
ご家庭で『学校ごっこ』の一環として給食の時間を再現する場合は、食事の前後の流れを真似てみるのがおススメです。
たとえば、食事の準備の際に『給食当番』としてお子さん自身でごはんやおかずをよそってもらうことで、自分の食べられる量を把握する練習になりますし、食後は速やかに食器を返却してから遊ぶ、という流れを作ると、ごはんを食べてダラダラすることも減るでしょう。
「今日の給食当番は誰かな?」
「ごちそうさました人は何をするんだっけ?」
という風に声をかけてみてもいいですね。
自分のことは自分でする、という習慣が身につくと、学校生活にもぐんと馴染みやすくなるので、ぜひうまくお子さんをのせながら“してほしい行動”を促してみてください。
挨拶で始まり、挨拶で終わる
『学校ごっこ』は、教室に入って挨拶をするところから始めるとお話ししましたが、『学校ごっこ』のさいごも「挨拶」で締めくくります。
先生には「さようなら」、お友達には「バイバイ」など、相手によって適切な挨拶の仕方があることを教えましょう。
『学校ごっこ』では、とにかく挨拶をする場面がたくさんあります。
登校したとき、授業が始まる前、授業がおわった後、給食の時間など、場面や相手によっていろいろな挨拶の仕方があることを、『学校ごっこ』を通して学べるといいですね。
ワクワクした気持ちで新生活を迎えるために
いかがでしたか?
『学校ごっこ』は、お子さんが安心して小学校に進学できるようにするための“事前準備”とも言えます。
実際の学校と近い環境をご家庭で作ることは難しくても、たとえば
「今から10分休憩です。チャイムが鳴ったら、お風呂場にきてね」
「いただきますの号令をかけてほしいな~」
という風に、日々の生活の中に取り入れる形で、まずは気楽に実践してもらえるとよいかと思います。
また、買い物がてら、お散歩がてらでもよいので、実際の通学路をお子さんと一緒に歩いておくのもおススメです。
こうした日々の意識づけによって、『これから小学生になるんだな』という前向き気持ちをお子さん自身で育めるようになることが期待できますから、ぜひ、無理のない範囲で実践してみてくださいね。
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このブログは、四谷学院「発達支援チーム」が書いています。
10年以上にわたり、発達障害のある子どもたちとご家庭を支援。さらに、支援者・理解者を増やしていくべく、発達障害児支援士・ライフスキルトレーナー資格など、人材育成にも尽力しています。
支援してきたご家庭は6,500以上。 発達障害児支援士は2,000人を超えました。ご家庭から支援施設まで、また初学者からベテランまで幅広く、支援に関わる方々のための教材作成や指導ノウハウをお伝えしています。
このブログでは、発達障害のあるお子様をはじめ保護者の方やご家族、支援者の方が笑顔で毎日を過ごせるよう、療育・発達支援のヒントを発信していきます。
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