こんにちは。四谷学院の療育通信講座、ブログ担当のnecoです。
わたしたち大人はたくさんの漢字を知っていますね。
あなたはその漢字をどうやって身に着けましたか?
ほとんどの方は、「ひたすら書く」ことによって、漢字を覚えてきたのではないかと思います。
発達障害のお子さんは、漢字を上手に書けないことがあります。
原因は、指先の不器用さ、形の認知の苦手さ、見たものを手で再現する力の弱さなど、いろいろ考えられます。
単なる不器用が理由ならば、繰り返し練習すれば漢字の書き方も改善すると期待できますが、形を捉える力が弱い場合は、いくら練習しても意味がありません。
ところが多くの場合、学校でもご家庭でも、漢字の練習の主役といえば「繰り返し書く」こと。
書けば覚えられるお子さんの場合はこれでよいのですが、形を捉える力が弱いお子さんは、書いても覚えられません。
むしろ、書けば書くほど「書けない自分」と直面させられることになり、漢字学習への意欲を失います。
このような時はどのように指導すればよいか、ご一緒に考えてみましょう。
何のために書くのか
まず考えてみたいのは、漢字を繰り返し書いて練習するのは何のためか?ということです。
答えは当然、
使えるようにするため
ですよね。
方法と目的を切り離す
漢字を何度も書くといったような学習方法では、漢字を覚えて使いこなすことが目的だったはずなのに、「書くことそのものが目的である」かのような指導がなされていることが往々にしてあります。
発達に偏りがある・ないに関わらず、子供たちを勉強嫌いにするのは、この「方法と目的の混同」が大きな理由の一つではないでしょうか。
発達障害の子が学校でつまずく時はたいてい、「一般的なやり方がその子に合わない」のが原因です。
その子に合った学習方法を工夫する時は、方法と目的を切り離して、
この子にとってわかりやすい方法は何か?
を考えると、うまくいきます。
漢字を覚えて使えるようにする方法の一例
それでは、書くこと以外の方法の一例を具体的に見ていきましょう。
ICT機器の活用
手で書くのが苦手な子に最もお勧めしたいのが、ICT機器の活用です。
タブレットやPCでのキーボード入力など、使用環境が整っていてご本人が使いやすいツールを選びましょう。
辞書を引く
辞書で、学習したい漢字について調べます。
○読み方
○意味
○その漢字が使われる言葉
○部首
○画数
○書き順
などを調べましょう。
この時、できれば紙の辞書を引くことをお勧めします。
辞書の規則や使い方を身に着ければ将来長く役に立ちますし、言葉の並び方や構成を見ることで学べることも多くあります。
引いた言葉の隣にある言葉が目に入り、自然と知識が広がることもあるでしょう。
ただ、学習意欲が極めて低い、辞書を引くことに抵抗があるなど、辞書を使うことでご本人のやる気を削いでしまう場合は、インターネット検索やアプリ辞書の活用も検討しましょう。
まとめる
調べたことをまとめるのにもICT機器を使います。
一般的なノートを書くように、文字入力ソフトで箇条書きにするのも良いですし、マインドマップソフトを使って自由に表現するのも良いでしょう。
最近は、自由な発想をサポートするために、多くの教育現場でマインドマップが使われるようになりました。
無料のアプリもたくさん出ていますので、ぜひ試しに使ってみてくださいね。
マインドマップの一例。情報を自由に追加してイメージを膨らませることができる
このような活動を続けると、漢字の知識が増え、漢字を見て意味を推測できたり、手書きができなくても文字入力で変換できたり、といった結果につながります。
辞書で漢字について調べ、まとめるという活動は、「ただ何度も書くだけ」よりも、はるかに深い学習を行うことになります。
周囲のお友達が「あの子だけ書き取り練習がないのはずるい」などと反発する時は、代わりにこれだけ時間をかけて調べ学習をしているのだということを説明してあげると、納得しやすいでしょう。
あるいは、書き取り練習と、この調べ学習とで、誰でも好きな方を選択できるようにしても良いと思います。
学習の目的は「誰もが楽しく知識を身に着け、学びを深める」ことなのですから、方法は何でも良いはずですよね(*^ ^*)
漢字は日本の文字の素晴らしい文化で、日本語を使うわたしたちの思考を支える、とても美しく力強い存在です。
necoは漢字が大好きです(^ ^)
一人でも多くの子供たちに、漢字の美しさ、楽しさ、素晴らしさを味わってもらえればと思います!
それでは、また。
55レッスンはお子さんの特性に合わせた学習方法をご提案し、お子さんとご家族の楽しい学びを応援します
このブログは、四谷学院「発達支援チーム」が書いています。
10年以上にわたり、発達障害のある子どもたちとご家庭を支援。さらに、支援者・理解者を増やしていくべく、発達障害児支援士・ライフスキルトレーナー資格など、人材育成にも尽力しています。
支援してきたご家庭は6,500以上。 発達障害児支援士は2,000人を超えました。ご家庭から支援施設まで、また初学者からベテランまで幅広く、支援に関わる方々のための教材作成や指導ノウハウをお伝えしています。
このブログでは、発達障害のあるお子様をはじめ保護者の方やご家族、支援者の方が笑顔で毎日を過ごせるよう、療育・発達支援のヒントを発信していきます。
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