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本質的な言葉の育ちをサポートする方法

  公開日:2017/10/05
最終更新日:2017/10/10

※この記事は約4分で読めます。

こんにちは。四谷学院の療育通信講座、ブログ担当のnecoです。

 

前回のブログでは、言葉の育ちを考えるための2つの視点をご紹介しました。
その視点とは、「広さ」と「深さ」です。

前回の記事 ⇒ 言葉の育ちを考える2つの視点

 

今回は、「言葉の深さ」を育てるためにどんな働きかけが効果的かを考えてみましょう。

前回の復習

前回のA君の事例はこうでしたね。

ケーススタディ
自閉症スペクトラムの小学校5年生の男の子、A君。
言葉が非常に達者で、難しい言葉も交えながらスラスラと話す。
体格が良く、堂々と話すので、年齢のわりに大人びて見える。
人の感情や言外の意図を汲み取るのが苦手。
近くの席の友人の持ち物(文房具など)をしばしば勝手に使い、何度教師に指導されても、そのつど言い訳をして責任転嫁する。
「言葉巧みに言い逃れをしている」と級友からも白い目で見られ、距離を置かれることが増えてきた。

※特定のお子さんの事例ではなく、複数のお子さんの事例を取り混ぜてわかりやすく再構成しています。

前回のブログでは、A君へのさまざまな働きかけの例をご提案しています。
併せてご覧ください。

 

言葉の深さを育てるための働きかけ

それでは、A君に言葉の「深さ」を育むにはどうすればよいか、具体的に考えてみましょう。

言葉の広さを活かす

A君のように言葉が達者なお子さんは、十分な言葉の「広さ」を持っています。
これは、言葉の深さを育てるために大変有利です。

人は、あることについての知識が全くない状態では、そのことについての情報を受け取ることができません。
たとえば、虹の色といえばわたしたちにとっては7色という認識ですが、世界には虹を2色だと感じる集団がいるそうです。
その人々は色の概念が少ないため、虹という現象を見ても、自分たちが知っている色以外の情報を受け取ることができないのです。

A君はたくさんの知識を持っているため、いわば情報を受け取るための窓口がたくさんあるような状態です。
全く新しいことを覚えるのではなく、すでに持っている知識を深めていく方が、習得がスムーズだと考えられます。
指導では、A君が知っていることと関連づけて働きかけると良いでしょう。

 

体験を増やす

本来、言葉とは、心の動きを表現するものです。
人は、物事を体験することによって心を揺らします。
言葉の「広さ」は、単純な知識として身に付けることができますが、「深さ」は、自分で体験することでしか身に付けられません。
お子さんの心身の状態に合わせて、様々な人に会い、様々な経験を積める機会を積極的に設けましょう。
より複雑な心の動きを体験することが、人生をより大きく、深く、彩り豊かなものにしてくれます。

体験した出来事や、それに伴って感じたことを、どんどん言葉で表現しましょう。
最初は大人が表現してあげ、少しずつ自分で表現できるようにサポートしていきましょう。

 

 

言葉の深さに敬意を

言葉の深さは、すぐには育ちません。
また、どこまで育てば完成というものではありません。

わたしたち自身も、たとえば「寂しい」という言葉について、小学生の頃と大人になった今とでは、ずいぶん異なるイメージを持っていませんか。
秋のうら寂れた夕暮れ、薄汚れた酒瓶が並ぶ場末のバー、廃校の校庭に舞い降りる1羽のカラス・・・
たとえばこんな光景から「寂しさ」を感じ取れる小学生は少ないでしょうが、大人ならば、なんとなく、セピア色の時の流れ、山あり谷ありの人生の積み重なりといったものを感じて、寂しさに似た感情を味わうのではないかと思います。
それが、大人が持つ、言葉の「深さ」です。

言葉の深さは、その人の人生の道のりを表します。
単なるコミュニケーションスキルは練習できますが、人の言葉が持つ深い響きは、人生経験そのものの中から磨かれてくるものだと思います。

今回の例に挙げたA君も、たくさんの語彙を身に付け、言葉を広げてきたという素晴らしい体験を持っています。
言葉を深める働きかけも、彼の言葉の「広さ」に対する敬意からスタートしたいものです。
どのようにして語彙を身に付けたか、どんな言葉を好んでいるか、など、働きかけのヒントも、A君の言葉そのものの中に隠れていることでしょう。

 

幼児であろうと小学生であろうと、人は誰でも、その年まで生きてきた人生の積み重なりを持っています。
その時間の流れに敬意を持って、言葉をサポートしていきたいものですね。

それでは、また。

 

前回の記事はこちら ⇒ 言葉の育ちを考える2つの視点

 

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