悩みや迷いに答えを見つけるために

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こんにちは。
四谷学院の療育通信講座、55レッスンのブログ担当necoです。

この記事は、こちらの記事の続きです。よろしければこちらからお読みください。
心配事で頭がいっぱいになった時

前回は、感情の渦から逃れるためには、「世界の外に立つ」とよい、とお伝えしました。
「世界の外に立つ」とは、どういうことかを書いてみたいと思います。

自分が見ている世界

そもそもわたしたちは、自分の頭の外に出ることはできません。
自分にとっては、いま自分が見ているこの世界が全てですから、誰もが同じ世界を見ていると無意識に思いがちですが、実はそうではないことを改めて確認しておきましょう。

世の中の出来事はすべて「自分がそう受け取っていること」であり、他の人には違う受け取り方がされているかもしれません。

自分の周囲の状況を変えたいと思ったら、まずは自分が変わることが肝要です。

自分より低いところ、高いところ

人は、自分が今いる場所より低いところにあるものは見えますが、自分がいる場所より高いところは見えません。
自分が今立っている場所でも、山の向こうや谷の陰になっているものは当然見えません。

では、いま自分が立っているところを全部見たいと思ったらどうすればよいでしょうか。
それには、最近のテレビ番組などでも多用されている “アレ” が、一つの解決策になります。

ドローンです。
これで上空にのぼって、空から見下ろせばよいのです。

高いところに上って自分を見下ろす

ドローンを使うというのはもちろん比喩ですが、あたかもドローンで空撮するかのように、自分を上から見下ろしてみよう、と考えた時に、一体何をすればよいのでしょうか。

色々な方法が考えられますが、今回ご提案したいのは、

自分の視座を高める

ということです。

視座を高めるためのさまざまな方法の中で、育児中の保護者にも取り組みやすいのは、「志を立てる」ことです。

志を立てるとは

人は、枠組みを与えられると、思考・発想・判断・行動が活性化される傾向があります。

たとえば、一枚の白紙を渡されて、「自由に好きなものを描いてください」と言われた場合と、「花の絵を描いてください」と言われた場合を想像してみてください。

前者は、絵が得意な人を除き、どうすればよいか迷う人が多いです。
後者は、さほど絵に興味がない人でも、比較的スムーズに手が動くことが多いものです。

志を立てることは、白紙を前にした自分自身に「花の絵を描こう」と指示を与えてあげるようなものです。
志を立てることによって、自分の思考・発想・判断・行動に方向性が与えられ、活性化されます。

 


道路標識が役に立つのは、目的地が決まっているから。
どこに行くか決まっていない人にとっては、標識はただのモノ。

では、「志を立てる」ためには、どうすればよいのでしょうか。
「志」とはなかなか大きな言葉ですから、いきなり「私の志は何だろうか」と考えても、パッと思い浮かぶ方は少数派ではないかと思います。
順番に考えを整理し、想いを引き出してみましょう。

具体的な考え方 その1

自分の視座を高めるための「志」は、自分一人のメリットだけを考えていては生まれてきません。

「誰かのために」
「あの人のお役に立つために」
「世界(社会、地域、企業、家庭など)に貢献するために」

このように、大きな目線で、そのために自分が何をするか?を考えることが大切です。

具体的には、以下の順で考えを書き出し、行動してみることをお勧めします。

1.自分がハッピーにしたい人は誰か?
2.その人が喜び、楽しみ、成長でき、人生が充実するのはどんなことか?
3.そのために自分ができることは何か?
(実際にやるかどうか、現実的に実現できそうかどうか、などは置いておいて、思いつくことをひたすら書き出す)
4.その中から今すぐできそうなことを実際にやってみる
5.やってみた結果を踏まえて、もう一度1から順に見直してみる
 

具体的な考え方 その2

3で良いと思ったことを4で実際にやってみると、

「思ったより喜んでもらえなかった」
「自分の狙いとは異なる影響が出た」
「逆効果だった」
「うまくいったが、やっている自分がしんどくて大変」

など、さまざまな結果が見えてくると思います。
その現実を踏まえて、もう一度1~3に戻って考え直してみると、

・自分が本当にハッピーにしたいのはこの人だった
・この人が本当に成長できる方向性は○○ではなく□□だった
・この人のために自分ができることは本当は○○だった

などなど、当初とは異なる思いが湧いてくるでしょう。
こうして、1~5のプロセスを繰り返していくうちに、自分の思いと現実とがすりあわされ、あなたの「志」が見えてきます

志をもとに考えると

たとえばあなたが今、誰かと対立関係にあったり、トラブルを抱えていたり、モヤモヤする感情に捉われていたり、うまくいかないことがあったりしても、1~5を繰り返しながら「志」に立脚して考え直すことで、物事がこれまでとは全く違った見え方になってくるはずです。

今まで見えなかった山の向こう側が、ドローンで空撮したように一望できて、解決策がスッキリ見えてくるでしょう。
少なくとも、方向性や、「まず何をどうすればよいか」の最初の具体的な一歩がつかめるはずです。

また、そもそも今まで問題だと感じていたことが、問題だと映らなくなることも多々あります。
視座が上がると、考え方の土台が変わっていくことが多いからです。

たとえばあなたも、小学校1年生の頃には3桁どうしのかけ算の解法など見当もつかなかったのに、学年があがるにつれていつの間にか苦もなく解答できるようになりませんでしたか?
それと全く同じことです。
自分が今立っている地点は、今の自分には見えていない部分があっても、高いところに立てば、全て見えてくるのです。

志は気の帥なり

孟子に、「志は気の帥なり(こころざしはきのすいなり)」という言葉があります。
志が気≒エネルギーを統帥する、といった意味です。


※画像はWikipediaよりお借りしました。

気≒エネルギーとは、ここでは、行動力・現実に対応する力・精神力・感情などと読み替えていただくとよいでしょう。
志、使命、目的意識を持つことで初めてそれらのエネルギーが方向付けられ、自分のすべき行動が具体的に見えてきます。

 

育児・療育の答えが眠っている場所

育児・療育には、誰にでも当てはまる絶対の正解というものは存在しません。
育児・療育に関連して起こる困った出来事(対人トラブル、お子さんの問題行動、夫婦間の意見の相違、学校や園とのやりとり、社会的な課題etc.・・・)は、その場その場の状況に応じて、そのつど解決策を考えていく必要があります。

この時、よりベストに近い解決策を考えていくための指針が「志」です。

迷いの答えは必ずご自身とご家族の中にあります。
本を読んだり、誰かに尋ねたりしても、どこにも答えは書いてありません。
ご自身とご家族の状況の中にしか、答えはないのです。

志を立て、ほんの少しだけ視点・視野・視座を変えて物事を見つめ直してみる時、あなたは、あなたが今までいた世界の外に立っています。
それだけで、あなたの世界に全く異なる側面が開けてきますよ。

前編に続き、「今まさにここにいる世界」から抜け出し、「世界の外に立つ」ための方法論のうちの一つをご紹介しました。
よろしければご参考になさってみてくださいね。

育児・療育は、ご家庭・園や学校・地域社会など、複数の関係者で支え合うものです。
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