こんにちは、発達障害児支援士の発田です。
今日は、よりよい発達支援を行うためのクイズをお送りします。
保育士さんや小学校の先生など、子どもの成長に関わるお仕事をされている方は、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
動画はこちらをどうぞ!👇
発達支援クイズ!宿題を忘れてしまうA君
小学2年生のA君は、毎日のように宿題を忘れてしまいます。A君にワケを訊くと、「家では思うように集中できない」とのこと。そこで先生は、保護者の方にA君の家での様子を写真に撮ってきてもらいました。こちらがA君のある日の様子です。
ここで問題です。
A君はなぜ集中できないのでしょうか?
「この写真から分かること」を3つ考えてみましょう。
つづいて、第2問!
A君が集中できるようになるためには、どうしたらいいでしょうか?
3つ考えてみましょう。
……いかがでしょうか。答えは導き出せましたか?
といっても、この「クイズ」には唯一の正解があるわけではありません。今からそれぞれの問題について解説をしていきますので、自分の答えと照らし合わせながら「こんな考え方もあるんだな」「こういう支援法もあるんだ」と気づくきっかけにしてもらえると嬉しいです。
姿勢に注目!
では早速、1問目から見ていきましょう。
回答例はこちらです。
- 何がどこにあるか分からない
- 勉強道具以外のモノが学習机の上にある
- そもそもノートを広げられるスペースがない
- 姿勢が崩れている
机の上を整理整頓するのはもちろんですが、意外と見落としがちなのが「姿勢」です。
このイラストのように
座面の奥まで座って
床に足の裏をぴったりとつけて軽く踏みしめ
背中をピンと伸ばし
腰、膝、足首の角度は90度になっている状態
が、正しい姿勢です。
椅子に座った時の姿勢が悪いと、肺が圧迫されてしまい、脳への血流が滞ってしまうため、脳の働きが阻害されてしまうという研究もあるんです。そうした状態では、なかなか勉強に集中することはできませんよね。
環境を整えよう!
続いて、2問目です。原因がいくつか思い当たったら、早速、勉強しやすいように学習環境を整えていきます。回答例はこちらです。
- 椅子の高さを調節したりクッションを置いたりして、姿勢を維持できるようにする
- どこに何をしまうかを細かく決めておく
- 机の上にはその日に取り組む勉強用具以外を置かない
- タブレットはリビングに置いてから宿題を始める
ポイント1:具体的に伝える
ポイントは、A君にやってほしいことを具体的に伝えること。
「どうしてそんなにやる気がないの!」と叱ってもうまくいかないように、散らかっている机の上を指さして「片付けなさい」と言っても、何をどうすればいいのか分からなければ動くことはできません。しかし「算数の教科書はこのBOXに入れようね」「鉛筆はこのペン立てにまとめよう」という具体的な指示であれば、A君もスムーズに動きやすくなります。
ポイント2:視覚的に分かりやすくする
そしてもう1つ大切なのは、「学習机は何をするための場所かを視覚的に分かりやすくする」ということ。
遊び道具が目に入るような環境では、誰でも気が散ってしまうものです。自室の机で宿題をするのであれば、学習に必要なもの以外はリビングに置いておくなど、1つの場所を多目的にしないことで、A君自身で気持ちの切替がしやすくなることが期待できます。
「強制しない」ということは、発達支援において大切な考え方です。強制すると、A君自身どんどん宿題に取り組むのがいやになってしまうからです。整理整頓することや宿題に取り組むことに対して、いかに「取り組みやすそう」「簡単そう」に見せられるかが、支援者の腕の見せ所と言えるでしょう。
まとめ:発達支援クイズを通して
今回の問題では、写真を用いてA君が「学習に集中できない理由」を考えました。
もしも「写真を撮ってほしい」と保護者にお願いしていなかったら
「宿題はきちんとやるべきだと理解していないのでは?」
「どうせ学校から帰ったらすぐゲームしてるんじゃないの?」
なんて、的外れなことを考えていたかもしれませんね。
本人に行動を改めさせるのではなく、学習環境や周りからの言葉のかけ方などを変えていくことを「環境調整」と言います。環境調整の良いところは、本人に無理に努力させなくても、行動の改善が期待できるところです。
繰り返しになりますが、発達支援に唯一の正解はありません。
子どもの数だけ最適な答えがありますから、試行錯誤をしながら、お子さんに合った支援法を見つけていただければと思います。「どんな風に考えるといいんだっけ?」と迷った時は、ぜひこの記事を振り返ってみてくださいね。
それでもなかなかアドバイスが思いつかない、この支援方法でいいのか不安…という方は、私たちと一緒に発達支援について学びましょう!
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このブログは、四谷学院「発達支援チーム」が書いています。
10年以上にわたり、発達障害のある子どもたちとご家庭を支援。さらに、支援者・理解者を増やしていくべく、発達障害児支援士・ライフスキルトレーナー資格など、人材育成にも尽力しています。
支援してきたご家庭は6,500以上。 発達障害児支援士は2,000人を超えました。ご家庭から支援施設まで、また初学者からベテランまで幅広く、支援に関わる方々のための教材作成や指導ノウハウをお伝えしています。
このブログでは、発達障害のあるお子様をはじめ保護者の方やご家族、支援者の方が笑顔で毎日を過ごせるよう、療育・発達支援のヒントを発信していきます。
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