魔法の言葉から気持ちの切り替えを考える

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こんにちは。四谷学院の療育通信講座、ブログ担当のnecoです。

痛いの痛いの飛んでいけ~!

誰もが一度は聞いたことのある魔法の言葉ですね。

大人になった今では、何の意味もない子供だましのように聞こえるこの言葉。
ところが、子供たちにとっては、文字通り魔法のような力を持っています。

この魔法を丁寧に読み解くと、子供たちの気持ちの切り替えをサポートする秘密が隠れています。
人生の酸いも甘いもすっかり噛み分けてしまった大人のあなたも、もう一度、この言葉の魔法を考えてみませんか。

魔法の言葉を分解すると

まず、「痛いの痛いの飛んでいけ~!」が使われ、機能する流れを、丁寧に分解してみましょう。

1.きっかけ
2.伝達
3.共感
4.儀式
5.回復

魔法の言葉を分解すると、以上の5つの流れに分けることができます。
一つひとつ見ていきましょう。

きっかけ

魔法の言葉が使われるには、何かのきっかけが必要です。
「痛いの」を飛ばすわけですから、痛みを感じる何かが起こらないと、魔法の言葉が出現しないのは当然ですね。
転んだ、頭をぶつけた、手を切ったなど、さまざまなきっかけが考えられます。

伝達

「痛いの痛いの飛んでいけ」は、大人から子供に投げかけられる言葉です。
つまり、「痛いの」を感じている子供の状態に、大人が気付かなくてはなりません。
泣く、言葉で伝える、身振りや仕草で示すなど、何らかの方法で子供が自分の痛みや感情を発信し、大人がそれを受け取るのが「伝達」のプロセスです。

共感

子供からの発信を受け取った大人は、
「どうしたの?」
「痛かったのね」
「よしよし、大丈夫だよ」
など、子供に寄り添い、なぐさめる声かけをします。

転んでちょっと擦りむいたくらいの傷ならば、特に治療をするまでもなく、洗ったり拭いたり、バンソウコウを貼ったりするくらいで済ませますよね。
(骨折するような大怪我は別として)怪我そのものに大した治療は必要ない、と経験的に知っている大人は、治療より、まずは子供の心のケアをしようと試みます。
子供にとって今必要なのは治療ではなく寄り添うことだと直感的にわかっているからです。
これが「共感」のプロセスです。

儀式

ここで「痛いの痛いの飛んでいけ~!」という言葉が登場します。
リズミカルなメロディーを伴う声かけ、「痛いの痛いの」で傷のあたりに手を触れてから「飛んでいけ」で手を遠くへ振る仕草など、毎回同じ音や動きを繰り返すことが儀式として必要です。

儀式については、別の記事で改めて述べます。

回復

大人に魔法の言葉をかけてもらった子供は、傷そのものが治ったわけではないにも関わらず、涙をのみこんで笑顔で遊びに戻っていきます。
「痛いの」に悩まされ、捉われていた子供の気持ちが、スッキリと切り替えられた瞬間です。

「痛いの痛いの飛んでいけ~!」
たったこれだけの言葉の中に、どんな仕組み・機能がおり込まれていたか、おわかりいただけたでしょうか。(^ ^)
次回のブログでは、この魔法の言葉を、発達障害の子供たちの気持ちの切り替えにつなげる方法を考えてみましょう。

それでは、また!

第1回の記事 ⇒ 今ご覧のこの記事です
第2回の記事 ⇒ 魔法の言葉を気持ちの切り替え支援に活かす

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