発達障害かも?グレーゾーンの子どもの特徴と接し方のポイント

※この記事は約7分で読めます。

こんにちは、四谷学院の発田です。

クラスの中に、よくトラブルを起こす子や、特別なサポートが必要かも、と思われる子はいませんか?

はっきりと診断があるわけではないけれど、ちょっと気になる行動がみられる、というように、発達障害の傾向がある状態を「発達障害グレーゾーン」と呼ぶことがあります。

このような子どもやその親御さんの中には、保育園や幼稚園、学校などでの生活がうまくいかずに悩んでいるケースも少なくありません。

そこで今回の記事では、グレーゾーンとよばれる子どもによく見られる特徴や、サポートのポイントについて解説します。

動画はこちらをどうぞ!👇

なお、「発達障害グレーゾーン」というのは正式な名称ではありません。本記事では、発達障害の傾向はみられるものの確定診断のない方を「グレーゾーン」と呼びます。

発達障害とは?

発達障害は大きく
「自閉スペクトラム症(ASD)」
「注意欠如多動性障害(ADHD)」
「学習障害(限局性学習症)(LD)」

の3つに分けられます。

ここでは、3つの発達障害の特性について簡潔に説明します。

自閉スペクトラム症(ASD)


自閉スペクトラム症とは、言葉の発達や物事の捉え方、対人関係の築き方に特徴のある障害です。

・強いこだわりをもつ
・コミュニケーションがうまくとれない
・集団生活になじめない
といった障害特性がみられることがあります。

詳しくは以下の記事でもご紹介しています。
https://yotsuyagakuin-ryoiku.com/blogs/asd/

ADHD(注意欠如多動性障害)


続いて、ADHDは、不注意や多動性、衝動性といった特性の見られる障害です。

・忘れ物やケアレスミスが多い
・落ち着きがない、立ち歩きが多い
・順番が待てない
・相手が話終わる前に話し出してしまう
といった行動が目立ちます。

詳しくは以下の記事でもご紹介しています。

学習障害(LD)


最後に、学習障害についてです。

学習障害は、知的な遅れを伴わないにもかかわらず、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」のうちいずれか、もしくは複数の分野に苦手さが見られる障害です。なかでも「読み書き」に極端な困難さがある状態を「ディスレクシア」と呼びます。

ディスレクシアは以下の動画で詳しく解説しています。

発達障害の診断基準は?

発達障害の診断基準は「DSM(『精神疾患の診断・統計マニュアル』)」とよばれる、アメリカで出版された精神疾患の国際的な診断基準に基づきます。

発達障害の診断ができるのは医師のみであり、主に小児科、精神科、児童精神科、発達外来、大学病院、総合病院などの医療機関で診断を受けられます。

また、実際の診察では、子どもの生育歴や日常生活での具体的なトラブルについて保護者から話を聞く「問診」のほか、実際の子どもの様子を医師が観察する「行動観察」が行われます。

さらに、「発達検査」とよばれる検査も実施されます。発達検査とは、子どもの心身の発達状態やその程度を推定し、診断する検査です。

誤解されることが多いのですが、発達検査のみで発達障害の診断がくだされることはありません。障害の有無は、ご紹介した「問診」や「行動観察」など複数のアセスメントを通して総合的に判断されるものになります。

グレーゾーンとは?子どもが抱える辛さとは?

「グレーゾーン」とは、発達障害の特性のうちいくつかは当てはまるけれど、医師による確定診断はくだされていない状態のことを言います。

明確な定義があるわけではないため、特定の子どもを「グレーゾーン」と決めつけてしまうことには注意が必要ですが、一般的に「グレーゾーン」とよばれる子どもは普通学級に在籍していることが多く、一見するとほかの子どもと変わらないため、サポートを必要としていることに指導者自身が気づけていないこともあります。

そのため、思いがけないところで子どもが躓いている様子を見て、「怠けている」「やる気がない」と思ってしまう指導者の方もいらっしゃるかもしれません。

しかし実際は、うまくやりたいのにできない自分に、子ども自身が困っている、というケースもあるのです。

こうした誤解から叱責されることの多い子どもは、自信を失くしてしまうだけでなく、場合によっては鬱や不登校などの二次障害に至る可能性もでてきます。

このように、 「周囲からの理解を得られにくいこと」 は、グレーゾーンの子どもの抱える生きづらさの大きな要因であると言えるでしょう。

支援者ができること

発達障害グレーゾーンの子どもに対して、支援者がしてあげられることは何でしょうか?

大切なのは、診断の有無にかかわらず、その子の特性に合わせた接し方を考えることです。まずは大前提として、子どものできないこと・苦手なことには理由があると考えましょう。

「授業中に集中力がなくなる」のは、やる気がないからではなく、何をすればいいかが分からないからかもしれません。
「何度言っても忘れる」のは、怠けているからではなく、口頭で言われたことを覚えておくのが難しいからかもしれません。

このように、「子どもの行動には理由がある」と考えるだけで、子どもへの接し方が変わってくると思いませんか?

その上で、指導者は「できないやり方」をひたすら繰り返すのではなく、「できるやり方」で子どもに指導することが大切になります。

「できるやり方」で教えるとは?

たとえば、係の仕事をなかなか覚えられない子に、手順を暗唱できるまで繰り返し言わせるのは、本人にとって大きな苦痛でしかありません。そこで、たとえば<何をどの手順でするか>をチェック表にして貼り出すなど、やるべきことを可視化することで、抜け漏れなく次の行動に移りやすくなるでしょう。

ほかにも、授業中ぼーっとしてしまう子がいる場合は、授業の最初に「今日やる3つのこと」を発表し、黒板に書いておくと、「いま何をする時間か」が明確になり、落ち着いて課題に取り組みやすくなることが期待されます。

子どもは「できるやり方」で成功体験を積み重ねていく中で、「自分はやればできるんだ」と自信をもてるようになっていくものです。
ぜひ、お子さんにとって負担のない「できるやり方」を探してみてくださいね。

また、今回ご紹介した支援は、グレーゾーンの子どもだけでなく、ほかのどの子どもにとっても効果的であることが分かると思います。このように、 小さな工夫、しかし明確な目的を持った適切な支援をすることは、クラス全体にとって有意義な教育を実現することに繋がっていくと言えるでしょう。 

発達障害児支援士資格認定講座とは?

四谷学院の発達障害児支援士資格認定講座では、こうした「集団活動における発達支援」を学ぶことができる通信講座です。この講座では、具体的な事例が豊富に紹介されているため、すぐに現場で使える対応方法を学ぶことができます。

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