こんにちは、55レッスンの生田です。
いよいよ夏の到来を迎え、青空のまぶしい季節になりました。
夏休みはいかがお過ごしですか?
せっかくの夏休み、お子さんの「できること」を1つでも増やしたいですよね。
今回は、 発達障害のあるお子さんをもつ保護者の方が、ご家庭でできる支援 についてご紹介しています。
お子さまが心身ともに健やかな夏休みを過ごせるように、ぜひ本記事を参考になさってくださいね。
目次
指示どおりに動いてもらうには
前回の記事では、夏休みのスケジュールの立て方についてご紹介しました。
しかし、実際に立てたスケジュールをこなそうとするなかで、「顔を洗うのは平気けど着替えはいやがる」「服は脱ぐけどお風呂場には入らない」など、お子さんにとっての得意・不得意や好き・嫌いがでてくることもあるかと思います。
そんな時に、「早くしなさい!」「なんでできないの!」と叱ってしまうと、子どもの「苦手」や「嫌い」が余計に促進されることになりかねません。
大切なのは「なぜ、やろうとしないのか?」の理由を明確にすることです。
要求する内容のレベルは適切?
「色々と試してみたけど、どうしてもやってくれません」
そのような場合、要求している内容が、お子さんにとってハードルが高すぎるケースがあります。
たとえば「着替えなさい!」と言っても一向に動かない時、分かっていてやらないのではなく、着替える順番や着替え方が分からなくて困っているのかもしれません。
そこで、「まずはそでに腕を通そうね」「次はボタンをとめよう」など、お子さんが無理なくできる段階まで課題を細分化してみましょう。
そうすることで、お子さんの躓くポイントが明確になり、支援の手立てを立てやすくなりますよ。
指示の内容は理解できている?
あるいは、そもそも指示の内容を理解できていないということもあります。理解できていないことを指示されても、当然ながらお子さんは動けませんよね。
発達障害のあるお子さんは、耳で聞くよりも目で見て理解する方が得意なことが多いと言われています。
そこで大切なのが、視覚支援。
たとえば、片づけが苦手なお子さんであれば、片付ける場所にものの写真や名前を貼っておくと、どこに何をしまうのかが分かりやすくなります。
指示をする時は、「何をどうすればいいか」がひと目でわかるような工夫を心がけましょう。
こだわりが強い場合は?
発達障害に共通する特性の1つとして、こだわりの強さが挙げられます。
特定のものや行動への執着が強く、なかなか指示通りに動いてくれない、というような場面もあるかもしれませんね。
注意しなければならないのは、無理にやめさせようとすると、かえって「こだわり」を強めてしまう可能性があるということです。
ですから、「どうしても玄関で歯磨きをしたい」といった人に迷惑をかけるものでないことや、「お気に入りの服を毎日着たい」というような子どもの感性や好みにかかわることは、その気持ちに寄り添いつつ、時には大人が妥協、交渉できるといいでしょう。
大切なのは、子どもの意思を尊重しながら、生活に支障をきたさないように調整していくことだと言えます。
ソーシャルスキルを磨くには
前回の記事でもご紹介したように、勉強や運動、お手伝いなど、将来への自立に向けたスキルは、なるべく毎日取り入れたいものです。
一方で、社会の一員として生きていく上で欠かせないのが、ソーシャルスキル。
学校のない夏休みは、どうしても家族以外の人と過ごす時間が少なくなりがちです。
一人で過ごす時間が長くなればなるほど、新学期に久しぶりに会うお友達とのかかわり方に戸惑ってしまう子もいるかもしれません。
そうならないためにも、夏休みの期間に、ぜひご家庭でソーシャルスキルトレーニングを実践してみてほしいと思います。
このトレーニングでは、対人関係をスムーズに築くコツを体系立てて学ぶことができると同時に、お子さんの自己肯定感や自尊心を育むこともできます。
ソーシャルスキルトレーニングの方法
お手本を見せる
「お友だちを遊びに誘う」など具体的な場面を想定します。
そして保護者が自ら、「もしもし。ぼくはよつやごごろうです。たろうくんいますか?」というように、お友だちへの電話のかけ方や声のかけ方のお手本を見せます。
お手本のあとは、2つの声かけのパターンを用意して、どちらが正解かを選んでもらいましょう。
「今からたろう君の家、いってもいい?」
正解でない方は、一緒にどこが良くないのかを考えて、親子で話し合いができるといいですね。
ロールプレイで練習する
お手本を見せたあとは、お子さんにロールプレイで練習してもらいます。
練習のあとは必ず「よかったところ」のフィードバックを行いましょう。
改善した方がいいところは「相手はどう思うかな?」と立場を入れ替えて考えてもらいます。
実践する
ここまできたら、いよいよ実践です。
注意しておきたいのは、このトレーニングの目的は「遊びの誘いを受けてもらえたかどうか」ではなく、「相手のことを思いやった行動ができたかどうか」ということです。
事前に「たろう君に『遊べない』って言われたら、残念だけどまた誘おうね」とお子さんに伝えておくことで、どのような結果でも受け入れやすくなります。
新学期が始まる前にすることは?
夏休みの間にご家庭で習慣化できたこと、身についたこと、一方でうまくいかなかったことは、学校の先生とも共有しておきましょう。
新学期、先生に「一人でこんなことができるようになったんだね」とほめられることで、子どもは自信をもって新学期のスタートを切れますし、先生自身も今後のお子さんの課題について見通しを立てることができますよね。
「新学期、先生やお友だちと会うのが楽しみ」とお子さんに思ってもらえるように、今回ご紹介した取り組みを、ぜひ参考になさってくださいね。
発達障害児ライフスキルトレーナー資格認定講座では、 ご家庭でできるライフスキルトレーニングについて体系的に学ぶことができます。 特に、夏休みはライフスキルトレーニングを始めるのにうってつけのタイミングですよ。
このブログは、四谷学院「発達支援チーム」が書いています。
10年以上にわたり、発達障害のある子どもたちとご家庭を支援。さらに、支援者・理解者を増やしていくべく、発達障害児支援士・ライフスキルトレーナー資格など、人材育成にも尽力しています。
支援してきたご家庭は6,500以上。 発達障害児支援士は2,000人を超えました。ご家庭から支援施設まで、また初学者からベテランまで幅広く、支援に関わる方々のための教材作成や指導ノウハウをお伝えしています。
このブログでは、発達障害のあるお子様をはじめ保護者の方やご家族、支援者の方が笑顔で毎日を過ごせるよう、療育・発達支援のヒントを発信していきます。
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