発達障害のある子どもと過ごす夏休み。ラクに、楽しく過ごすには?

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こんにちは、四谷学院の生田です。

夏の陽ざしがギラギラと照りつける今日この頃。
そろそろ夏休みに入っているご家庭も多いのではないでしょうか。

この時期、保護者の方からは、「1日中子どもと一緒に居ると、気の休まるヒマがなくて疲れてしまう……」といった声が多く寄せられます。
園や学校がお休みだと、お子さまの困った行動に対応する場面も増えて、ストレスフルになるのも無理はありません。

なるべくラクに、そして楽しく、お子さまと一緒に長期休暇を過ごすコツの1つは、事前に計画を立てることというのをご存知ですか?

今回は、上手なスケジュールの立て方や、その実践のコツについてご紹介しています。
お子さまにとっても保護者にとっても、「楽しい」思い出がたくさんできる夏休みにしましょう!

スケジュール表のつくり方

発達障害のあるお子さんのなかには、こだわりが強く、一度身についた習慣をなかなか変えられない子もいます。
理想は、朝起きてから学校に行くまでや、学校から帰って就寝するまでの既存のルーティンを、なるべく崩さずに夏休みを過ごすこと。
既存の習慣を維持することで、環境の変化に対するストレスを最小限に留められ、新学期をスムーズにスタートしやすくなります。

この時に、スケジュール表を活用できるといいでしょう。
ひと目で「いつ・何をするか」が分かるスケジュール表をつくることで、お子さま自身で見通しが立てられ、規則正しい生活を送りやすくなりますよ。

スケジュールに必須項目はある?


スケジュール表をつくるときは、次の4つの項目を取り入れることを意識しましょう。

  • 勉強
  • 運動
  • 遊び
  • お手伝い

勉強は学力、運動は身体能力、遊びは知的好奇心、お手伝いはライフスキルなど、それぞれお子さまの将来のために必要なスキルにつながりますから、バランスよく取り入れられるといいですね。

「やりたくないこと」はどうする?

「課題に取り組むのをいやがる」
「食事の準備をせずにいつまでもテレビを観ている」
など、お子さまにとって気がのらない予定もあるかもしれません。

子どもが「やりたくない」と思うことを無理強いすると、勉強やお手伝いに対して、ますます苦手意識や嫌悪感を募らせてしまいかねません。

……とは言っても、学校から宿題は出るので、やらせないわけにはいかないし、お手伝いもできるようになってほしい……

保護者の方からはそんな声も聞こえてきます。
その気持ち、よく分かります。

それでもせっかくやるのであれば、嫌々やるのではなく、楽しくできるにこしたことはないですよね。そこで重要なのが、環境調整です。

ごほうびをつくる

「苦手なこと、いやなことに取り組んだら<いいこと>があった!」という経験を通して、前向きに活動に取り組めるようになることが期待されます。

  • 課題ができたらおやつの時間にする
  • 運動を遊びの一環として取り入れる
  • お手伝いをしたらシールを渡す
  • →目標数に届いたら好きなお菓子と交換する

このように、お子さまに合った環境調整ができるといいでしょう。

それでもうまくいかない時には、何か思わぬところに理由が隠れているのかもしれません。次回の記事の「指示通りに動いてもらうには?」の項目をご覧ください。

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当然ながら、スケジュールは「ただやることを決めて終わり」というわけではありません。大変に思えるかもしれませんが、こうした事前準備が毎日をラクに、楽しく過ごすための土台になりますから、お子さまと相談しながら決められるといいですね。

活動を切り替えるコツ


「スケジュール表をつくったはいいけれど、実際に活動を始めてみると、遊びに熱中してしまって、なかなか次の活動に切り替えられない……」

といったご相談もよくいただきます。
楽しいことを切り上げるのは、大人でも名残惜しいものですよね。
子どもであればなおさらです。

では、どうすればスムーズに活動を切り替えることができるでしょうか?

視覚支援をする

まだ時計が読めなかったり、時間感覚が培われていないお子さんには、時間を意識しやすくなる工夫を試みましょう。
発達障害のあるお子さんの場合、耳で聞くよりも目で見て理解する方が得意な子が多いですから、次のような支援法が考えられます。

  • 「時計の長い針が数字の6にきたら、おしまい」と見通しを伝える
  • 時計がまだ読めない場合は、時計の数字部分にシールを貼り、「りんごのところに来たら、おしまい」などと伝える
  • 活動ごとに1枚の絵カードをつくり、活動が終わったらそのカードを一緒にはがす

このように「目で見て分かる工夫」をすることで、理解度がぐんと高まるお子さんも多いですよ。

見通しを立てる重要性


一方で、「理解はできているけれど納得しない」ということもあるかもしれません。遊ぶ時間を約束したのに、やめさせようとすると泣いて駄々をこねられる……なんて経験のある方も多いのではないでしょうか?

「子育てって大変だな……」
と感じる瞬間って、まさにこういう時ですよね。

ただ、そうした時でも、事前に見通しを伝えておくのとそうでないのとでは、気持ちの切り替えやすさに差がでているかもしれません。
「突然、遊びを切り上げられて」駄々をこねるのと、「3時までの約束だと分かっていて」駄々をこねるのでは、後者の方がきっと納得しやすいですよね。

毎回の活動で見通しを伝えてルール化することで、少しずつでも上手に気持ちを切り替えられるようになることが期待されますよ。

予定どおりに進まなかった時は

さて、お子さまと一緒にスケジュール表をつくり、活動をスムーズに進行できるように環境を整えることまでが、事前にできる準備です。
でも、いざ夏休みが始まると、その日の体調や天気、突発的な予定などで、スケジュール通りにいかないこともでてくるかと思います。
そんな時には、保護者もお子さまもこだわりすぎないことが大切です。

「まぁいっか」の練習

発達障害のあるお子さんは、物事を白黒思考で考えやすいと言われています。
予定どおりにスケジュールをこなせなかった時に、「もうだめだ……」と落ち込んでしまう子もいるかもしれません。

思い通りにならなかった時に、「まぁいっか」で次に進めることも、お子さまの将来につながる重要なスキルです。

もしもお子さまが落ち込んでいたら、
「まだ夜ごはんまで2時間あるよ」
「今から何ができたらうれしい?」
など、ぜひ“これから”に目を向けた声かけをして、気持ちを切り替える手助けをしてあげてほしいと思います。

うまくいかない日は誰にでもある

それでもなかなか気持ちを切り替えられない時は、保護者の方も、「今日は気持ちの切り替える練習をする1日にしよう」と割り切ることも大切です。
この時、必要以上に声をかけたり、叱ったりせず、本人が落ち着けるまで待つことを心がけましょう。

もしも、思ったよりも早く気持ちを切り替えられたら「ラッキー」くらいに思って、「えらいね!」とお子さんをたくさんほめてあげてくださいね。
続けていると、だんだんと気持ちを切り替える時間が短くなったり、急な予定変更に対応できる力が少しずつ身についたりすることも多いものです。

お子さんなりにがんばっている姿を認めて、保護者も元々のスケジュールにこだわりすぎず、「今日は自分も家でできることをしよう」など、別の方法を模索しながら1日を充実させてほしいと思います。

まとめ:発達障害のある子どもと過ごすおうち時間 ~夏休みのスケジュールの立て方~

ここまで、夏休みをなるべくラクに、そして楽しく過ごすためのスケジュールの立て方と、その実践法についてご紹介しました。
長期休暇は、お子さまの成長を間近で感じられるチャンスでもあります。

「うまくいかないこともあったけど、今年の夏休みはなんだか充実していたかも」

親子ともに、そんな風に思える夏休みを送れることを願っています。

四谷学院の「発達障害児ライフスキルトレーナー資格認定講座」は、発達障害のあるお子さまをもつ保護者の方が対象です。
発達に関する知識やライフスキルの指導法を学ぶことで、「育児のストレスや負担が減った」という声もよく耳にします。

ご家庭で過ごす時間の長い夏休み。
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