聞いてみました!発達障害の診断はどうやって出る?【専門家インタビュー】

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こんにちは、55レッスンの生田です。
今回は、専修大学の長田洋和教授への特別インタビューをお送りします。

長田先生は、発達障害を持つ子どもやその親の精神保健について長年研究を進めていらっしゃいます。
そんな長田先生に、発達障害のある子どもを持つ親として知っておくべきこととして「発達障害の診断」について伺いました。

シリーズ【専門家インタビュー】
▼専修大学長田洋和教授 特別インタビュー第1弾「ペアレントトレーニングって何?」

▼専修大学長田洋和教授 特別インタビュー第3弾「メンタルヘルスリテラシーとは?」

診断基準DSM-5とは?

医療の現場において、発達障害などの診断は「DSM(神疾患の分類と診断の手引)」というアメリカの診断基準や、「ICD(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)」という世界保健機関(WHO)が作成した基準などに基づいて行われています。

アメリカの診断基準であるDSMは2013年に改定され、「DSM-Ⅳ」から「DSM-5」になりました。
その際に、「発達障害」という診断名については、「Developmental Disorder」から「Neurodevelopmental Disorder」となりました。
「neuro(神経)」が付いたことで、日本語訳では「神経発達症」となりました。
発達障害という診断名が改名されただけで、中身は今までと変わりません。

なお、厚労省が定める発達障害の定義には、知的障害が含まれていません。
厚労省の定める障害は、身体障害、知的障害、精神障害の3つに分かれます。これは、ICD-10という世界保健機関(WHO)が作成した基準に基づいています。
一方、DSM-5では、神経発達症の中に知的障害を含みます。

発達障害の診断名は?

[speech_bubble type=”ln” subtype=”L1″ icon=”1.jpg” name=”四谷学院”] 厚労省が定める発達障害は、なぜ知的障害と発達障害が分けられているのでしょうか?[/speech_bubble] [speech_bubble type=”ln” subtype=”R1″ icon=”2.jpg” name=”長田先生”] 知的障害は知的機能と適応機能の両方に障害がある状態にあります。
知的機能を測るものとして知能指数(IQ)がありますが、IQは急激に変化することはまずないため、その人を特徴づけるものと言えます。
生涯にわたって大きく変わることがないことから、知的障害はほかの障害と区別されていました。[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”ln” subtype=”L1″ icon=”1.jpg” name=”四谷学院”] なるほど、生涯にわたる変化の有無なのですね。[/speech_bubble] [speech_bubble type=”ln” subtype=”R1″ icon=”2.jpg” name=”長田先生”] 一方で、精神障害や発達障害は、症状に変化・起伏があります。
たとえば、今までうつ病でなかった人がうつ病になってしまっても、抗うつ薬や認知行動療法などで改善することが可能です。
また、IQは劇的に変わらなくても、療育などにより適応機能は伸ばすことができます。療育により改善できるという点では知的障害も発達障害と同じであるため、DSM-5では知的障害は神経発達症に含まれているのです。[/speech_bubble] [speech_bubble type=”ln” subtype=”L1″ icon=”1.jpg” name=”四谷学院”]新しいDSM-5では、「アスペルガー症候群(アスペルガー障害)」という診断名がなくなったと聞きました。[/speech_bubble] [speech_bubble type=”ln” subtype=”R1″ icon=”2.jpg” name=”長田先生”] アスペルガーを自閉症と同じ括りにするという案には、当初日本でも海外でも批判的な意見が多く集まっていました。
元々、広汎姓発達障害の中に、自閉性障害とアスペルガー障害が入っているという状態ではありました。ただ、アスペルガーは言葉の遅れや知的な遅れがないため、自閉症とは区別されていたのです。
とはいえ、自閉スペクトラム症のこだわりが強い、対人関係を築くことが難しいといった特徴は共通していることから、自閉症とアスペルガー症候群(アスペルガー障害)を、同じ障害として捉えるようになったという経緯です。[/speech_bubble] [speech_bubble type=”ln” subtype=”L1″ icon=”1.jpg” name=”四谷学院”] 発達障害についての研究の先進国であるアメリカでは、自閉スペクトラム症と診断がつくと、保険で療育を受けることができると聞きましたが?[/speech_bubble] [speech_bubble type=”ln” subtype=”R1″ icon=”2.jpg” name=”長田先生”]そうですね、日本は、国民皆保険制度がとられていますが、アメリカはそうではありません。
自閉スペクトラム症かアスペルガーかで保険適用になるか否かが決まるので、なんと診断されるかは重要になります。今までならアスペルガーと診断されていた人たちが自閉スペクトラム症と診断されることで、保険適用になると考えると当事者の方たちのメリットは大きいですよね。[/speech_bubble] [speech_bubble type=”ln” subtype=”L1″ icon=”1.jpg” name=”四谷学院”] ただ・・・一括りにするにすることで、診断名だけでは特性が把握しづらくなってしまうのでは?[/speech_bubble] [speech_bubble type=”ln” subtype=”R1″ icon=”2.jpg” name=”長田先生”]その通りです。そこで、自閉スペクトラム症は、診断の際に重症度をレベル1~3の3段階でつけることになっています。「社会性・対人関係」、「こだわり」の2つ観点について、重症度を判定するんです。
たとえば、「社会性・対人関係」はレベル1、「こだわり」はレベル3と診断された子であれば、社会性は高い一方でこだわりが強いという特性が見えてきます。このように、診断内容から特性を把握して、適切な支援につなげるということが可能になっています。[/speech_bubble] [speech_bubble type=”ln” subtype=”L1″ icon=”1.jpg” name=”四谷学院”]どこを重点的に伸ばせばいいか、わかりやすく、診断は適切な支援を行うための手がかりになりますね。[/speech_bubble]

シリーズ【専門家インタビュー】
▼専修大学長田洋和教授 特別インタビュー第1弾「ペアレントトレーニングって何?」

▼専修大学長田洋和教授 特別インタビュー第3弾「メンタルヘルスリテラシーとは?」

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