こんにちは、四谷学院の発達障害児支援士、発田です。
発達障害の子どもは睡眠の問題が出やすい、とされています。 その原因はまだよくわかっていませんが、睡眠と覚醒を調節する中枢神経系がうまく機能していないことが原因の1つであるとも言われています。
今回は、子どもの睡眠障害の中から 夜驚症について取り上げます。
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夜驚症とは
夜驚症(やきょうしょう)は、文字通り、夜寝ている時に驚いたように叫ぶ障害です。睡眠時随伴症の一種で、医学用語では「睡眠驚愕障害」と言われます。
3歳から10歳くらいの子どもによくみられ、基本的には、症状は成長とともに自然と治まります。睡眠中に自分の叫び声で起きることがほとんどで、その際、心拍数や呼吸数が増加し、激しく発汗していることも多くあります。
夜驚症と夜泣きの違い
夜泣きとは、 生後3ヶ月から1歳半くらいまでに見られる症状です。考えらえる原因としては、オムツが濡れている、発熱や鼻づまり、昼間の強い刺激で興奮が収まっていない、などが挙げられます。
ただし、まだ睡眠が不安定な時期に起こるものでもあるため、はっきりとした原因があるとも限りません。子どもが夜泣きをしたときには、抱っこしたり優しくさすったり、子守唄を歌ったりするなど、大人がスキンシップを取ることで落ち着くことも多く、そのまま眠ってしまうこともあります。
一方、夜驚症は、 先述のように3歳から10歳くらいの子どもによく見られ、起きた後には錯乱状態でパニックを起こしていることもあります。そのため、目覚めた後も驚きのあまり反応が鈍いことが多く、子どもに落ち着かせようとやさしく声をかけたり身体をさすったりしても、あまり効果は見えません。また、その時見ていた夢の内容は、ほとんど覚えていないことが多いです。
睡眠障害と考えられる子どもへのかかわり方
睡眠に関する問題が見つかった際に、親としてできることは、子どもの様子をよく観察することです。その様子をかかりつけ医に伝えて、障害や病気はないか、本人が悩んでいないか、といった点に注意しながら、判断を仰げるといいでしょう。ほかに治療を必要とする精神保健上の問題がある際には、その治療を優先しつつ、それぞれに合わせた対応をすることになります。
睡眠障害のほとんどは、精神保健的な問題にまでは発展しないことが多いと考えられていますが、うつ症状や夜尿症に伴う睡眠の障害である場合には、情緒的問題が関係している可能性もあります。
子どもがどう感じているか?
睡眠が不十分であると、心身の成長や日中の活動にも影響が出てきます。日常生活に支障が出ている場合は、状況に応じて精神科医に相談するなど、苦痛を緩和するような対処を行う必要があります。
大切なのは、「子どもの様子をよく確認する」ことです。どのような時に起きやすいのか、どのくらいで収まったかなど、身近な大人でなければ分からないことがあるので、それらをしっかり把握したうえで医師に相談できるといいでしょう。
また、「愛情不足の子どもが夜驚症になりやすい、夜泣きをしやすい」などということを言う人もいます。「親の育て方が悪い」と言われて自分を責めてしまう親御さんもいらっしゃいますが、「親のせいで夜驚症になる」とは言えません。
夜驚症は、脳機能の問題など、様々な原因が重なって発症する睡眠障害です。そのため、もしも症状がみられた場合は、落ち着いて子どもを見守りながら、適切な対応を取っていただければと思います。

このブログは、四谷学院「発達支援チーム」が書いています。
10年以上にわたり、発達障害のある子どもたちとご家庭を支援。さらに、支援者・理解者を増やしていくべく、発達障害児支援士・ライフスキルトレーナー資格など、人材育成にも尽力しています。
支援してきたご家庭は6,500以上。 発達障害児支援士は2,000人を超えました。ご家庭から支援施設まで、また初学者からベテランまで幅広く、支援に関わる方々のための教材作成や指導ノウハウをお伝えしています。
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