こんにちは、55レッスンの生田です。
今回は、専修大学の長田洋和教授 特別インタビューをお送りします。
長田先生は、発達障害を持つ子どもやその親の精神保健について長年研究を進めていらっしゃいます。
そんな長田先生に、発達障害のある子どもを持つ親として知っておくべきことを伺いました。
第1弾では、ペアレントトレーニングについて、教えていただきました。
シリーズ 【専門家インタビュー】
▼専修大学長田洋和教授 特別インタビュー第2弾「発達障害の診断はどうやって出る?」
https://yotsuyagakuin-ryoiku.com/blogs/shindan-mei2/
▼専修大学長田洋和教授 特別インタビュー第3弾「メンタルヘルスリテラシーとは?」
https://yotsuyagakuin-ryoiku.com/blogs/literacy-toha3/
ペアレントトレーニングとは
ペアレントトレーニングとは、発達障害のある子どもを持つ保護者の方を対象とした心理教育です。
略して「ペアトレ」と呼ばれることもあります。
ペアトレの目的は、障害について正しく理解し、誤解を解消するといったことです。
また、専門家が行う療育的指導を家庭でも行えるようにするというのも、もう一つの目的です。
以前は、「親業訓練」と直訳されていました。
この頃と比べると、今行われているペアレントトレーニングは、変わってきています。
「子育て支援のことでしょ?」と思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、それともまた異なります。
現在の「ペアレントトレーニング」とは、一体どんなもの?
[speech_bubble type=”ln” subtype=”L1″ icon=”1.jpg” name=”四谷学院”] ペアレントトレーニングの対象になるのは、発達障害の中でも「ADHD」の子を持つ保護者だけなのでしょうか?[/speech_bubble]※ADHDとは?
【参考】
https://yotsuyagakuin-ryoiku.com/blogs/adhd-tokucho/
元々ペアレントトレーニングは、1999年に始まった厚生労働省の研究で開発されました。その時の対象がたまたま当時一番研究が進んでいたADHDだったんです。
このプログラムは、現国立精神・神経医療研究センターが開発したもので、精研方式と呼ばれています。[/speech_bubble] [speech_bubble type=”ln” subtype=”L1″ icon=”1.jpg” name=”四谷学院”] そうだったんですか![/speech_bubble] [speech_bubble type=”ln” subtype=”R1″ icon=”2.jpg” name=”長田先生”] 精研方式のペアレントトレーニングは、アメリカで開発された2つのプログラムを元に作られたのですが、そのうちの一方のプログラムの開発に関わっていた中心的人物がバークレーという著名なADHDの研究者だったのです。その、その影響で、精研方式のペアレントトレーニングはADHDが対象となっているんです。[/speech_bubble] [speech_bubble type=”ln” subtype=”L1″ icon=”1.jpg” name=”四谷学院”] 精研方式以外のペアレントトレーニングもあるのですか?[/speech_bubble] [speech_bubble type=”ln” subtype=”R1″ icon=”2.jpg” name=”長田先生”]日本で知的障害や重度の自閉症の子どもを持つ保護者に対して行われていた「親訓練」を基に生まれたのが、肥前方式のペアレントトレーニングです。佐賀県にある現国立病院機構肥前精神医療センターが作成したため、そのように呼ばれています。[/speech_bubble] [speech_bubble type=”ln” subtype=”L1″ icon=”1.jpg” name=”四谷学院”] 2つペアレントトレーニングの違いはどんなところでしょうか?[/speech_bubble] [speech_bubble type=”ln” subtype=”R1″ icon=”2.jpg” name=”長田先生”]行動療法をベースにしているという点ではどちらも同じです。
肥前方式は知的障害や自閉症の親訓練から派生したものなので、知的開発を促すなど療育や教育的な内容となっています。どちらかというと、教育プログラムというイメージに近いかもしれません。
それに対して、精研方式は保護者の方の誤認識の是正、ADHDの特性を踏まえた家庭での適切な関わりといったことを扱っています。[/speech_bubble]
※行動療法とは?
心理療法の1つで、「行動」に注目して、行動を「強化」したり「弱化」したりしていく技法です。
たとえば、望ましい行動を「褒める」ことで定着させていきます。
肥前方式は、今でも知的障害児のための施設や特別支援学校などでの支援に生かされています。
ですが、一般的によく聞くようになったペアトレは、精研方式の方を指しています。5~10回程度のセッションとホームワークを通して、不適切な行動を減らしたり、適切な行動を強化したりするための関わり方をグループで学びます。[/speech_bubble] [speech_bubble type=”ln” subtype=”L1″ icon=”1.jpg” name=”四谷学院”]ADHDの子どもを持つ保護者の方に、精研方式のペアレントトレーニングはどんな効果が期待できますか?[/speech_bubble] [speech_bubble type=”ln” subtype=”R1″ icon=”2.jpg” name=”長田先生”]発達障害、特にADHDのお子さんを持つ保護者の方たちは、
「何度言っても直らない」
「どうすればいいかわからない」
といった、育てづらさを感じやすいため、育児のストレスを抱えやすくなってしまいがちです。
ペアレントトレーニングを受講することで、ADHDの特性を理解して子どもへの関わり方を買えることで、育児に関するストレスが軽減されるという研究結果があります。
また、保護者の方が適切な褒め方や指示の仕方を身につけられれば、お子さんもいきいきと過ごせるようになります。[/speech_bubble] [speech_bubble type=”ln” subtype=”L1″ icon=”1.jpg” name=”四谷学院”]なるほど、良い関わり方を知ることは、保護者の方にとってもお子さんにとっても有益ですね。[/speech_bubble]
シリーズ 【専門家インタビュー】
▼専修大学長田洋和教授 特別インタビュー第2弾「発達障害の診断はどうやって出る?」
https://yotsuyagakuin-ryoiku.com/blogs/shindan-mei2/
▼専修大学長田洋和教授 特別インタビュー第3弾「メンタルヘルスリテラシーとは?」
https://yotsuyagakuin-ryoiku.com/blogs/literacy-toha3/
このブログは、四谷学院「発達支援チーム」が書いています。
10年以上にわたり、発達障害のある子どもたちとご家庭を支援。さらに、支援者・理解者を増やしていくべく、発達障害児支援士・ライフスキルトレーナー資格など、人材育成にも尽力しています。
支援してきたご家庭は6,500以上。 発達障害児支援士は2,000人を超えました。ご家庭から支援施設まで、また初学者からベテランまで幅広く、支援に関わる方々のための教材作成や指導ノウハウをお伝えしています。
このブログでは、発達障害のあるお子様をはじめ保護者の方やご家族、支援者の方が笑顔で毎日を過ごせるよう、療育・発達支援のヒントを発信していきます。
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