発達支援 > 療育 > 発達障害とは > 発達障害の教育 特別支援学級とは?通常学級とどちらを選ぶ?

特別支援学級とは特別支援学級とは

発達障害の子ども 特別支援学級か通常学級か?

幼稚園・保育園などからいよいよ小学校へ就学。その際に、発達障害のお子さんをお持ちのご家庭から特別支援学級と通常学級のどちらを選べばよいか?というご相談を毎年たくさんいただきます。多くの方が悩まれる部分であるとともに、就学先の決定にあたっては、子どものために慎重に検討したい、というのが保護者の方の心情でしょう。

特別支援学級や通常学級での支援体制は、学校や地域により様々ですが、それぞれのメリットや判断材料をご紹介していますので、参考にしていただければと思います。

  • 就学先の選択肢は、ここで取り上げているものが全てではありません。ここでは特にご相談の多いケースを取り上げています。

発達障害の子どもの就学先は?

就学先の選択肢(小学校・特別支援学校)

自閉症やアスペルガー症候群、学習障害、ADHDなどの発達障害、またそれ以外の障害を持つ子どもの就学先として、まず大きく小学校と特別支援学校に分けられます。

特別支援学校は、視覚、聴覚、知的の障害者や、肢体不自由者、病弱者の教育を行う学校で、幼稚園~高校まであり、盲学校や聾学校、養護学校も含まれます。国が定めている基準をもとに、障害の程度に応じて特別支援学校もしくは小学校のどちらかが決定されます。

比較的軽度の障害の場合は小学校の中の「特別支援学級」もしくは「通常の学級」になります。「通常の学級」では通常の学級に在籍しながら、障害の状態に応じた指導をうけられる「通級による指導(通級学級)」も必要に応じて実施されます。
「特別支援学級」は障害のある子ども向けに特別に設置された少人数学級です。特別支援学級に在籍している場合も、通常学級の子どもと触れ合う機会が設けられている場合もあります。

このように通常の学級に行き来する理由は、障害のある子どもと障害のない子どもが、一緒に活動する機会を積極的に設けるように学習指導要領で示されているためで、子どもたちが触れあいの中でお互いに理解しあうことを目的にしています。

昨今日本でも進められている「インクルーシブ教育」の流れで、障害のある子どもと障害のない子どもが共に学べる環境作りが進められています。学校によって対応は様々ですが、ここではそれぞれの一般的なケースをご紹介します。

特別支援学級とは

特別支援学級の学習風景 特別支援学級は、比較的軽度の障害がある児童生徒に対し、一人ひとりにきめ細かな教育を行うために、小・中学校の中に特別に設置された少人数の学級です。
障害の種別ごとに学級が用意されており、知的障害、肢体不自由、病弱・身体虚弱、弱視、難聴、言語障害、自閉症・情緒障害があります。かつては特殊学級と呼ばれていましたが、平成19年の学校教育法改正に伴って名称も変わり、発達障害のある子どもの支援が充実することとなりました。

特別支援学級を設置している小学校は全体の79.5%、中学校は75.5%(2015年)となっており、多くの小学校中学校で特別支援学級が設置されています。

通常学級との大きな違いは1クラス8名定員という少人数学級であることです。
少人数のため、一人ひとりのニーズに合わせたきめ細かい配慮がされます。必要に応じて授業のレベルを下げるなどの配慮や、一人ひとりの困っている部分(身体的な動きやコミュニケーション面など)の支援が行われます。教室内は安全面が配慮され、学習に集中しやすいように環境面も工夫がされています。

また通常学級の決まった授業に参加する「交流学級」や「共同学習」を実施する学校もあります。
例えば、普段は特別支援学級で過ごすけれども朝の会や帰りの会などのホームルームの時間、また体育や音楽、給食など、限られた時間のみ通常の学級へ参加するかたちです。

通級による指導(通級学級)とは

通常学級の学習風景 通級による指導(通級学級)とは、比較的軽度な障害をもつ児童生徒が小・中学校の通常の学級に在籍しながら、通級指導の時間のみ通級指導教室に通い、特別な指導を受けるクラスです。

通級学級が通っている学校にない場合は、通級学級がある近隣の学校にその時間だけ通う形になります。また通常の時間割内で行われるケースと、放課後など通常の授業外の時間に行われるケースがあります。
通級指導を受けるかどうかは、原則市区町村の教育委員会が判断します。判断にあたっては専門家による障害の診断内容だけでなく、在籍校舎に通級学級がない場合はどこの学校で通級による指導を実施するのか、時間割の面や通学の面なども総合的に配慮されます。

通級による指導の内容は「自立活動」が中心となります。自立活動は障害による様々な困難を改善・克服することが目的で、「健康の保持」「心理的な安定」「人間関係の形成」「環境の把握」「身体の動き」「コミュニケーション」の6つの区分で指導が行われます。児童生徒一人ひとりが抱える困難を、主体的に改善・克服するために必要な知識、技能、態度及び習慣を養うことで、心身の調和的発達をうながします。

また自立活動のほかに、特に必要がある時には教科の指導を補充的に行います。これは単なる学習の遅れを補充するものではなく、障害の状態に応じた補充指導で、個別指導が中心となります。

特別支援学級・通常学級(通級学級)のメリット・デメリット

それぞれの大きな特徴は特別支援学級では少人数できめ細やかなサポートが期待できること、通級学級では通常の学級の子どもたちと触れ合う機会が多いことが言えるでしょう。どちらがよいか誰もが悩まれるのではないでしょうか。それぞれのメリット・デメリットや55レッスンの受講生からの体験談・口コミをご紹介しますので、参考にしてください。

<特別支援学級>

●メリット

  • 1クラス8名までの少人数クラスで、発達に合わせたカリキュラムで学習できる
  • 給食や昼休み、ホームルームなどは通常学級の子どもと触れ合うことができる

●デメリット

  • 近くの学校に特別支援学級がない場合、遠くの学校へ通学しなければならない
  • 通級学級に比べて、通常学級の子どもとの触れ合いが少ない
  • 通常学級との行き来がストレスになる場合も
  • 学級数や対応の地域差が大きい
  • 高校では特別支援学級の設置がない

●体験談・口コミ

  • 新年度のクラス替えがなく、環境の変化が少ないため、落ち着いて過ごすことができる。
  • 授業時間の中にソーシャルスキルトレーニングなどが取り入れられていて、子どもが意欲的に活動に参加できている。
  • 交流学級(通常学級)で過ごす時間を長くとっていて、その時間は支援の先生が個別にサポートを行ってくれている。
  • 特別支援学校や関係機関とも連携を図りながら、支援がなされている。
  • 他の子たちとは別のクラスに行くことに本人が困惑している。
  • 教科学習の時間や内容が、通常学級に比べると物足りなく感じる。

<通常学級(通級学級)>

●メリット

  • 通常学級の子どもとコミュニケーションがとれる機会が多い、刺激がある
  • 学習面での遅れがない、通常学級の子どもと同じ授業が受けられる

●デメリット

  • 通っている学校に通級学級がない場合、他の学校へ通わなければならない
  • 通級学級との行き来がストレスになる場合も
  • 学級数や対応の地域差が大きい
  • 高校では通級制度が整っていない(2018年度から開始予定)

●体験談・口コミ

  • 補助の先生や担任の先生が適切にサポートをしてくれ、子どもが安心できる環境・体制が整っている。
  • クラスメイトが良いお手本となっており、自然とフォローもしてくれるため、子どもも困り感を持たずに過ごせている。
  • 学習についていくことが難しくなり、特別支援学級へ移ることを勧められたが、本人が抵抗を感じているため、どうしてあげるのがよいか悩ましい。
  • クラスメイトやその保護者に子どもの特性を伝えるべきか、伝えるとすればいつどのようにすればよいか迷う。

口コミをご覧いただくと分かるように、近隣の小学校にどのような学級が用意されているかによって大きく変わってくる部分です。
まずはお住まいの市区町村の就学相談窓口やホームページで調べてみましょう。

就学先はどのように決まるのか

就学先については、市区町村の教育委員会が決定します。「その子自身にとって最もふさわしい教育を行う」という視点に立ち、教育学、医学、心理学等の観点から専門家の意見を聴いたうえで、総合的かつ慎重に行われることが重要、と文部科学省は明示しています。

平成25年以前は、基準に該当する障害のある子どもは原則特別支援学校となっていました。現在は最終的には教育委員会が就学先を決定するとしながらも、保護者からの意見聴取の機会の拡大が図られるようになっています。市区町村が判定してその後話し合いを行うケースや、保護者が申請を行って市区町村が決定するケースなど地域により差がありますが、本人や保護者の意見が最大限に反映されるため、事前によく検討しておくことが大切です。

また就学後も発達障害の症状や状況、また本人の意向が変わることもあります。様々な可能性に対して柔軟な対応ができるよう、学級の変更や環境を変えるにはどういった選択肢があるのかをあらかじめ相談し、把握しておくと安心です。

◆就学先決定までの流れ(一例)

調査票をもとにした就学説明会の実施:4~6月ごろ

小学校に入る前年の4月~6月頃にかけて、教育委員会が保育園や幼稚園、療育センター等に対して、通常の学級への就学が不安があると思われる子どもへの調査票作成を依頼します。そしてその子どもをもつ保護者向けに、教育委員会が就学説明会を行います。説明会では通級学級や特別支援学級、特別支援学校での支援内容の説明や、就学相談、手続き方法などについて説明があります。
※私立幼稚園や認可外保育園は教育委員会の管轄外となるため、このような案内が来ない可能性があります。その場合はお住まいの市区町村の教育委員会に問い合わせを行いましょう。

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就学相談の実施:7~9月ごろ

就学相談では専門の就学相談員が保護者と場合によっては複数回面談を行い、就学先をどこにするかを話し合います。その際、子どもの状態を正確に伝えるために、医療機関などでもらった診断書があれば持参するとよいでしょう。相談員が子どもの通っている幼稚園や保育園に行って、普段の様子を確認することもあります。
この就学相談の内容と、障害の状態および必要とされる支援、保護者の意見、地域や学校の状況などを総合的に考慮して、就学先が決定されます。この決定に保護者の方が同意されれば決定となり、そうでない場合はその旨を申し立てることができます。

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就学時健康診断の実施:10~11月ごろ

就学時健康診断とは小学校に入学する前に行われる健康診断で、身体検査のほかに発達検査、知能検査などがあります。先生との質疑応答や簡単な筆記テストのようなことも行われます。
就学時健康診断で発達の遅れが見つかるケースもあります。その場合は教育委員会から就学相談をすすめられ、その上で特別支援学級や通級学級、通常学級から最適なものを選択します。

就学先決定の判断基準とは?

「就学先をどう選べばよいのか?」「小学校に入るまでにどんなことができるようになっているべきか?」といった受講生から多く寄せられる質問について、55レッスンにて電話指導をご担当いただいている武蔵野東教育センター所長 計野浩一郎先生にお話をうかがってみました。

---就学についての相談は多いでしょうか?

55レッスンでは電話指導がありますが、そのうち入学後のご相談も含めると約半数は就学についての相談ですね。やはり環境が大きく変わるタイミングですし、先のことが想像しにくいため、不安になる方が多くいらっしゃいます。実際、私どもの武蔵野東学園にも夏ごろから新入生の親御さんからの相談が増えてきます。

---電話指導ではどのような質問が寄せられていますか?

どちらを選んだらよいかの判断基準が多いですね。基本的にはお子さんのどんなところを特に伸ばしたいかを明確にし、それをより伸ばせる環境はどちらなのかを考えることが重要とお伝えしています。
小学校の段階であれば、お子さんの性格が活発なのかマイペースなのか、何が得意で何が苦手なのか、保護者の方の「感覚」と、療育機関や発達支援センターの専門家に実際のお子さんを見てもらって総合的に判断するのがよろしいでしょう。
あとは学校によってもどのような支援が得られるかは様々ですので、まずは学校を見学して支援体制がどのようになっているか、途中で学級を変更したケースはあるかなど確認されるようお話しています。

---通常学級の場合、就学までにどのようなことができているとよいのでしょうか?

こうしたことができていると、小学校生活がよりスムーズになるという意味では…

  • 側に保護者がついていなくても、45分間程度着席していられることが望ましい。
  • 簡単な質問や報告、援助要請(例:「わかりません。教えてください。」)をできるようにする。
  • 順番を待つなどの基本的な社会的ルールを身につける。
  • 集団活動への参加ができる。
  • 指示どおりに行動する(一度に複数の指示を与えられても指示を遂行できるような短期記憶力を鍛える、また遂行可能な指示の量を把握しておく)。
  • お手伝い(学校における係り活動につながる)をできるようにしていく。
  • 入学後、環境を途中で変えることも可能ということを念頭に置いておく。また、どんな状況になった時に、どう環境を変えるかということも予め決めておく。

といったことが挙げられるでしょう。

---貴重なお話をありがとうございました。大変参考になりました。

合理的配慮と特別支援教育のこれから

平成19年にこれまでの「特殊教育」が発達障害も含めた「特別支援教育」になったことで、支援の対象となる児童生徒は増加の一途にあります。これは単に障害のある児童生徒の増加だけでなく、個別の指導計画を立ててきめ細かな対応が得られる「特別支援学級」を選ぶ保護者が増えているということもあります。
しかし特別支援学級は1学級8人以内で編成され、少しの増加でも学級増につながるため、学校の整備が追い付かず、教室不足、教員不足という課題も出てきています。

平成28年4月からは障害者差別解消法が施行され、公立の学校でも「合理的配慮」を行うことが義務付けられました。これは障害がある人が教育や就業などの面で平等に参加ができるよう、それぞれの特性に合わせた配慮を行う、というものです。 例えば、字を書くのが苦手な場合にタブレット端末を利用した学習を取り入れる、癇癪を起こしやすいという場合にクールダウンできる別室を用意するといった配慮です。各学校では、学校内の設備や環境などのハード面での整備も進められています。

また一歳半健診や三歳児健診の際など子どもが小さいうちから、発達に不安がある方への情報提供や、専門家への相談機会の提供が積極的に行われるようになりました。また保育園・幼稚園・こども園での子どもの様子をふまえ、就学を見据えた個別の支援計画をまとめた「支援計画書」の作成を教育委員会が推奨しています。これは就学先決定の際にも参考資料となりますし、就学後の子どもの教育支援にも活用できます。

このように年々特別支援教育ひいてはインクルーシブ教育の推進が進んでいるため、新たな課題も出てきていますが今後ますます一人ひとりの児童生徒の教育的ニーズに沿った支援体制が整ってくることが期待できます。
国立特別支援教育総合研究所が作成する以下のページでは、全国の合理的配慮の実践事例を検索することができます。

▼インクルーシブ教育システム構築支援データベース
http://inclusive.nise.go.jp/

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