──５５レッスンと療育センターを併用された理由は？

家での関わり方のヒントがほしかったんです。

５５レッスンを始めようと思った時には、既に療育センターに通い始めることが決まっていたんです。でも、週１回１時間程度の療育では十分とは言えない気がして。それに、家で過ごす時間、遊び方や教え方がさっぱりわからないというのもあったので、何かできることがあればと探していたところ、見つけたのが５５レッスンでした。

──受講の一番の目的は何でしたか？

受講が終わってからも役立つ知識を得たい。

知的な遅れもあったので、「何かやらなきゃ」という焦りみたいなものを感じて、その時はとにかく自分にできることをやっているという安心感が欲しかったのかもしれません。私も安心できて、弘晟も楽しめたら、いいこと尽くしだなと思ったんです。普段の生活の中でどうすればいいかわからないことも多かったのですが、受講を通して「こういう時はこうすればいい」という知識を得ることができれば、受講が終わってからも役に立つだろうなと。

── 一番お気に入りの教材を教えてください。

どの教材も、子どもの「初めて」のきっかけになりました。

すべて良かったので、選べません（笑）。受講していなかったら、やる前からあきらめていたようなことも、５５レッスンの系統立てられたプログラムの中の一つとして出てくると、「やってみよう！」という気持ちになれました。５５レッスンを通して、弘晟にとっての「初めて」をたくさん経験することができ、感謝しています。

──スモールステップでの学習はいかがでしたか？

課題の中には、親から見ると「これは絶対無理だろう」というものもあるのですが、とりあえず始めてみると、10日後には理解できるようになっていたり、前よりも理解が進んだりして、びっくりしました。毎日の小さな積み重ねの成果を実感しましたね。スモールステップでの学習は、子どもにとっても、親にとっても負担が少ないので、学習を継続することができました。

──１回15分程度、集中して学習できましたか？

最初は、席に着くことが難しかった息子。
でも、始めて３日で変化が表れました。

最初は５分も座っていられなかったのですが、３日目くらいには大分座れるようになってきました。その頃は、集中力の続く５～10分くらいであえて切り上げるようにしていました。飽きてしまう前に終わらせる、というのを繰り返しているうちに、少しずつ座れる時間が延びていきましたね。それからは、飽きたサインが出たら、紙皿に顔を描いて、その周りに洗濯バサミを留めてライオンにするという指導書に載っていた遊びなどで気分転換して、課題に戻るようにしていました。最後の方は、調子のいい時は「ことば」の科目も「かず・ちえ」の科目も、15～20分くらい集中できるようにまでなりました。

──受講中の印象的なエピソードを教えてください。

５５レッスンは、週に５日できれば大丈夫なプログラムなので、最初、土日はお休みにしようと思っていたんです。でも、休日の朝、私が起きたら、もう弘晟が自分のイスに座っていて…！「今日はやらなくていいんだよ」と言うと、テーブルをバンバン叩いて喜んでいるので、「やろうか！」と言って、 急いで準備をして始めました。それまでお勉強というものを 一切やったことがなかったので不安もあったのですが、数日で自分から喜んで机に向かえるようになったのは、すごいなと思います。

──担任の先生からのアドバイスシートはいかがでしたか？

アドバイスシートは、私にとっての宝物になりました。

毎月、コミュニケーションシートを出す時に、「握力が弱いのですが、どうすればいいですか？」など、気になっていることを書くと、アドバイスシートで先生が「こういう遊びをやって みるといいですよ」といろいろ提案をしてくれました。苦手なことだと本人も嫌がることが多くて、そうすると私もあきらめちゃったり…。だけど、アドバイスシートという形でアドバイス がもらえると頭の中に残るので、気付いた時に教えてもらったことを実践できました。その時は、何もしないとずっと 一人で遊んでいる感じだったので、親子の関わりのきっかけ作りにもなりました。何より、先生は子どもだけじゃなくて親のことも褒めてくださるので、私自身も自信を持てるようになりました。今では、アドバイスシートは私の宝物です。

──続けられるか心配という方に何を伝えたいですか？

ぜひお子さんの可能性を信じてあげてください。

「自分が子どもに教えられるだろうか」と、不安に思うかもしれませんが、わからないことはきちんとサポートしてもらえます。うまくいかなかったことや親の心の内を素直に書いても、しっかり受け止めて答えをくださいます。 また、「うちの子には無理だろう」と思うようなことも毎日の積み重ねでできるようになったりするので、「子どもの可能性を信じよう」と、前向きになることができます。迷っているなら、やってみる価値はあると思いますよ。